Target011「メール」
【4月7日(火) 6時45分】
「それでは兄さん、行ってきます」
「ああ。気を付けてな。 多分、葉月が帰って来る頃は、まだ俺も居ると思うから」
「はい。 あ、兄さんは甘い物とかお好きですか?」
「まあ一般的ぐらいには」
「分かりました! それでは」
葉月は会釈すると、玄関を開けて出ていく。
「あ、待ってお姉ちゃん!」
伴音が廊下を駆け足でやって来た。
手にはピンク色のハンカチで縛られた包みがあった。
「これ、お弁当! 持ってって!」
「わたしに?」
「うん!昨日の内に準備して今朝作ったの! それにちゃんと保温弁当箱使ってるから!」
いつの間に作っていたんだ?
冷蔵庫とか食事以外では開けないから分からなかった。
いや、そういえば食器を貸して欲しいって、色々聞かれてたな。
もう伴音や葉月の家でもあるわけだから、自由に使って良いと許可を出したんだった。
しかし保温の弁当箱なんてあったかな?
「ありがとう……伴音ちゃんっ」
「感想聞かせてね、お姉ちゃん」
「うん、もちろんっ」
そして葉月は手を上げて家を出た。
「なあ、保温弁当箱なんてどこにあったんだ? 買った覚えが無いんだが」
「造った!名前は弁当箱じゃなくて“熱血くん”だよ!」
「……なるほど、納得だ」
流石は天才発明家、何でも造れる才能とは恐れ入る。
俺も伴音のビックリ行動に早くも馴染んで来ているようだ。
よし、この件はこれで終わりにしよう。伴音も間もなく出る時間だし、俺も昼から予定がある。
それらの準備をしないとな。
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【4月7日(火) 16時15分】
用事は予定通り済ますことが出来たのだが、思った以上に時間を食ってしまったみたいだ。
学校には17時30分までには着かないといけないことを考えると、家に帰っている時間はない。
俺は携帯を取り出そうと、右ポケットを探る。
「スマホじゃなくて、携帯……」
取り出したのはスマホだったので、直ぐにポケットへリバースさせ、そういえば左ポケットだったなーと思い出し、取り出して葉月と伴音にメールする。
メール内容
【From】
坂本零弐
【To】
葉月 伴音
【Sub】
悪い。
【本文】
用事が長引いて、家に戻るの難しい。
そのまま学校へ向かう。飯は先に食べてくれ。
「つうかやっぱスマホ邪魔だ」
俺はスマホやiPhoneと言ったタッチ式が嫌いである。片手で操作しにくいし、画面は向きだしだから割れやすいし、終いにはボタンの押しミスが多発するわでストレスが溜まる。
始末屋には必須だからと渡されたから今まで持ち歩いて来たが、今後は家に置いとこうかなとも思う。
機械音が鳴り出す。携帯の方からだ。開いてチェックしてみると、葉月と伴音から返事が来ていた。
メール内容
【From】
葉月
【To】
零弐さん
【Sub】
分かりました(>_<)
【本文】
大変かもですが、頑張って下さい。
帰るまで待ってますね。
葉月のメールは、直接話しているより軽快な感じがするな。
メール内容
【From】
伴音
【To】
零弐お兄ちゃん
【Sub】
お姉ちゃんと一緒にメルりました♪
【本文】
ご飯の準備しとくね!帰り遅いんだよね?寝ちゃってたらごめんねw
うん、伴音はメールでも伴音だった。
二人が同時に返信してきたのも、なるほどと理解する。
「てことは、二人とも家に帰ってるんだな」
「あれれ?レイジ~?」
「ん? お、ユミ」
後ろから声をかけてきたのがユミと直ぐに判った。
この気配殺しと明るく高い声量は、ユミ以外有り得ない。
「良く分かったね!?」
「特徴的だからな」
「うそ!?どの辺が??」
「どの辺……体さばき?」
それ以外にどう形容したら良いか分からない。
日向者の人間に、裏世界の技術の話は出来ないしな。
「えぇ~、なにそれ……もっと他に特徴なかったの?」
どうやら俺が精一杯考えた言葉では不満があるようだった。
「ま、いっか。レイジも学園向かってる最中だよね? 一緒に行かない?」
「構わないぞ。諸事情があって荷物は財布と手帳しかないけど、そこはつっこまないでくれ」
「わ、わかった。 でも今日は荷物は無くても、大丈夫だと思うよ?オリエンテーションしかないからね。 あ、でも明日は健康診断だから、診断書と保険証が必要になるかも」
「ん?」
健康診断に診断書とか保険証って必要なものなのか?
まあ、学校着けば先生から説明受けるか。
『to be continued』




