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ある夏の夜の恐怖

掲載日:2026/08/02

 ある夏の日。

 廃墟探索を趣味としている彼は、仕事の休みを利用して、某県にある廃病院を訪れた。

 その病院は外科手術を専門にやっていて、とある医師による重大な医療ミスで患者の死亡事故が起こり、それがきっかけで潰れてしまったという経緯があった。

 とはいっても、「幽霊が出る」といった噂はない、ただの廃病院だ。

 いつものように廃墟内を巡り、一定の満足感を得て帰宅した。

 築50年の古びた安アパート。

 1DKの一室が、彼の家だ。

 カップラーメンで夕食を済ませ、シャワーを浴びて寝間着のTシャツを着る。

 いつもと変わらない、ごく普通の日常だ。


 寝る前にテレビでも見ようかと、リモコンのスイッチを押す。

 テレビでは、心霊特番をやっていた。

 「廃墟心霊特集 憑りつかれた訪問者」というタイトルのようだ。

 廃墟という単語に興味を惹かれ、思わずじっと見入ってしまう。


「……ん?」


 しばらくそれを見ていた時、息苦しさを感じた。

 首を絞められるような、妙な違和感。


『憑りつかれた訪問者の末路は……』


 テレビでは、霊に憑りつかれた男が首を押さえ、白目を剥いて唸るイメージ映像が流れている。

 彼の背筋に、嫌な汗が流れた。

 だが、今日訪れた廃病院は、心霊スポットなどではない。

 自分が憑りつかれるなど、あるはずがない。

 そう自分に言い聞かせながらも、だんだんと息苦しさが増している気がする。

 彼は不安に駆られ、「自称霊感持ち」の友人に電話をかけた。

 事情を話すと、友人はこう言った。


「……お前さ。さっきから、男の苦しそうなうめき声が聞こえてるぞ」


 その言葉に、彼は慌てた。

 どうすればいい、と友人に問う。


「とりあえず、部屋の四隅に盛り塩をしろ。それでもダメなら、明日、近所の寺に一緒にお祓いに行こう。お前、かなりヤバい状況だぞ」


 電話を切り、台所から食塩を取って来て、小皿に盛る。

 食塩なんかでいいのかという疑問はあったが、今はこれしかない。

 部屋の四隅にそれを設置してしばらく様子を見たが、息苦しさは相変わらずだった。


『かなりヤバい状況だぞ』


 友人の言葉が、より一層恐怖を増幅させる。


「明日、お祓いに行こう……」


 そうつぶやき、歯を磨こうと、テレビを消して洗面所に向かう。

 今日はさっさと寝て、明日起きたらすぐに友人を呼び、お祓いに行くと決めた。

 鏡の前に立ち、コップに水を入れる。

 ふと、鏡を見た。


「うっ!?」


 鏡に映った自分の姿に、彼は思わず息を呑んだ。

 彼は、Tシャツを前後逆に着ていたのだ。

夏なので、ホラー?な短編を書いてみました。

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― 新着の感想 ―
オチで、笑えました‼️
そっちかーい!
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