ナプキン? タンポン? それって何なんです?
男って生理には意外と無知ですね。ショーツとパンティの違いもわからないようでした。最近、ナプキンの性能がよくなってきたんで、あんまりこだわらない人もいるようですが・・
ここは来栖先生の診療室です。
「ようし、これで本日の診察はおわりだ。出血は収まってきているな。代えた後、出血がなかったらガーゼはやめていいぞ。」
「はい。わかりました。」
「来週は、両親に説明してやるから連れてこい。」
主人は浮かない顔していました。出血事件のことはもう親には話したのでしょうか。
それよりも重大な疑問があっようです。
「ところで、先生、女の人はみんなガーゼを貼り付けているんですか?」
看護婦と来栖先生は顔会わせました。
「それってぼけて言っているのか?」
主人はいたってまじめです。
あきれて、来栖先生は言いました。
「そんな訳無いだろ。ガーゼと包帯は、吉岡の緊急処置だよ。生理とわかってりゃこんなことするかよ。」
「エーー。ガーゼをあてているじゃないんですか?」と驚愕する主人。
「ナプキンやタンポンを使うんだよ。」
「ナプキン? タンポン? それって何なんです。」
「そんなの母親に教われよ・・・・できっこないか。おい、だれか、こいつに教えてやれ、おれは小児科じゃねぇ。」
先生はあきれて顔を伏せてしまいました。
「しかたがないですねぇ。お姉さんがおしえてあげましょう。」と看護婦がドヤ顔でいいました。ホントは、主人よりずっと年下ですが・・・
まずは、ひものついた小指大の綿の棒のようなものを出します。タバコのフィルターといった感じでしょうか。
「これがタンポン。」
「へえ。」
「そして、これが専用の挿入器です。こんな感じで膣の中に入れるのよ。そして、このひもを引っ張って取り出す。ちぎれたら大変よ。」
看護婦さんの指し示すボードには、子宮の模式図と子宮口がリアルに描かれていました。そして、紙製の筒をつつを使って、膣に挿入する絵が描かれています。
「膣は子宮に繋がるアナだなんでね。初めて知りました。こんなの体の中にいれるんですか?怖いなぁ。」
「出血する穴をふさいじゃうわけだから、漏れが無くて確実なんだけどね。初心者は無理ね。」
「うんうん。」とうれしそうに頷いています。
看護婦さんは次に薄っぺらいシート状のものを出します。中央にやや膨らみがあり、綿のようなものが詰め込まれいているようです。
「これがナプキン。この絵のようにショーツに貼り付けて使用します。まあ、脱脂綿を股間にあてているよなものね。ここのヒダでずれないように止めるの。」
ボードには、ナプキンを固定する様子が書かれたパンティの絵があります。
「いいもんもっているな。そんなボードどっから手に入れたんだ。」
「生理用品を売っている営業の方です。ほんとは先生がすることなんですよ。私に押しつけているから・・・」
「あのう。これってどこで買うんですか? 種類があるでしょ。」
来栖先生はジト目でうるさそうに答えました。
「薬局やスーパーだよ。めんどくさいやつだな。連れてってやるよ。初めだけだぞ。」
ここはの薬局売り場です。主人はブラウス、いえ、カッターシャツにスラックス、先生は、ロングパンツにTシャツを着てその上に白衣を羽織っています。
主人は初めてなんで顔を赤らめながら付いてきています。化粧品売り場に興奮しているでしょか? 化粧品やシャンプーもありますが、主人と先生はそこを通り過ぎていきます。
生理用品がずらり並ぶ一角に来ました。主人は袋の表示を見ながら感心して言いました。
「わぁ。いろいろあるんですね。多い日用、夜用、昼用、帯付き? これは何なんです。どんな違いがあるですか?」
「吸収量の違いだよ。夜用は一晩中代えなくてもいいように、分厚く大きいんだよ。その代わりかさばる訳だ。」
「ふーん。」
「生理と言っても、個体差があってな。1週間もだらだらと出血するものいれば、最初からドバッといって、その後、ほとんど無いヤツもいる。その中間もある。出血量が少ないならば昼用でも一晩もつ。」
「あのう、初心者の僕はどっちをかえばいいんでしょ?」
「おまえは、どっちかというと、前者のほうかな。うーん、とりあえず、これとこれを買っとけ。次、行くぞ」
さすがに総合スーパーです。すぐ隣が下着売り場になっています。
「次? ここは下着売り場じゃないですか。」
主人は顔を赤めています。
「ショーツはここにあるからな。今日は、生理用品を買ったんだ。女の端くれだろ。恥ずかしがることないぞ」と先生はニヤリと笑って言いました。
「へぇ?これがショーツねぇ。」
主人は山積みにされたショーツのひとつを取っていいました。
「パンティとどうちがうんですか?」
「綿製でちょっと、股間部だけ厚みがあるだろ。万が一漏れた場合にここで吸収してくれるんだよ。最近はナイロン製で差がわかりにくいのも出てきたけどな。」
「わお、こっちにもいろいろありますね。」
「そっちは、パンティだ。最近はナプキン性能も上がってきている。少ない日はそれでも十分だ。買っとくか?」
「いいです。」
「ブラジャーはいいのか?」
「いりません。」
「そんなことはないぞ。初潮を迎える頃は乳腺の発達も著しいはずだ。レントゲンでみたかぎり、その兆候がみられたんだ。測ってみるか?」
「え?」
「すみません。こいつの胸を測って頂けますか。」
先生は店員に声を掛けてしまいました。
試着室です。
「トップバストは・・アンダーは・・・ですね。」
「僕におっぱいがあるですか?」
「ありますよ。かわいいのが、AAくらいかな。」
「まだ、AAか。なくてもいけるかな。」
「いえいえ、付ける練習になりますし、お買い上げになっほうがいいですよ。」
「じゃ。一つだけ買っとくか。」
「これで、練習しとけよ。きつくなったら、Aカップだ。そのくらいからは常時付けないとだめだぞ。」
ついでに、ウェストとヒップも測ってもらいました。
「寸胴だな。」と先生はつまらそうにいいました。
主人はちょっと傷ついたようですが、男なんだから当たり前かと考え直しました。その当時は、今のナイスボディになるなんて想像もしてなったようで・・
帰り道です。
「あの、生理というのは毎月あるんでしょ? 次の生理はいつなんですか?」
「大体、25日から35日だな。頭痛とかお腹の鈍痛とか予兆がある。精神的にも不安定になることも多い。おまえそんなのなかったのか。」
「直前に、鈍痛があってあっと言う間でしたね。」
「うらやましいやつだな。世の女性はいろいろ苦しんでいるのに・・」
「それより、次の生理にはどうすればいいんですか?」
「周期からその1週間前から、ナプキンを当てておけばいい。慣れてくると、前兆として澱があったたり、小規模な出血があるのがわかる。それからでも遅くないぞ。」
「わかりました。そうします。」
主人は憂鬱な顔をしていました。
「まあ、世の女性は当たり前に対処しているんだ。慣れればどうということはないよ。」
「そうなんですか。しかし、ぼくはどうなるんでしょうか。」
「いままでの、両性具有は女性であることが多い。生理が始まるとということは女性ホルモンがドバドバと出ているいうことだ。あっというまに女になるな。」
「え・・女になっちゃうんですか。」
「おまえはどうなるか要観察というところだけどな。」
あらあら、ますます暗くなったようですね。
1ヶ月立ちました。2回目の生理の時期です。主人がトイレに駆け込んできましたよ。主人はトイレにしゃがんで股間を確認しています。ナプキンが血で真っ赤になっていした。
「うう。今度は来るのがわかったな。エート、28日目か。エラく正確だな。」
ちなみに、2階だけの食品研究所というところには、トイレがひとつしかありません。もちろん和式便器がひとつだけです。研究員は全員男です、サニタリーボックスなどいうものがあるわけありません。主人はトイレに流せないし、途方に暮れてしまったそうです。こっそり穴を掘って埋めようかとまで考えたそうです。
ともかく、トイレットペーパーでつつんみ、部屋にに帰って封筒に入れて上司に相談したそうです。結論的には生ゴミとしてすてればいいということになったそうですが・・
研究総務部に相談したところ、大笑いされ、それ以後、サニタリーボックスが整備されました。
ところで、サニタリーボックスのことはご存じですか。トイレ用のゴミ箱なんですがこのような生理用品を捨てる小さな蓋付きの箱です。水洗トイレに流されるとつまるし、女としては持ち歩きたくないので、そこに捨ててもらうわけです。ガムとかトイレットペーパの芯とかを捨ててはだめですよ