初仕事
二日続けての投稿ができるなんて!
まぁ、月末月初じゃなければ多少はヒマな時間が作れるのが幸い・・・。
翌日、朝食の後に会議室でハル様と家臣団に俺を加えて今後のことを話した。
エリシスが取った記録から、一先ず俺はハブが率いる山隊に所属することになった。
ハル様曰く戦場ではハブと共に近衛として本陣を護り、
日常の仕事としては文化を知る意味で城下町の警邏についてほしいとのことだった。
警邏の仕事は三日働き一日休み、二日共同訓練に参加して一日休み、また警邏を~という形になるようだ。
仕事については明日からということにし、今日はエリシスから言葉や魔法知識を学ぶことになった
日常的な会話は何故か日本での言葉と変わりなかったが、
一部の言葉や地名は南蛮語のようなものが多かった。
以前から気になっていたシンクが着ていたひらひらの腰巻はスカートというものらしい。
マリーチェが使っていた木剣のように幅が広く、
片手で扱えるものをソード、湾曲したものをシミター。
物を例えにしてウィンディア語を学んでいった。
次に魔法についても教えてもらった。以前から思っていたのがだエリシスの説明は長い。
詳しく教えてくれているのはありがたいが、少し眠くなってしまう。
「・・・カツヨリ、聞いてますの?」
「ん、ちょっと考え事をしてた。すまない。」
「真面目にお聞きになってください。」
エリシスは少しムクれた顔でそう言ってきた。説明が長いのは彼女自身分かっているようだが、
ちゃんと聞いてもらえないのはイヤなようである。
「と、いうわけで以上が基礎の魔法になりますわ。」
「うむ。ありがとう。傷を塞いだり、灯りを点したりする魔法は使うことも多そうだ。」
「そうですわね。今日のところはこのあたりにしておきましょう。
次の機会ではカツヨリが得意な水魔法のステップアップにしますわ。
それまでに共同訓練で魔法の鍛錬はしておくこと。良いですわね?」
「了解。」
エリシスの話は日が落ちかけるあたりで終わった。
部屋に戻るとちょうど夕食時でアサリが食事を運んでいる最中のようだ。
本当に話が長いだなぁ、としみじみ感じるのであった。
さらに翌日、山隊に所属して初の警邏を行うことになった。
朝食後、山隊の駐屯所に集合しハブや他の隊員達とミーティングを行うことになっていた。
「時間通りだねカツヨリ。改めてよろしく。」
「よろしく頼む、隊長殿。」
「あー、戦場や公の畏まった場じゃなければ僕のことはハブで構わないよ。隊の者は皆呼び捨てだからね。」
「そうか。ではよろしく頼むハブ。」
「うん、よろしくね。一部の者には昨日話したと思うけど、
彼が山隊に新しく入ることになったカツヨリ。
マリーチェくらい強いらしいから物騒なことは彼に任せるように。」
ハブが隊員の皆に軽く紹介をすると、最後の一言に笑いが起きた。
「よろしく頼むぜカツヨリー!」「歓迎するぜー!」「緊張してるのかー!笑え笑えー!」
どうやら隊の雰囲気はかなりフランクなようだ。
常に気を張ったり緊張するということはしなくても良さそうだ。
「カツヨリには警邏班で仕事をしてもらうよ。二人一組で城下町をパトロールするんだ。」
「了解。二人一組って誰と組めばいいんだ?」
「そうだね、最初はカツヨリと休みの周期が同じ者を当てよう。ムロガはいるかい?」
「は!こっちでやんす!」
ハブが呼んだムロガという隊員が両手を上げて応えた。
背は俺より低いが、日々の鍛錬をしっかりしているようで身体はガッシリとしていた。
戦場へ出た経験もあるのか頬には斜めに切られた傷跡があった。
「じゃあムロガ、カツヨリを三日間頼むよ。初日は城下町の案内を重点的にしてやってね。」
「了解でやんす!」
「では、朝のミーティングはこれまでにしよう。各自持ち場に戻るように!」
「「「「はい!」」」」
ハブが駐屯所から出て行くと隊員達はそれぞれに動き出していった。
「カツヨリ君、こっちでやんす!」
「あ、あぁ。」
ムロガが手招きすると、そこには他に六人の隊員がおり、その中に一度会った顔が居た。
「モタモタすんじゃぁねぇぞ坊主。」
「あなたは確か、ダンカン殿?」
「覚えてやがったか。まぁ同じ隊のよしみだよろしく頼むぜ。」
ダンカン殿より警邏の説明を受ける。
城下町の四つの区画をそれぞれ二人ずつ、時刻を知らせる鐘がなるごとに区画を右回りで移動する。
二人で手に負えないようなことが起きたときは配布された笛を吹くこと。
俺とムロガは南の大通りからスタートして東側中央通り方面へ、
そして北、兵舎裏手の西通りの方へ行く。
「わかったか?よしじゃあ仕事をはじめるぜぇ。」
「了解!」
そうして俺達は南の大通りへ向かった。
南の大通りをムロガの案内で警邏する。
「このあたりは武器や防具を作るの職人が多く住んでいるでやんす。」
主に非番の兵士や旅人が訪れる区画で、あまり多くは人が来ない。
職人達は武器や防具の他にも、調理用のナイフやナベといったものも作っているが、
そういったものは中央通りへ売りにいくらしい。
「あまりトラブルはおきない区画でやんすね。」
「そうなのか。なんとなくだが、気性の荒い人が多そうなイメージだが。」
「そういった手合いのは兵舎裏の西通りの方が多いでやんすよ。」
よくわからなかった。何故と尋ねるが行けば分かるという風であった。
そうこうしている内に時刻を報せる鐘が鳴った。
「次は中央通りでやんす。」
そういうムロガについて中央通りの方へ移動する。
「あ、ここは初めてココにきたときに通ったような。」
「ウィンディアへ入るには東側か北側の通りのどちらかにある門から入らなければならないでやんす。」
「そういえば、西側の通りの果ては壁だったな。」
城下町は円形状の石垣に覆われていて、二つの出入り口を構える形になっているらしい。
「この通りは日中バザーを開くことが許可されているでやんす。
ウィンディアの人ではない行商人も許可手形を城から借りることで商売ができるでやんす。」
楽市楽座に近いもののようだな。
賑やかな市場通ると時間の流れは速いようですぐに時刻を報せる鐘が鳴った。
「北通りへ移動するでやんすよー。」
「了解―。」
このときはまだ西通りで待ち構えているものがなんなのか、
俺には全く想像がつかなかったのであった。
今週末は三連休ですねー。日曜日は東方系の即売会いってきます。