3 光の目覚め
1日懲罰房行きとなり
それからすぐに出所の日がきた
のちに常連になるだろうから看守にしっかり挨拶をしておこう
お疲れ様です。
おお、新米、お前最初から派手にやったな。
いえそんな、普通のことですよ。
普通!?
以後、看守と会話をせず
騎士長の部屋へと行くと
いいか!お前の任務は無法者を捕らえることだ!まして騎士見習いがでしゃばるな!緊急時を除き、騎士に処刑を執行する資格などない!ふざけるな!
騎士長が怒り狂っている。
聞いているのか!
はっ!肝に銘じます!
行け!
言われるまま部屋を後にする
騎士長の話によると
私に対して殺した者の家族には復讐する権利があるそうだ
いつでも来るがいい!
ふ、ふふふふふっ。
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薄暗い牢屋の中で男はフレイルたちのことを考えていた。
宿屋で俺を殺そうとしたあの野郎、胸糞悪いやつだぜ。あいつのせいで仲間が・・・許せねえ!
自らの非道な行いを棚にあげ目先の仲間のことだけを考える。
自らとそれに連なる者以外は完全に廃した友情、彼らの善意にして正義。
男が死んだ仲間たちのことを考えていると
暗闇の向こうに赤い鎧の男が姿を現す。
誰だ!
お前にここから抜け出す力をやろう。
代わりに我が君のためへキサセクスの手足となって働くと誓うか?
へキサセクスだと!
へキサセクス、邪教と言われ人々から畏怖されるこの世界の邪悪の源だ。
やってやる!邪教だろうが何だろうが利用してやるぜ!
ふん、忘れるなよ。
そう言って赤い鎧の男が黒い塊を取り出すとそれを牢屋の中に放り投げた。
暗くてよく見えないが徐々に輪郭がはっきりしてくるとそれは無数のうごめく生き物だった。
うわああああああああああああああああああああああああああ!
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その日の午後
王都外れからすぐの場所に小さな町がある。
その街の中央にあるのがロイドの家だ。
ものすごい豪邸ですね。
絹糸の隙間から木漏れ日が漏れ出ている。窓だけでもここまでの上等な工芸品、
ホールの中央にはタカのはく製がグワーと口を開けて両翼を羽ばたかせている
ディアスが言った
学生同士の結束をより高めるため、同じ屋根、同じ食事、同じ訓練、短期間ではあるが、そうやって絆を磨いてもらいたい。
わかったけどよ。
ウエイダーはどこか不満そうに返事をする
そうですか。
できないとはとても言えそうにないので私も務めて肯定しておく。
片目の眼鏡、モノクルをつけた聡明そうな老執事が出迎えてくれる
ロイド様、それに皆さまもよくぞお越しくださいました。
ああ、ただいま。
ロイド!
高級感と気品ある衣服を着た紳士と淑女の夫婦が笑顔で出迎えてくれる。
父さん!母さん!ただいま戻りました!
うむ、よくぞ帰った。
お客人たちがお待ちだ。すぐに食事にしよう。
ロイド!
バン!と扉を開けて駆け込んできたのはオレンジのドレスを着た美しい美女だった
ロロナ姉さん!
ロイド!
そう言ってロロナと名乗ったロイドの姉はロイドを大事そうに抱きしめる
ロロナ、お客様の前ですよ!
母に叱られると
いいではないですか。お母様。
笑顔で言い返すが
ロロナ!
厳しくしかられるそんなこと鼻にもかけずとくるくると回転、ドレスの端と端を両手でつまみ、
ロイドの姉のロロナでございます。以後、お見知りおきを、今日は我が家にご足労してくださりありがとうございます。
綺麗な礼をする。
エリシュ姉さんとは違う種類の美人だ
最新鋭の帝国輸入のファッションを取り入れた髪型をしている
姉さん、そろそろ
そうでしたね。
ロロナが太陽のような笑顔を振りまくとその場が明るくなった気がした。
ロイドたちのあとに続き食卓の席に付く
どれもおいしいものばかりだった。
お金持ちだ。
我が家では見たこともないものばかり並んでいる。
食事を囲みながらロロナが話を振る
それでフレイル様、ロイドは騎士学校ではいつもどのように過ごしているのですか?
え、ロイドがどう過ごしているか?
そんなの知らないので私は思いついたことを率直に伝えることにした。
あまり接点のないはずの生徒に気を使ってくれるそんな優しさを持った青年・・・でしょうか。
勇敢にも魔王に戦いを挑んだのはいいものの。魔王に返り討ちにされ怖くて死んだふりをしていたとは言わないでおこう。
まあ、ロイドったらそのようなことを?
ふ、フレイル!
本当に素晴らしいことじゃないか。
本当にロイドは優しく育ってくれて親としてこれほど誇らしいことはないわ。
父さんも母さんも、恥ずかしいじゃないですか!
ロロナは、ふふ、と嬉しそうに笑う。
赤くなって本当にロイドったら、そうですわ。ウエイダー様も騎士学校でのロイドのことを教えてくださらない?
ロ、ロイドのこと?ですか?
ウエイダーはそんな口調の男ではない。猫をかぶっている
ロイドはもう最高の友達です!
ウエイダーなりに気を使っているのだろうか。
まあ!ロイドったらいいお友達を持てたようね。
そのあと、ロイドは誇らしいと褒められた。
いろいろと至らない部分のある愚弟ですが、どうぞ、今後とも何とぞご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
いえ、こちらこそ~!
ディアスがロロナにそう頼み込まれ鼻の下を伸ばしている。
それからしばらく住み込みで警備業務を繰り返す。
数日が過ぎ
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私たちは日課の魔物狩りを済ませた
今日はここまでだ。そろそろ戻ろう。
雨
しばらく道を歩いていると煙が立ち上っているのが見える
おい、あれ、お前の家のある方角じゃ!
そうウエイダーが言うや否や
ロイド!待て!
ディアスの静止を振り切ってロイドは駆けだしてしまう
「「ロイド!」」
私とウエイダーもロイドの名を叫び彼の背を追った。
現場に到着するとすでに街は火の海となり、大勢の魔物が押し寄せていた。
ガヒュー!
生臭い口から白い息を吐き、魔物たちが獲物を物色する。
やれ!
知性型の魔物が下級の魔物に指示を出す。
うわああああああああああああああああああああああ!
ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!
いや、いやああ、いやああああああああああああああああああああああああああ!ぶああああああああああああああああああああああああああああああ!
魔物に襲われる人々の悲鳴がとどろく
ディアスが叫ぶ
魔物たちめ!ウエイダー!フレイル!お前たちはこのことを王都に知らせに行け!
はっ!
そう返事をして私は駆けだそうとして
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ウエイダーが一人魔物を斬りに飛び込んでいく
待ってろ!ロイドおおおおおおおおお!
仲間を想い飛び込んでいく
思考よりも感情で動く。
褒めるべきか思慮が浅いとけなすべきか
純粋に助けたいと思い行動している
そしてその純粋さから生まれる言葉で私は傷つけられてきた
恨むなと言うほうが無理な話だろう
人は彼を善人だと肯定こそしないが悪人だと拒絶まではしない。
いまでこそなくなったが以前の彼は私に向けて普段から悪意を振りまいていた。人はそれを棚上げする
では普段から周囲を気にかけている私は何なのか?
困っている人がいたら助けるように心がけ常に貧困救済に尽力し修道院に寄付金を入れ、人が傷つかないように心がけているのに人は私から離れていく。
独り善がりな善行、求められていない善意。禁ずるよりもウエイダー持つ蛮勇の気質、欲望と悪意に誘惑され堕落を好む大衆。
本当に・・・本当に・・・癪に障る男ですねええ!
ウエイダーの背後から押し寄せるネズミの魔物群れを
おおおおおおおおおおおおおおお!
怒りの一撃でまとめて8匹両断する。
ブシイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
ネズミの魔物が臓物をぶちまけ悲鳴をあげた。
お前に助けられるとはな!
素直に感謝をしなさい!
「「はあ!」」
私の右斬撃が敵の足を切り落とし
ウエイダーの左斬撃が敵の頭を切り落とす
さらに絶え間なく襲い掛かる魔物を剣の塚で殴り飛ばす。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
渾身の力を込めて剣を振るい魔物を退ける。ベルセルクの一撃。
ネズミの魔物が血の霞を散らした。
ディアスが叫ぶ
お前ら!何をしている!
ディアス!ウエイダー!ここは任せて行きなさい!
はあ!?と戸惑うウエイダー
ディアスも言う
何を言っている!
この程度の敵、私一人で十分です!
この程度って・・・
私はふつうでは考えられない練習量をこなしてきた。
そして聖剣との出会いが私の前世の力をも引き出した。
私の剣術はもはや異能と呼べるレベルへと昇華していた
剣術を使えば。周囲の魔物の数を認識できる。しかもこれは力の一端にすぎない。
脳内に街の正確な見取り図をイメージ、距離、高低差を割り出し敵の位置を赤い丸で表示、味方の位置を青い丸で表示していく
すべて正確に把握した。敵は200体すべて同じ魔物だ
私の力は驚くべき戦果を見せていたはずだ
先日の戦いでも明らかなとおり魔物たち相手に一騎士がそれも学生が圧倒している。
それは考えられないほどの強さだった。
何より魔王ゲルマと戦ったウエイダーにはそれが実感できた。
ディアスも私のあまりの強さを見て二つ返事で叫ぶ
わかった!頼むぞ!
ディアスがいち早く反応してくれる。
ありがたい。さすが現役の騎士だ。馴れている。
お、おい、死ぬなよ!
ウエイダーがそう言い残してディアスに続く
窮地に限って良いことを言う。人が引き付けられるわけだ
しかし滑稽な話だ。
私を散々いじめ抜き、ときに死ねとすら言っていた男に命の心配をされるとは
私は過ぎ去るウエイダーの背を見ながらつぶやく
悪逆非道、傍若無人、私が憎んだお前はこんなものではなかった。
いまさら善人面を見せるな!都合がよすぎるぞ!悪に徹したなら最後まで悪でいろ!
怨嗟すらこもった叫びをあげ
ウエイダーあああああああああああああああああ!
目の前の魔物を20匹ぶっ叩斬る
ギュウウウウウウウ!
禍々しいことに臓器の飛び出したネズミの怪物たちが私を見ていた。
ウエイダーああああああああああ!
憎しみの感情を爆発させながら、兜を下げると両の目が青く発光する。鎧が純白に変化する
理不尽を人に振りまく残忍で邪悪な存在、そんな魔物たちにウエイダーの影を見ながら殺害していく
幽鬼のように右にバランスを崩し倒れ込むように移動し、敵の左背後から切り捨てる。
はあ!
左足を踏み込みぐるりと右回りに右足を運び、右斜め下に一閃、
はあ!
流れるように剣を振るい一閃
はあ!
さらに左横に一閃
すでに背後には50体の魔物の亡骸が転がる。
50ウエイダーと言ったところか。
目の前にはいまだうごめく魔物たち、なおも数を増やしていく
燃え盛る街の上空に黒衣の女が姿を現す。
誰だ!
私はへキサセクスが魔女。
へキサセクス?1000年前に滅びたはずの邪教の名前だった
これはお前の仕業か
あはははははははははははははははははははは!
魔女が高笑いをあげる
悪か、なら答えは簡単だ。斬る!
はあ!
跳躍、一気に距離を詰め連続斬り、魔女の体をバラバラに斬り裂くと着地した。
手ごたえはあった。
振り返ると斬り裂かれた魔女の体が再生しつながっていく
ありえない。やつは不死身か!
切り刻まれた痛みなど気にもせず魔女は言った
私の相手をしていていいの?
ニヤーっと笑う魔女の見る先
とある建物の中、魔物が少年を襲おうとしていた。
まずい!
一気に敵陣を駆け抜ける
・
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・
・
・
バン!
玄関の扉を開くと、中は炎に包まれていた。
みんな!
ロイドが叫ぶと、
う、うう・・・。
父が壁によりかかっていた
父さん!
ブワアアアア!
一層炎を巻き上げカーテンが引火する。
うわ!
ロイド!
遅れて追いついたウエイダーが叫ぶ
火の勢いが強いぞ!このままじゃ!
ウエイダーがそう忠告すると
わかってる!
父が言う
ロイド・・・・・・。
しっかりしてください!いま治療します!
ロイド、私より、母さんたちを助けに行きなさい・・・。
父さん・・・そんな・・・。
ギュウウウウウウウ!
デロデロした体のネズミの魔物たちが玄関から押し寄せてくる
ロイド!来たぞ!
はあ!
ディアスが剣を振るい叫ぶ
ロイドを頼むぞ!
ディアス!
ディアスが戦闘を開始するとネズミの魔物を斬り捨てる。
父は言う
お前たちは行きなさい!あなたもです!ディアス殿、息子を頼みます!
承知しました!
来い!ロイド!
ディアスとウエイダーがロイドを羽交い絞めにして引きずっていく
離せ!ディアス!ウエイダー!
そのとき燃えた柱が倒れた
うわあ!
とっさに避けるも父と息子は炎の壁に完全にさえぎられた
ネズミの魔物が押し寄せて父を取り囲むように集まってくる。
父さああああああああん!父さああああああああああん!
父は血を流し動けない体をなんとか立ち上がらせると剣を構えた
父として!ここは通さん!はああああああああああああああああああああああああああああああああ!
剣を怪物の腹に突き立てせめて一矢報いてみせる。
ネズミたちのけがれた毛が身を包んだ。
ぐ、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおわあああああああああああばああああああああああああああああぎゃぐあああああああああ!
無様な断末魔の悲鳴をあげ
ブワアアアアアアアアアアアア!
炎が父もろとも魔物たちを焼き尽くす。
父さああああああああああああああん!父さあああああああああああん!
ロイドはウエイダーたちに引きずられ叫ぶことしかできなかった
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父の死を悲しんでばかりはいられない。
母さん!姉さん!
屋敷の中を探し続けるも一向に見つからない。
燃え盛る家の中に黒衣の女が姿を現す
お前は!
私はへキサセクスの魔女
へキサセクス?馬鹿な!へキサセクスは1000年前に滅びたはずだ!復活したとでも言うのか!
何も言わずに魔女が姿を消すと
ギュウウウウウウウウ!
ネズミたちが押し寄せる
邪魔だああああ!
走りながら抜刀し斬り捨て走り続けた。
はあ!でやああああ!
おらあああああ!
ウエイダーが燃え盛るカーテンを引き寄せネズミたちにかぶせると
ギュウウウウウウウウウ!
ネズミたちが燃え盛る
だがさらにネズミたちは奥から押し寄せてきていた
いったいどれだけいるんだ!
・
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・
燃え盛る屋敷の中で巨大なネズミの魔物が階段を登りロロナを追い詰めていく。
ギュウウウウウ!
きゃあああああああああああああああああああああああ!
ロロナの体に怪物の爪が振り下ろされ顔を切り裂く
そのとき階段の手すりが壊れ真っ逆さまに転落していく
振り乱れる髪の揺らめき、ドレスのふくらみ、
ドシャ!
真っ赤な華が開くように血が四方八方に飛び散った。
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・
フレイルが現場にたどり着いたときには
ロロナさんの無残な亡骸が転がっていた。
服はまっすぐかっさばかれ、顔の中心からまたにかけてまっすぐ鋭利なかぎ爪で引き裂かれ、目はあらん方向を向き、口と鼻と耳から吐血している。
ロロナさん・・・。
ギュウウウウウウ!
階段の上から魔物が着地する
よくもロロナさんを!
魔物が叫ぶ
助けてくれよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
謝るからさあああああああああああああああああああああ!いてええええええええよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
この声、お前は・・・あのときの・・・。
そう、私が殺しそこねたことで独房送りになったあの男だ。
あのとき私がこいつを殺してさえおけば!
邪魔をされたとは言え、仕留めきれなかったのは自分の未熟さが原因だろう。
男の意に反して魔物は叫んだ
ヌロオオオオオオオオオ大オオオオオオオオオ!
この魔物、記憶が確かなら魔王メロヌ!
巨大なネズミの魔王だ。
魔王メロヌ、魔王ゲルマと同じ、へキサセクスの魔王だ。
いくぞ!ロロナさんの仇!
右に一閃剣を振るう
はあ!
左から大きな腕が振るわれ
ふん!
ジャンプして交わし背中に降り立つと
せい!せい!せい!せい!
左右に剣を振るい背中の肉をそぎ落としていく
大量の出血が辺りを濡らしていく
尻尾が私の足をつかんだ
くお!
ビュン!と壁に投げつけられ
それを回転して衝撃をいなすと壁を蹴り、一気に加速
でああああや!
魔王メロヌの腕を切り落とした
ヌロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
満身創痍、全身から血液を漏らし、体を震わせ、最後の虚勢に叫ぶ魔王メロヌ。
ヌロオオオオオオオオオ!
ここまでだ!魔王メロヌ!
魔王メロヌの胸部にいた男は取り込まれたかと思っていたのかいまだ生きていたのか、この期に及んで命乞いをしだす。
よ、よせよ・・・やめろよ!頼むよ!
私は聖剣を握る手が痛くなるほど固く握りしめる。
すると剣から、見ていると心が温かくなるような優しい黄色い光が発光し、
次第にそれは黒を拒絶する真っ白い光へと変化していった。
魔王に取りつかれたとは言え、元はお前の罪、見苦しいものだな。お前のようなやからは。
両手で剣をつかみ胸の前に持ってくるとピンと突き立てる。
鎧の体から白い闘気が交差して巻き上がり、鋭い二つの目が青く光った。
はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
腹の底から呼吸することで剣の光が興雄する。
強い力を前に室内の床、四方に亀裂が走った!
善意を糧にして周囲の闇を抹殺するほどの冷酷なまでの圧倒的な白い光が剣のつかから剣先まで充満し最大の力を収束させていく!
「ロイドの家族を奪い。無垢なロロナの命を奪ったその罪!贖ってもらうぞ!」
「光の剣、シャイニング・スラッシュ!」
膨大な光が魔物と化した男を両断し、男もろとも男の中に宿る一切の魔を塵すら残さず消滅させる。
「たすげえええええええぼああああああああああああああああああああああああぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああたあああああああああああああ!」
無慈悲な一撃を前に断末魔の悲鳴をあげ、男を引き裂く。
光の奔流が天を突き、闇を討ち払う。
すべてが終わった後、私は何も言わずロロナさんを見た。
とむらってやらなければならい。そう思いロロナさんの亡骸を抱きかかえようとしたときだった
ドアの開く音がして振り返ればロイドが体中から血を流しながらそこにいた
「きいいいいいいいいいいさああああああああああああああああまああああああああああああああああああああああああ!」
何を勘違いしたのかロイドが襲い掛かってきた
「待て!これは・・・」
私がやったことではないと説得したところでとても話を聞いてくれそうにはなかった
「はあ!」
剣でロイドの剣を弾き飛ばすと
「うああああああああああああああああああああああああああああ!」
数メートル投げ飛ばされたロイドが壁に叩きつけられ、床に転がった。
すぐにこの場を離れるしかない。
私はロイドをいちべつすると申し訳ない気持ちになりながらも窓の外の闇へと落ちて行った。
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ロイドは寝室にいた
ディアスと騎士長の計らいで当分の間、騎士学校で寝泊まりさせてもらうことになった
だがロイドの心の中にはいまだ怒りと悲しみが残っていた。
へキサセクス、清廉騎士、
やつらが姉さんを・・・よくも・・・。
突然、人の立つ気配がして
目の前を向くと、灰色のローブを着た女がどこからともなく現れた。
それは灰色の幻想だった。
「哀れな・・・。」
女は手のひらでそっ、と姉の目を閉じると。
「我が身は亡びた。我は力。お前に勇者の資質を見た。契約を交わせ、宿敵を討ち果たす力をやろう。祖はすべてを照らす光の力、光の騎士の力」
「光の騎士・・・?・・・お前はいったい!」
「我が名はゲー・ミテラ、原理の聖女。この世界に残された力の残滓、へキサセクスとエイレースケイアを憎むものなり」
ロイドの体に黄色い鎧が一体化すると光の騎士が誕生する。
天命だった。フレイルが聖剣に選ばれたようにロイドもまた超常の存在から選ばれたのだ。
それは今は亡き聖女の化身だった。




