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始末屋だった俺に新しい家族が出来た。  作者: 焔伽 蒼
第二話 初めての学園生活
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Target018「健康診断2」



【4月8日(水) 17時50分】



俺達3-G組は体育館へと案内されていた。

その途中で下級生と思われる女子に声を掛けられたり、男子にヒソヒソと噂されたりと違和感があったが、あれは何だったのか。


そして今も体育館入口付近で、野次馬のような奴等が何人かいるが……。



「おい、あの男が新入生か?」


「らしいぜ。 あの“針千本”と“ランチェリー大佐”相手に大立ち回りしたみたいだ」


「マジか。 実力ランキングいくつなんだ?」


「分からない。 何せ情報屋に聞いても、あいつの情報が一切見付からないみたいなんだ」


「そんなことどうでもいいわよ。零弐様の凛々しい姿、お目にしたいわ~」



流石に距離がある。俺はそこまで視力が高い程じゃない。口の動きが見づらく読むことは出来ないが、視線を感じるところから俺の事を話しているのだろう。



「はぁ……」


「どうしたの、レイジ。溜め息なんかしちゃって」


「いや、何でもない」


「そう?」



気付かない内に溜め息が出ていたらしい。ユミに余計な心配をさせてしまったな。



「にしても、健康診断ってこういう事だったのか……」



身体を検査する健康診断で男女ペアと言う意味不明な仕組みは、実に簡単な理由によるものだった。


医師が一人しか居ないのだ。それも陽西学園専属の保険医、柊色葉(ひいらぎ いろは)先生だ。

年齢不明だが、見た目は中学生の容姿をしていて、童顔で服装は礼服のようなものの上に白衣を羽織っている感じだ。

黒タイツを履いているとは言え、以外と挑戦的なミニスカートは男子の目を釘付けにする。

幼女ごときにそそられるかとも考えるだろうが、色葉先生の持つ圧倒的なオーラが見た目より色っぽくさせている。

まあ、俺には余り効かないが、海藤がやたらとハマっていた気がする。あいつ、ロリコンなのか?


そして、先生一人では全員を見る事も出来ないと言うのもあり、生徒同士が協力してパートナーと交互に診断をしていき、最後に診断で先生に診断表を渡し、話をされてから終わると言う形だ。

男女ペアというのは、いい加減な診断や逃亡を防ぐ為、異性同士でやれば緊張感も高まり、真面目にやるだろうと言う失礼な意味だった。



「さてさて~、まず何からやろっか?」



ユミが下から除き込んで来る。


……なんと言うか、ユミはスキンシップが過剰と言うのか、異性との距離感が近すぎる気がするよな……。


人懐こいのは悪いことではないが、色々と危険性をはらんでいる。少し心配にもなる。


いつか教えてやらないとな、友人として。



「そうだな。とりあえず視力検査からやるか」


「うん!」



それから視力・聴力・身長・体重・ウェスト・血圧・血液と終わり、やっと診断まで着いた頃には30分近く経過していた。


何より驚いたのは診断する場所で、色葉先生自らレントゲン・生体反応・心身条件反射と言った特殊な検査をされたことだ。


終始常識はずれな健康診断だった。


今は診断も終わったので、教室へと戻って来ていたのだが……黒板には【健康診断が終わって教室へ戻って来た奴から帰ってよし!】と濃いめの太字で書かれていた。



「ほんっっとぉーに!いい加減だな、あの教師ぃ!?」


「そうだね。肚州先生らしいけどね」


「なんか慣れた感じだな」


「うん、そりゃね。 2年も一緒にいるし、このクラスの皆は、今さら肚州先生に何か言う人は居ないよ~」


「1年の頃から担任は一緒なのか」


「そだよ。私達のクラス担任は、肚州先生っておとう━━━校長が決めたみたい」


「なるほど。実力で決めたって訳か」



確かに肚州からは尋常じゃない気を感じるし、大佐や針千本がいるような危険クラスには相応しい人物なのかもな。


他に肚州程の気を感じる教師は居なそうだし、消去法でもありそうだが。


とは言っても、肚州と色葉先生以外の教師を見た事ないぞ。


まあそれも、明日から始まる授業で知り合って行けるんだろうが、ぶっちゃけ気になる。



「とりあえず帰るか」


「うん。 あ、そだ!一緒に帰ろ?」


「ん? ああ、いいけどちょっと寄り道するぞ?」


「良いよ良いよー!付き合うからっ」


「わかった。んじゃ、帰る前に……」



俺は黒板に近寄っていき、チョーク入れから赤のチョークを取り出す。


そして、カカカッ!と黒板の肚州の伝言の横に大きく【仕事しろ!!】と書いてやった。



「フゥ……さて、行くか」


「う、うん……レイジ、怖いもの知らずだね……」


「俺は当たり前の事を書いただけだ」



チョークをチョーク入れに戻してから、ユミと教室を出ていった。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



昇降口を出てから長廊下を渡り、やっと着いた地上への階段を登って体育館を出た所で深呼吸をした。



「やっぱり外の空気は美味しいなー!」


「あはは、やっぱり地下は息が詰まるよね~」


「全くだ。親父にもしっかり言っといてくれよ」


「うん、“空気を容れないと、天井を爆破して風通しを良くするぞ!”ってレイジが言ってたって言っておくね!」


「うん、言ってないな? 俺そんな言い方してないよな? それは最早相談ではなく脅迫な?」


「フッフーン、似たようなものなのだよキミぃ」


「似てないわ!」


「似てないね!」


「分かってるじゃねぇか!?」


「分かってるさ!ユミを誰だと思ってるのさ!」


「ユミだろ!自分で言ってるじゃねぇか!そして何故に逆ギレ!?」


「あはは、ごめんねっ!レイジと話すのが楽しくてついふざけちゃったっ」


「……たくっ、ツッコミは以外と疲れるんだぞ……」



と言いつつも、そんなバカげた会話を楽しんでいる俺がいるわけで、居心地の良さを感じていた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



━━━ビルの屋上。スコープで覗いている男がいた。



「……見付けたぞ、零弐……終末の宴!!」



その男からは確かな殺気が放たれていた。



『to be continued』


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