Target001「始末屋」
やっと投稿できました!推敲していたら、投稿に時間がかかってしまいました。
R15と残酷表現について
上記の内容はあるにはありますが、全体の15%ぐらいです。苦手な方はおすすめ出来ません。申し訳ないです。
この世界には表を生きる『日向者』と、裏を生きる『日陰者』の二種類の人間が存在する。
日向者は世間が決めた秩序の中で真っ当な人生を送り、日陰者は取り決めも常識も通用しない無秩序な世界で人生を送っている。
しかし、この日陰者達にも暗黙のルールが存在した。
1、日陰者は日向者を無闇に殺してはならない。
2、日陰者は裏事情を日向者に話してはいけない。
3、日陰者は常に危険と隣り合わせのため、武装をしなくてはならない。
4、日陰者は組織に所属した場合、統括者を裏切ってはいけない。
5、日陰者は決して闇人に堕ちてはならない。
これらは裏の世界を生きる人間ならば、誰もが知っている唯一の常識であり秩序だ。
だが我の強い日陰者は、それらの最低限な秩序をも守らない者がいる。
秩序破り、そんな彼らを総称して『闇人』と言う。
闇人は日陰者に取っても脅威な存在である。彼らは日向者・日陰者問わず、自由がままに殺し・奪い・蹂躙する。
それ故に人々から憎まれたり、恐れられたりしている。
しかし、誰もが恐怖する彼らに、対抗する人間達がいた。日陰者にして闇人を専門として狩る裏稼業。
それが『始末屋』だ。彼らは裏の世界の良心であり、唯一規律を守る集団だ。
主に『秩序破り』をした闇人を専門に狩り、致し方ない時は殺しもするが、日陰者・日向者には決して手をかけない、裏世界の警察とも言われている。
2030年元旦、ここに名の知れた始末屋組織がいた。
「“終末の宴”だぁー!」
「何ぃ!? 何で奴等が……!」
「良いから逃げるぞ!」
ロシアの夜は深い。その中でも裏路地や工業地帯等は闇に住まう人間達が悪さをするスポットだ。
そんな工業地帯にある倉庫に、黒服の男達が慌ただしくしているのが分かる。
もちろん、その理由も知っている。さっき奴等が言った『終末の宴』は、俺達が所属している始末屋組織の名前だ。
「ちくしょう!何で我らの取引場所がバレたんだ!?」
「わからないっすよ!誰かが密告したのか、ヘマこいたとしか……!」
「だからって、出向いてきたのが終末の宴とか、ツイてねぇ!」
「薬漬けにした女達はどうします!?」
「ほっとけ!今は逃げる事に集中しろ!」
雨が降る中、夜の工業地帯を逃げ惑う怪しげな黒服を塔の上から見下ろす俺は、横にいる女に声をかけた。
「なあ、あいつら遊んでるだけな気がするんだが?」
俺が指差しているのは、下にいる黒服を追い掛けている仲間達。
「確かに遊んでるようには見えるわね。 て言うか仕事は迅速にっていつも口が酸っぱくなるぐらい言ってるのに、何で皆は言うことを聞いてくれないのかしら? あたしにボスとしての力が足らないから? でも皆も少しは言うことを聞いてくれても良いと思うのよ!どうかしら、零弐君!?」
今しがた初セリフ早々に愚痴ばっか溢しているのは、我らが終末の宴のボス『花梨桜花』。
桜色のロングヘアーに、俺より背が低く少、し幼さが残る顔付きの桜花は、せっかくの可愛らしい顔がストレスで崩れてしまっていた。
しかし、そんな桜花とも今日でお別れとなると、少し寂しくなる。
「ねぇ」
桜花が寂しそうな表情で聞いてくる。
「本当にやめちゃうの? この家業……」
「……ああ。 流石に限界なんだ」
俺は見た。下にある光景を。
「ふっふふふ、そそりますわ~。闇人を狩るのは~!稔、癖になっちゃいそうですわ~」
右手に持っているチャンネルで、ボタンを押す度に辺りが爆発していく。
その爆発で隠れ場所が無くなったのか、何人もの黒服が出てくる。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「にげろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
逃げ惑う黒服の前に現れたのは、時代錯誤とも言える武士の格好をし刀を持った男だ。
「ワラワラ出てきましたね。逃がしませんよ。斬!」
目にも止まらぬ早さで黒服を斬る。
「安心して下さい。峰打ちです」
カチンと刀を鞘に納めると、血も流さず黒服数名は気絶し、そして服が破けて裸体になった。
「一夜くんは相変わらず服を斬るんだね」
「峰打ちと言えば、服ごとじゃありませんか? クローロ殿」
「う~ん、もっと華麗に峰打ちとか出来ないかな。 こんな風に!」
クローロと言われる少年は、指を二回パチンと鳴らす。すると、黒服同士がお互いに攻撃し合い、同士討ちしていった。
「ちょっとちょっとぉ!稔ぃ~!?爆発やめなさいよ!ウチのドレスがやけちゃうじゃない!」
「あらあらメアリー。ごめんなさいね~。 私手加減苦手ですの~クスクス」
「腹黒女」
「何か言いまして?」
「何でもないっつうの。毒の餌食にするわよ?」
キランッとドレスの内側から注射器を取り出す。
黒服等とっくに全滅していたのだが、彼らはお構い無しに自由にやっていた。
それを見ていた俺は遂に、プチンとキレたように騒ぐ。
「あんな破天荒な奴等と一緒にやってられるかぁ━━━!!」
そんな声が夜のロシア中に響き渡った。
この日を境に、俺は始末屋“終末の宴”を辞めた。
次回へ続く!!
どもども、焔伽 蒼です!
内容を掴んで貰うために、明日と明後日も投稿します。3話で僕的に区切りが良いので。
以降はいつものペースに戻ります。僕のほかの作品を見ている人ならば、ペース感覚が分かるかもしれません(笑)初めての方はご了承を(汗)
それでは、今後もどうぞ宜しくお願いします^^