8 シスタードミ 誘拐組織のアジト
修道院に来た。
コンコン、
はい、
ガチャ、修道院の扉が開くと美しいブロンド髪のシスターが姿を現す。
こんにちはシスタードミ、寄付を持ってきました。
フレイルさん、ようこそいらっしゃいました。
タイミングを見計らって燕麦の詰まった袋を手渡す。
いつもありがとうございます。
いえ、これくらいしかできませんから。
そんなことありません。フレイルさんはいつも子供たちと遊んでくれているではないですか。
あ、いま白湯をご用意しますね!
日陰の濃い、外のテラスに出てテーブルに座ると陶器の湯呑が出される
ズズ
美味しい。シスタードミの入れる白湯はいつ飲んでも美味しいです。
ふふ、ありがとうございます。フレイルさん、
ニコリと笑う
シスタードミはとても優しく笑う人だった。
シスタードミが赤面する
そう、少しおおげさに言えば好かれているようだ。
自分が他人から好意を向けられるだなんて思わなかった。
マスターアカーテスとはまた違った男女の好意だ。
私は具体的に何か行動を起こすわけでもなく。ただただこの青臭い恋愛感情をどうしていいかと考えあぐねていた
こ、子供たちはどうしていますか?
気まずくて取り繕うように質問する
いまはお祈りの時間です。
もう少ししたら出てくるかと
カランコロン、鐘の音が鳴ると子供たちが扉から出てきた。
あ、フレイルお兄ちゃんだ!
小さな子供たちがたくさんやってきた。
フレイルお兄ちゃん遊んで!遊んで!ご本読んで!
小さな手が袖を引っ張る
いいよ。追いかけっこしようか!
わぁーい!
はははっ!
こうしてたまに子供たちの相手をする。
彼ら彼女らは純粋で無知でまだまだ世の中の汚れに染まりきっていないあどけなさがある。
ロイドの家が襲撃されたあの日、人を殺してでも生きようとした子供とはまるで違う。これこそが子供だ。
だが同時に罪悪感もあった。
私は自分の正義を押し通し哀れな子供を斬り捨ててしまったのではないかと
あはははははははは!
子供たちの笑い声を聞いて我に返る。
遊び相手になることで喜ばれるけれど私自身、血なまぐさい世界から心が洗われるような感覚がしてありがたく思っていた。
私の生き甲斐、そう言っても過言ではない。
フレイルお兄ちゃん、次何して遊ぶ?
それじゃあ、本を読もうか。
うん!
可愛い、可愛い、子供たちには、人に優しく正しくそんな恥ずかしくない立派な大人になってほしいものだ。
シスタードミは子供たちの世話を焼きともに笑い合っていた
しばらく本を読み聞かせていると
おらああ!
野太い男の声が響く。
見なれない男たちが集まっていた。
ドガン!
シスタードミの目の前で花が詰まった台車が蹴り飛ばされたる。
中身の花が地面に雪崩落ちた。
な、何なのですか!
子供を抱きかかえたシスタードミが震えている。
立ち退き勧告に来た。
この土地は俺たちロス商会が買い取った。即刻、立ち退きしてもらおうか?
そ、そんな!この修道院は、教会が管理する土地!そんなはずありません!
ここにきっちりと譲渡の印を記した契約書がある。
いや~、こいつを手に入れるのに神官様に首を縦に振らせるのに苦労したぜ。
男が手からぶら下げた紙には甲が乙に土地の権利を譲渡する等書かれていた。
そ、そんな馬鹿な!
確かな書類だ。言いがかりは困るなあ?
なら上納金を入れてくれさえすればここに滞在してもいいんだぜ?
じょ、上納金ですか?
頭金にあんたの体、なんてのでもいいな?へへへ
シスタードミが服を抱き寄せて後ずさる。
見かねて私は奥から身を乗り出すことにした。
うお!騎士・・・か?
いかにも、ここから去りなさい。
おいおい、困るぜ。俺たちは正当な権利を主張しているだけだ。
まさか、栄えある王国騎士様が権威を傘に来て横暴を働くなんてしねえよなああ?
当然です。だが、私にも我慢の限界はある。
そう言って男たちの背にウエイダーの顔を思いながらにらみつけると
男はブルリと肩を震わせ顔を青くした
ま、また来るぜ。
そう吐き捨てて走り去って行くのだった
シスタードミ、大丈夫ですか?
手を差し出すと
はい、助かりました。ありがとうございます。
手をつかんだ
震えている。
座りましょうか。
はい。
それから白湯を飲みながら話し合った
これからどうするおつもりですか?
ここを引き払う他ないでしょう。
そんな!住む場所はどうするのですか!
どこかの修道院に住まわせてもらえるよう交渉しようと思います。最悪は子供たちだけでも置かせていただけないか交渉して。ですがそれも望み薄でしょう。
落ち込むシスタードミ
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兵士詰め所にて議題が持ち上がった
修道院に対する違法な立ち退き行為だ。
先日、修道院に対する不法な立ち退き行為がありました。
ロス商会の取り締まりを進言します。
そのことか、ロス紹介は財力を使い各所で似たようなことをしている
噂では人さらいをしているとの情報もある。
では!
早急に逮捕するにはまだ証拠が足りない。やつらが尻尾を出すのを待て
そう言われては何も言えない。
必要なら壊滅させてやる。
そう内心決意した。
いつものように修道院に顔を出すと
内部では子供たちが祈りをささげていた
こんにちはシスタードミ
こんにちはフレイルさん
あれからどうなりましたか?
はい、身受けをしてもらえる修道院を当たりましたが一向に見つからずまいってます。
せめて期日があれば
ガシャーン!
きゃああああああああああああああああああああああ!
修道院のステンドグラスが粉々に粉砕される。
誰かが石を投げ込んだのだ。
誰か?当然やつらだ。
急いで修道院の扉を開くと男たちが逃げていく姿が見えた。
壁には泥が塗られている。
掃除しましょう。手伝います。
シスタードミはどこか疲れた顔をしながら
はい・・・。ありがとう・・・ございます・・・。
力なく返事をした。
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ある日、修道院の扉がコンコンとノックされる
はーい!
シスタードミが扉を開くと武装した男たちが数名立っていた
やあ、シスター。
男は笑顔でぺらぺらと語る
へへ、前にも言ったろ?頭金てやつだ。お前が体を指しだぜば上納金を待ってやるよ。すでに不法滞在も超過2週間だ。その分だけでも体で払ってもらおうか?
男の手がシスターの手首をつかむ
ちょ、ちょっと!やめて!いやあああああ!
シスター!
シスターをいじめるなあああ!
わああああ!
子供たちが男たちの足にしがみつく
ダメよ!みんな!逃げなさい!
くのお!
蹴り上げられ
ぐえ!
子供の体が宙を舞う
おい、ちょうどいい。ガキ共もさらえ!
「「へい!」」
わあああああああああああああああああああああ!
子供たちが手足をわしづかみにされ捕まっていく
やめて!子供たちには手を出さないで!
ああ?
ドゴ!
男の拳がシスターをぶっ飛ばす
ドゴ!
ぎゃ!
ドゴ!ドゴ!
いやあああああああああ!
殴られ髪の毛をひっつかまれ投げ飛ばされる
おらあ!
床の上に投げ出され
ドス!ドス!ドス!
蹴りが叩き込まれる
がっ!ぐ!ぼえ!
シスターはボロボロになりながら男を見上げた
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いつものように修道院を訪れると誰もいなかった。
誰かいませんか~。
声をかけながら修道院内を歩いてると椅子の隅にうずくまる子供を見つけた。
ど、どうしたんですか!
お、お兄・・・ちゃん!
抱き着いて来る。
ただ事じゃないとすぐにわかった。
何がありました!
シスターと!みんなが連れていかれちゃった!俺怖くて!見てることしかできなくて!うああああああああああああああああああああああああん!
怖かったですね。よく頑張りました。偉い偉い。
抱きかかえて頭を後ろ手に撫でてやる
大丈夫、ここで待っていなさい。お兄ちゃんが必ずみんなを取り戻して来ますから。
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雨
王都の街中に来た。
調査が正しければこの建物が人さらいの根城だ。
無論、騎士団からの許可など下りていない。
完全に独断行動でここまできた。
両開きのドアをあけ放つとガラの悪そうな男たちがこちらをにらんだ。
ああああん?誰だお前えええ?
ここにシスタードミとその子供たちがさらわれた疑いがある。中を改めさせてもらいます。
お前のようなやつはお呼びじゃねえええんだよ!
ぶん!と蹴りが飛んできた
左に上体をそらし回避
はあ!
男をぶん殴る。
滑り込むように頭から床に倒れていった。
他の仲間が叫ぶ
て、てめええ!やりやがったな?
邪魔をしますか?
倒れた男が叫ぶ
殺しちまえ!
男たちは剣を抜く。
再三確認します。
あなたたちは人さらいをかばいだてする。それでいいのですね?
奥から男が現れるとヘラヘラと笑いなが言った
はん、俺たちはやってねえよ!
その顔ではやっていると言っているようなものでしょう。
証拠だ!証拠を持ってこいやこらあああああああああああああ!
証拠何てあるわけないでしょうが。やれやれ、しかたがありませんね。
兜の面を下ろすと鎧の色が鉄色から純白へと変色していく。青い両目がブォン!と光った。
何の変哲もないただの鉄の剣だったものが聖剣へと変化していく。
我が名は清廉騎士
男たちは異様な雰囲気を肌で感じ取り後ずさる
この姿を見たからにはお前たちを生かしておく理由はなくなった。
イカレ野郎がああああああああ!
はあ!
シュパン!
男たちが気が付いたときにはすでに二人の首が跳ね飛んでいた。
血液が木の壁にまだら模様を描く
ツカツカと歩いていくと
おらあああああああああああああ!
であああああああああああああ!
二人剣を手に襲い掛かる
やあ!
はあ!
すれ違いざまに斬り捨てると真っ赤な血が波となって壁に飛び散った
た、助けてくれ!
シュン!
命乞いをしながら後ろ手にナイフを握っていた男の体がバターのように左下にずれ落ちる。
ひいいいいいい!
仲間たちの悲鳴があがる
言ったはずです。しかたがないと。
てめえええええええええええええ!
三方向から振り下ろされる剣を
はあ!
上空へと飛んで回避、剣を踏みつけながら二人を8の字に切り捨てる。
8字に飛び散った血が窓ガラスを濡らす
手足を切り刻まれ、大根台の肉が床の上にいくつも転がっていく。
はあ!
そのままジャンプ、男の頭上を飛び越えて、背のえりくびを引きずり倒す、しゃがんだ姿勢から立ち上がり振り返ると胸を踏みつけつつ、目の前に迫る並みいる男たちを右に一閃、左に一閃、胴体を両断するほどの勢いで次々と斬り捨てていく。
びじゃびじゃびじゃ!
大量の血と臓物が宙を舞い。部屋の四隅に張った蜘蛛の巣が真っ赤に染まった
そのあまりの剣術に挑む男たちが尻すぼみを始めるとようやく足元の男の首に剣を突き立てる。
がふぁ!
血しぶきが兜にかかる
男たちが見たのは騎士などではない。まさしく血濡れ、返り血にまみれた血に飢えた怪物だった。
はあああ!
鋭く踏み込み4人の首が同時に消し飛ぶと血のシャワーが天井から降り注ぐ
すべて斬り捨てた。
ヒュン!
勢いよく剣を振るい血を振り落とす。
シスターたちがいるのは奥だろうか。
剣を床に引きずり男たちに死の音を聞かせ、死神が来たと理解させていく
視界に写るものをじっくりと観察、隠し扉がないか注意深く一部屋一部屋めぐっていく
右手の部屋を開くと全裸の女が殴られベッドの上でへばっていた
そばでタバコを吸いくつろいでいた男が血だらけの私を見てベッドからずり落ちると腰を抜かす
て、てめえ!騎士なのか?
ベッドの上に乗る
土足で失礼。
一言断りを入れ、男の喉笛を剣でぶっ刺す。
ひい!
小さく悲鳴があがり男が頭から横に倒れた
息はありますか?
女に声をかけ口元に手をかざす。息はあるようだ。
あられもない体に布をかけた
向かいの部屋の扉をゆっくり開ける
いやあああああああああああああああ!
扉横から男が襲い掛かってきた
右手の平で壁に叩きつけ気絶させる
部屋の隅にやはり女がいた
ここは奴隷を使った売春宿のようだ
動けますか?
女は何をしているのかと思えば部屋の隅でぶるぶる震えながらうずくまっている
逃げてください。
む、無理よ。逃げきれない
おびえきっている。動くのは無理そうだ
倒れている男の顔面に剣を突き立てる
ぐえ!
ぶじゅ!
血が飛び散った
きゃあああああああああああああああ!きゃあああああああああああ!
感情の爆発、惨殺を見て正常な反応だった
では、全滅させましょう。
部屋を出ると左隣の部屋の扉を開ける
手を縛られ傷ついた女が倒れている。
男はいないようだ。
気を失っている。
拘束を解除しておこう
逃げなさい。
そう言い残してから
向かいの部屋の扉を開けると
殴られたであろう青あざの女が床の上に倒れていた
窓際でニワトリのおもちゃがくるくる回転している
隣のベッドで眠っている男の胸に剣を突き立てる
ふん!
グザ!
うぐうう!
男はくぐもった声をあげ
ぶじゃあああああ!
血を滴らせた
女を抱き起すと男の死体を蹴り落とし、ベッドの血で汚れていない部分に寝かせる
逃げなさい。
でえええええええええええええええええ!
影に潜んでいた男が襲い掛かってきた
剣を思いきり振り抜くと男の胴を一閃
木板の窓を突き破って外に身を投げ出した
きゃああああああああああああああああああああああああああ!
通りの方から悲鳴が聞こえてくる
これで一階の掃討は完了した。
階段をゆっくりあがっていくと
でやああ!
奇襲、上段から振り下ろし
はあ!
切り捨てる
わあああああああああああああああああああ!
男は階段の手すりを飛び超えて落ちていく。
階段を登りきると新たに斧と剣を持った男たち、
はあああ!
凶器が振り下ろされる
最小の動きでかわし、背後に回り込むと振り向かないまま、男の背中に剣を突き立てる。
ぐあああああああああああ!
目の前のもう一人は拳で顔を殴りつぶしてひるませ。
ぐえ!
鼻血を噴き出す目の前の男に背後の男から引き抜いた剣を振るい首を跳ねる。
ごえええええ!
びゅびゅびゅ!
血液が壁に降りかかる
剣を背中から引き抜かれた男が階段を転がり落ちた。
扉の前まで来る。
この部屋か?
ギギ、と開くと男たちが談笑していた。
はずれか。
はあ!
ドアを開けると同時に飛び込み、一番近くにいた男の頭部を両断、大出血の華が皆の視線がくぎ付けになっている間に、
ふん!はあ!
左右の男たちの首を小さく切り裂く
このおお!
ようやく状況を理解し激怒した男が動く前にテーブルの上に突き立ててあったナイフをつかみ、
シュン!
男の首に投げつけた
ぐええ!
男はそのまま背後に倒れ込んだ。
制圧完了。次の部屋に行こう
次の部屋を開くと全身金属鎧の戦士が立っていた。
宝物庫か。戦士の背後には大量の宝箱が置かれている
騎士がなぜここに!
重厚な鎧の戦士だ。かなり腕が立つと見た。
大きな剣を振り上げて襲い掛かってきた
ふん!ふん!ふん!
振り下ろされるよりも前に剣に剣を叩きつけ三連撃
くっ、う、嘘だろ!重い!
苦しそうにうめいて後退していく戦士、手加減はしない。全力で押し切る。
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
さらに立て続けにつばぜり合い。いくつもの火花が散る。それだけ力を込めて打ち込む
はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!
ぐっ、
相手のスタミナが切れるまで執拗に剣を振り下ろし、ついに手をしびれさせた戦士が剣を取りこぼす
しまった!
はあ!
鎧の上から全力の一撃を叩き込み、鎧もろとも戦士をぶっ叩斬った。
鉄と鉄のひしゃげた間から大量の血液が噴き出す
ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ドサン。
戦士が宝箱の海に倒れ込む。
金におぼれて死んだか。
次だ。
隣の部屋に移動するとたくさんの子供たちが縛り付けられ一か所に寄り添っていた。
いくつものおびえた目が私を見あげていた。
もう大丈夫だ。助けに来た。
そう伝えると助かると明らかに安どの表情が見て取れ、すぐに駆け寄ってきて泣きじゃくる。
うええええええええええええええええええええええええええええええん!
大丈夫だ。修道院に帰ろう。
子供たちの一人が言った
騎士の兄ちゃん!シスタードミが捕まってる!助けて!
わかってる。みんな先に外に出ていなさい。
一番年長者の子供に指示を出し子供たちを先に逃がしてもらうとさらに歩みを進め最上階へと移動、扉を開くと豪勢な部屋にシスターがベッドに縛り付けられていた
ベッドシーツは血で赤くにじみ
衣服をはぎ取られあられもない姿だ。
顔は血にまみれ、ボロボロになるまで殴りつけられた跡がある。
すぐに拘束を解き、部屋のソファーに座らせる。
シスタードミ、しっかりしてください!生きていますか!
・・・フ、レル・・・・・・。
死にそうな声で名前を呼ばれる。
酷すぎる。すぐに修道院で手当てを・・・。
おっと、動くなよ!騎士!
振り返ると子供が人質に取った男が立っていた。
この俺ドン・ギルの城を荒らした報いを受けてもらうぜ!
そうか、貴様が人さらいの親玉か。
はあ!
うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
男の腕が両断され下の階にすべり落ちていく。
子供が解放され、すぐに私のほうへと走って来る。
背にかばうと男を見た。
お、俺の腕があああああああああああああああああああああああああああああああ!
はあ!
男のむなぐらをつかみベッドの上に投げ飛ばした
ぶええ!
な、なああ!金なら払う!だから命だけは助けてくれえええええええ!
そうか。ならベッドに手を縛り付けろ
男は片腕のないまま言われるままに口だけでベッドに手を縛り付ける
ほ、ほら、これでいいだろ?助けてくれよ!
出血のせいか、それともおびえてか声が震えている
命乞いをする男に私は言った。
審判の時が来た。
人をさらう。人を人とも思わない外道が!
私の中の怒りが聖剣を握る手が痛くなるほどに剣を固く握りしめていく。
すると剣から、見ていると心が温かくなるような優しい黄色い光が発光し、
次第にそれは悪しきものを破壊する邪悪な白い光へと変化していった。
両手で剣をつかみ胸の前に持ってくるとピンと突き立てる。
鎧の体から白い闘気が交差して巻き上がり、鋭い二つの目が青く光った。
はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
腹の底から呼吸することで剣の光が興雄する。
強い力を前に室内の床がめくりあがり宙に浮いていく。
強すぎる正義の心が一切の悪を殲滅し、白い光となって剣のつかから剣先まで充満し最大の力を収束させていく!
シスタードミも、子供たちも、彼らの味わった恐怖を味わうがいい!
光の剣、シャイニング・スラッシュ!
膨大な光が男もろともベッドをなぎ倒し壁をぶち抜いた。
ぎゃ、ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
男の断末魔が響き渡る。
空の彼方でベッドが爆散し、光の奔流が天を突き、闇を討ち払う。
すぐにシスタードミを抱きかかえて聖堂へと急ぐ。
聖堂の扉を開くと叫ぶ
神官様!治癒をお願いします!
おお、これは酷い怪我だ。ささ、急がれよ。
うながされた台座にシスタードミを乗せると
神官様が杖を振るい治癒聖法を振るう
癒しの光が彼女を包むと傷が癒えていく。
シスタードミ。シスタードミ。
う、うう・・・うう・・・。
なんとか一命を取り留めたようだ。
よかったです。シスタードミ。
彼女の手を強く握った。
生きていてくれてよかった。
それだけで安堵した。
・
・
・
・
・
・
それから数日後、いつものように修道院に燕麦を持っていく
コンコン
扉をノックすると
ああ、フレイルさん、いつもありがとうございます。
シスタードミはあれほどのことがあったあとだというのに、深く傷ついたはずなのにそんなそぶりを見せず気丈に振る舞っていた。
私はその姿を見て涙が出た
あ、だ、大丈夫ですか?フレイルさん!
いつもと変わらない日常、それが何より大事なのだと改めて自覚した。




