女子更衣室?
他の人の性転換ものでは、女子更衣室が一大イベントですね。やっぱり、男性にとっては未知の領域だからでしょうか。こちらは意外とさらりとしたものです。
誤字訂正しました。
食品研究所の更衣室です。あの白いちっちゃな研究所の隣のスレート屋根の中にあります。研究員は十数名いますが、全員、男です。みんな、背広で出勤し、ここの更衣室で作業着という研究着に着替えます。
女がいないので、女子更衣室はありません。本館にはちゃんとあるのですが、主人は、何の疑いもなくこれまで通り、みんなと同じところで着替えていました。
そこへ研究所長の大川部長が着替えにやってきました。
「おはようございます。」
「お早う。早いな。」
部長は普通にシャツとパンツだけになり、着替えていましたが、おかしな匂いがすることに気がつきました。
「ん、日下部、化粧はしてないよな。」
「男ですよ。そんなことするわけないじゃないですか。」
「なんだ。このおしろいのような匂いは・・」
部長が匂いのもとをたどって、主人に近づいたとき、半袖シャツの下にブラジャーを付けていることに気がついたのです。
「お前、ブラジャーつけているのか?」
「ええ、ちょっと膨らんできまして・・来栖先生が付けろとうるさくって。」
「それに、この匂いは女の体臭だ。」
主人は自分の腕の匂いをくんくんと嗅いでいます。
「そうなんですか?よくわかりませんが・・」
「うーん。ブラジャーを付け、女の体臭を振りまく者を男子更衣室においとく訳にはいけないなあ。よし、専用更衣室か女子更衣室だ。研究総務に掛け合ってこよう。」
「ここでいいですよ。問題ならトイレ着替えます。」
「馬鹿なことをいうな。問題があったらどうする。朝からあの狭いトイレに閉じこもる気か。」
食品研究所のトイレは階段の下に作られた狭いところです。たぶん、夏は暑く冬は寒いでしょう。
実は主人はまだ女子トイレすら行ったことがなく、女子更衣室はさらなる未体験ゾーンなのです。
女子更衣室です。
総合研究所の本館、そう、あの立派な建物の中です。主人が女子更衣室に入ると4人の総合研究所本館の女性がずらりと並んでました。元々、本館には女性社員は全体の4分の1しかいません。ここには、各部からの代表が集まっているのです。実は、主人が女子更衣室を使ってよいか決める日なのです。入るとすぐに服を脱ぐように言われ下着姿にされました。
周りの女性陣は、制服と白衣です。
あっと、言い忘れましたが、女性の事務方は、上はブラウスに紺のベスト、下は同じ紺スカートの事務服です。研究方は、トレーナーの上に白衣をはおっています。男子は工場作業着なのに女子はなんで白衣なんでしょ? たぶん、猛反対されたでしょうね。女は強いです。
「脱ぎました。これでいいですか。」
みんなで一斉にくんくんと匂いを嗅いでいます.そもそも、女の体臭を発するようになったからと言われたの確認しているのです。自分の体臭である女にはわかりにくいですけど。
「汗臭いわね。」
「うん、確かに男の匂いはしない。」
主人がシャツのしたにブラジャーをつけており、明らかに胸が膨らんでいるのを見ていいました。
「ブラジャーつけているの? 変態! サイズはいくら」
「A75です。なんだか日増しに膨らんでいるですよ。」
「勝った・・いや・・そ、その割には下は男物ね。」
「おしっこはこの方がしやすいで・・生理の時はショーツですけど。」
「生理? そういえば、大出血事件の原因は生理だったわね。あれからもあるの。」
「えーと、6回ありました。周期がしっかりしているので間違いないです。」
「周期通り?いいわねぇ。私なんか体調を崩したりしてよく予定日がずれるのよ。」
「へえ、ずれたら大変ですよね。」
「そうそう、とんでも無い日になっちゃうのよ。来てほしくない日に・・」
「わぁ、そりゃ悲惨だ。僕なんか研究報告会と重なちゃって大変でした。途中退席もできないし、日を変えてくれともいえないし、上司に言えないのがつらいですね。」
「そうなのよ。女の上司どころか、私なんか部に1人でしょ。全然理解してもらえないのよね。」
「そうそう、生理なんか1日で終わると思い込んでいる男が多いわね。あんた、期間はどのくらい?」
「時間が読めないけど、ほとんど、1回でドバと出て終わり。一発で終わるので楽ですけど。」
「うらやましい。私なんかたらたら1週間くらい続くのよ。」
「へえ、あんなのが1週間くらい続いたら大変ですよね。」
「頭痛とかは無いの。私なんかアノ前後はやたらと頭が重いの。」
「そんなのは無いですね。ただ、生理前は軽い鈍痛がして、わかるようになりました。」
「いいわね。」
「そういえば、私この間・・・」
主人はいつの間にか生理談義に溶け込んでいました。どれが主人の発言かわかりますか?
「ちよっと、話が外れていない。今日は日下部さんが女子更衣室を使っていいかでしょ。」
「そうだっけ。こんなに生理談義ができるだったらいいんじゃない。」
「女と認めてもいいと思うわ」
「そうね。いいわね。」
「賛成!」
(え?ホントにいいのかよ。こんなに簡単に女子更衣室を使わせてもらえるなんて・・しかし、明日から女子更衣室かあ。)
ホントはどっちでもよかったみたいでした。ずいぶん女っぽくなっているみたいので、裸を見てみたいというのが本音だったのです。
「ねぇ、日下部さんは化粧しないの。」
「かわいくなるわよ。して上げようか?」
「いいです!」
数日後の女子更衣室です。
主人がやや青い顔をしてロッカーの前に立っています。
「どうしたの? 日下部さん。生理なの。」
「いえ、電車でお尻を触られたんです。男の尻をさわるなんて、変態だぁ。」
「あんたを男と間違えるひとはいないと思うけど・・」
「何をいうんですか。僕は男ですよ。」
「はいはい。」
そう言って、彼女は主人の視線を気にすることなく、服を脱ぎ始めました。
それには、主人がびっくりして顔を赤らめています。実は今まで朝早くきて女子がいないのを確かめて着替えていたのです。
「どうしたの。日下部さん、着替えないの。」
「大胆ですね。僕は男ですよ。」
「ふふふ、ブラジャーにショーツをつけてよく言いいますね。私の格好と変わんないじゃないの。」
「う・・好きでつけいる訳じゃないのに・・・」
主人はさらに落ち込んでいました。
このころは、おっぱいが膨らんでブラジャーがきつくなり、ウェストが縮んでベルトの穴が足らなくなったそうです。本人はますます女性らしくうらやましい体型になっているのに気がつきません。