15 最悪の敵、赤騎士現る
ミレイに会いたい
あの騒ぎからすでに3日がすぎた
神出鬼没の清廉騎士は、王国に所属しない潜りの騎士、正確には王国に仕える騎士ですらない。野良の騎士だ。
騎士団内内で救国の英雄と称賛を受けたが、居所がわからないとあっては褒美も、爵位を授けることも騎士の称号を与えることもできない。
ウエイダーに至ってはへキサセクス、論外だ。
騎士たちには箝口令が敷かれた。
表向き国家転覆を企てた邪悪な聖女を討ったのは勇者である僕、ロイド・ラフガディオということにされた
僕は英雄として大々的に国内に発表され、その栄誉を称える大規模なパレードが開かれた。
しかし、今の僕にそんなことは些細なことだ。
それはこうしてパレードをしながら民衆に手を振っているときも頭から離れない
ミレイが死んだ。
僕がもっと早く手を打ってていれば、自分が許せない。
聖女の事件から現在、陛下は王政に復帰している。
宗教に惑わされ危うく国家存続の危機だったというのに、いまだエイレースケイア近代主義と懇意にしている。
原理主義と近代主義、何が違う!僕にとってはどちらもへキサセクスと同じだ!
それに我が家はどうなった?
父さんも母さんも姉もミレイも、みんないなくなってしまった。
神を信じていたかと言われれば信じてもいいかと思える程度には思っていた。
僕が不信人者とそしりを受けることはまぬがれないかもしれない。
けれど、姉は別だ。ミレイだって、信仰を信じて最後には無惨に散って行った。
いまとなってはエイレースケイアなどかけらも信じられない。信じられるわけがない!
これは僕だけの責任では断じてない。この国の罪だ!
僕の中で日に日に王国に対する不信がつのっていくのがわかった
陛下は何を考えておいでなのか危機意識がなさすぎる。
歯がゆくてしかたがない。
こんな怠慢が許されていいはずがないのだ!
そんな生ぬるい物の考えだから父さんも母さんも姉さんもミレイも命を落とした。
そう思うと悔しくて拳を握りしめる。
聖女だけの責任ではない。聖女に付け込まれたお前ら王族も同罪だ。お前たちの不手際のせいでミレイは・・・。
薄暗い感情を覚える。
憎い。
王家が憎い。
国王が憎い。
なぜ聖女は国王を殺さなかったのか。口惜しい。
この国のゆがんだ仕組みが許せなかった
その怠慢を許す国民も許せなかった
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・
・
騎士学校での訓練が終わり休憩時間になった
お疲れ、
女友達のアーリーが飲み物を持ってきてくれる
受け取ると陶器の瓶の中にオレンジ色の液体が入っていた
新作のオレンジポーションだ。
ああ、ありがとう。
ポーションを受け取る
アーリーが隣に座った
目の前で模擬戦をする他の騎士たちを見た
私たち二人だけになっちゃったね。
うん、ベンノたちがいないのは・・・寂しいよ。
うん・・・。
ポーションを飲んでみると口の中に酸味が広がる
なんだこれ!すっぱい!
うまいでしょ?これが癖になるのよ。でもよかった
何が?
考え込んだ顔してた。
そう言ってアーリーは笑顔を見せた
言おうか迷ってから彼女なら聞いてみてもいいかもしれない。そう思い意を決して聞いてみることにした
アーリー、この国の未来をどう思う?
どうって?
エイレースケイア原理主義にいいようにされて今だにエイレースケイア近代主義に肩入れしている。
言葉にするとふつふつと怒りが沸き上がり言葉に怒気が籠る
考えられるか?
ミレイは・・・死んだんだ・・・。
アーリーは慌てた顔をして言った
王家の方針を否定するなんて不敬よ!へキサセクスは邪教だけどエイレースケイアは私たちを守護してくれる宗派だよ!
同じさ。姉さんはエイレースケイアを信じたまま死んだんだ
ああ、そうか・・・。
アーリーが同情的な表情をする
なあ、この国を変えられないか?
え?
・・・・・・革命だ。
僕たちの手でこの国を内側から奪い取って王家を打倒して、軍を掌握するんだ。
じょ、冗談きついよ
アーリーの目を強く見つめる
誰かがやらないといけないんだ!
・・・つ・・・疲れてるんじゃない?
アーリーはそう言ってそそくさと遠くへ行ってしまった
ミレイはセリアも死んだ。
清廉騎士は僕が力に責任を持たなかったことが悪いと言った。
そんなはずはない!
この国が悪いのだ!
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数日後、
アーリーに何度か同じ話をしてみた。
迷惑そうにしていたのはなんとなくわかったが言わずにはいられなかった。
ある日アーリーは言った
てかさ。私国のこととかどうでもいいし!
え?
アーリーは心底迷惑そうな気まずいような顔をして突き放すようにそう言った後、少しずつ距離を置いて遠くへと行ってしまった。
以後、アーリーとの交流は完全に断たれた。
熱心な革命思想をうたう友人など願い下げだろう。
以前の僕だって同じ反応をしたはずだ。
こんな風に決裂するのはわかりきっていたじゃないか。
思えば僕が騎士になったのは勇者の責務から逃げるためだ。
世間体と高額な報酬、生活の安定、
国を守ろうなどと本気で考えて騎士になったわけではない。
国王に忠誠を誓ったときも話を合わせていただけでどうせ働くなら、世間のためになり外聞もよく、給金も高く、女にもてて、社会的地位も約束される騎士がいい程度の軽い気持ちだった。
決して暑苦しい正義に燃えてだとかではないし。
むしろそう言った人間を、頭の回らない代わりに血の回る猪突猛進な人間だと小ばかしてさえいた。
魔王と戦う運命を背負うであろう勇者は、いうなれば地上最強の存在との戦いを運命付けられた存在だ。
自分以外にも勇者はいる。彼らに人類の命運を任せておけばいい。
勇者として生計を立て一か八かの戦いに命を懸けるつもりなどみじんもなかった
家族を殺され光の騎士となったのも復讐したかったからそれだけだ。
ベンノたちやミレイが死んで清廉騎士に言われて初めて国の行く末を考えるようになった
それだって根をたどれば王家に対する私怨だ・・・。
アーリーからしたら家族を失ったわけでも恋人を失ったわけでもない。
友人関係だって同じ女友達のカルラが一番強く結びつきがあり僕やベンノたちとはそこまでの仲ではない
自分まで危険人物に見られて浮いてしまうと危惧したのだろう。
他の知人たちも似たようなもので革命の話をするとひとり、ふたりと消えて行った
いつしか友達と呼べる存在がひとりもいなくなっていた
どうして、どうして誰も理解してくれない。
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・
闇が広がる空間に邪悪な魔王像がそびえたつ
数千を超える信者たちが魔王像に祈りをささげる。
王国の非道な歴史の影に追われたものたちが最後に行きつくこの世の果て、大邪堂
その大邪堂の中にある玉座の間で黒いローブの女が座っていた。
目の前には赤い鎧をまとった騎士を先頭に青、緑、黄の騎士が片膝を付いて頭を垂れていた
ただいま戻りました。
黒いローブの女こそ魔王崇拝者の集う邪教へキサセクスの中心、絶望の魔女アペルピスィア・マギサだ。
見違えましたね。
はい、この秘宝フリソスにより我等、暗黒騎士の鎧の性能は飛躍的に上昇しているかと
そう言って赤騎士は腕のエンブレムを見せた
こちらでも長年の因縁に進展がありました。
王国三大騎士長がたった一人の騎士に討たれました
なんと!噂に聞く光の騎士とは彼の戦士たちを討ち取るほどの強者つわものでしたか。
侮れない敵となるでしょう。
それともうひとつあの騎士のことが気になります。
邪悪騎士、不届きにも魔女で在らせられる我が君を偽った原理の聖女が見初みそめた偽りの騎士ですね。
彼を連れて来なさい
あの滑稽な道化をですか?
騎士たち一同が身を乗り出して動揺した。
彼に興味があります。
はっ!承知いたしました。我が君!
魔女は不敵に笑みを浮かべてつぶやく
原理の聖女が魔女を偽って見出した黒き騎士、それをこの魔女が育はぐくむ。おもしろくなりそうね。
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雨が降っていた
私は靴屋の建物の前まで来る。
カランカラン
入店のベルが鳴り
扉を開けて中に入ると
受け付けにひげ面の店主がいた
いらっしゃいませ。
グザ!
剣で店主の胸を一突きにする
愛想笑いなど浮かべずつとも調べはついています。あなたが人をさらってはへキサセクスに流していることもわかっているのですよ。
がふっ!
店主が血反吐を吐いて前のめりに倒れた
顔に血の粒てが降りかかる
ヒュン!
剣の血を振り払う
ここにへキサセクスのアジトがある。
店主の後ろにある従業員用の扉を蹴破ると
すでに何らかの戦闘があったのか多くの人がケガをして倒れていた
大丈夫ですか!
すぐに駆け寄り傷薬を使う
あ、ありがとう。騎士の旦那
すぐに衛兵が来ます。動かないでくだいね。
お、おお・・・。
次だ。
壁に上半身が突き刺さっている男を引っこ抜く。
どういう角度から何をされたらこんな状態になるのかわからないが、男を床に寝かせて診察する
顔がすり傷だらけ、手足のケガもひどく。おまけに息をしていない
傷薬を塗る
ドカドカと同僚の騎士たちが店に入って来る
こっちです。
呼ぶ
フレイル!何があった!
見てのとおりです。彼らは何者かの襲撃を受けたようです。
騎士は同僚に指示を出す
ウィンター、すぐに神官を呼んで来てくれ!
おお!
返事をしてからウィンターが駆け出す
布を持ってくると負傷者の傷口をきつく縛っていく
ひと段落したので次の負傷者のもとへ行く
う、うう、
少女が無意識にうなり声をあげる
気が付きましたか?
き、騎士・・・様・・・。
もう大丈夫です。安静にしてあとは我々に任せてください。
う・・・うう・・・。
少女はそのまま気を失ってしまう
神官が到着したぞ!
負傷者を神官たちに任せてから現場に戻る。
血塗られた惨劇の店内を再捜索する
さらに店の奥に行くと戦いの跡が残っており
ガラスが崩壊していた。
血痕の跡、それに血の色からして魔物と交戦した。というよりも一方的に攻撃した形跡がある。
半壊した壁の向こうに出てみると血が点々、と続いていた
この先に何かいるのか?
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雨、夜、街中、光の騎士へと姿を変えたロイドと邪悪騎士へと姿を変えたウエイダーが激しく戦っていた
ウエイダー、今日こそお前を止める!
いい加減、終わりだ!
二人で口論しながら剣を交わしていると
コツン・・・コツン・・・。
足音がする
音のするほうを見れば暗闇の奥に見たこともない騎士が姿を現す。
赤の鎧にオレンジ色の一つ目の騎士は手に赤い魔剣を持っている
ふん!
赤い鎧の騎士が魔剣を一閃、赤い剣撃が夜闇を切り裂くかのようだった
なんだあいつ・・・。
ぬんんんんんんんんんんんん!
謎の騎士が走り跳躍ちょうやく、魔剣をかかげてロイドの体に一気に振り下ろしてきた
うううううううううううううううううわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
ロイドが絶叫する。胸から大量の火花が散った。
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フレイルは現場から離れ、血の跡を追って道を歩いていく。
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
叫び声がしてロイドとウエイダーが転がり出てくる
誰かと戦闘しているようだ
見れば雨の中に赤い鎧の騎士が立っていた
見たこともない騎士だ。
赤い鎧の騎士は言った
これが秘宝フリソスの力だ。
そう言って全身のエンブレムを見せびらかす
お前たちの脆弱な鎧などその程度よ!
その隣には青の騎士、緑の騎士、黄の騎士、茶の騎士が現れる。
誰だ?と疑問に思っていると
我が名は青騎士!
我が名は緑騎士!
我が名は黄騎士!
我が名は茶騎士!
そして我が名は赤騎士!
赤騎士が言った
光の騎士、その程度で原理の聖女を討ったとはとても思えんが、まあいい。へキサセクスにあだなすものを処刑する!
はあ!
素早く振り抜かれた剣がロイドを切り裂き
うわああああああああああああああああああああ!
次いで二撃目が振り下ろされる
はああ!
ウエイダーはかろうじで剣を剣で受け止める
ぐっ!重い!やろおおおおおおおおお!
何とか剣を押し返すと
はあ!
ウエイダーの鎧が魔の鉱石カルティの力で異形の闇の鎧へと姿を変える
ロイドも聖の鉱石カルティを使い異形の光の鎧へと姿を変える
これならどうだあああああ!
ウエイダーと赤騎士が剣を交わし肉薄する。
ロイドも同じように剣を交わす
はああ!
ウエイダーから上段斬り、
はあ!
ロイドが左一閃、
おおおお!
ウエイダーが左上斬り、
ふん!
ロイドが右上一閃
2人で赤騎士相手に剣と剣を交わしていく
2人がかりで押し切れない!
カルティの力で俺たちの力は数倍まで跳ね上がっているはず!それがまったく通用しないだなんて!
剣撃に次ぐ剣撃、両者の実力は拮抗しているように見えたが段々とロイドもウエイダーも剣が鈍くなってくる。
度重なる剣撃で体力が削られ手の感覚もマヒし押され始めているのだ。
ウエイダーも自身が押されていることに焦りを感じていた。
この俺が押されているだと!野郎おおおおおおおおおおおおおおおおおお!
赤騎士が拳を握ると
ふん!
ロイドを殴り飛ばし
ぐああ!
はあ!
剣でウエイダーの剣を組み伏せる
我が君も貴様のような雑魚をなぜ気に掛けるのか?不快だな!
はあ!
剣を上に弾かれる。
しまった!
ガラ空きになった胴体に赤騎士の剣がスローモーションで叩き込まれていくのが見えた
危ない!
すかさずロイドがカバーに回り込むと
剣を剣で受け止める
刀身に激震が走った
ぐああああああああああああああああああああああ!
剣ごと吹っ飛ばされウエイダーもろとも壁に激突、無残に倒れ伏した
くっ、
全身に激痛が走る
ウエイダー!しっかりしろ!
ウエイダーに激励を送りながらボロボロの体で立ち上がると
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
剣を振りかぶり思いっきり振り下ろした
二手、三手と切り結ぶ
ロイドが赤騎士を見て叫ぶ、
ウエイダーは仲間じゃないのか!
仲間?そこの野良犬と俺を一緒にするなよ!はあああああああああああああああ!
ロイドの剣が弾き飛ばされ
はあ!
切り裂かれた
うああああああああああああああああああああああああ!
吹き飛ばされていきゴロゴロと地面を転がる
立て!ロイド!
おたおたと立ち上がると二人はフラフラになりながら逃げていった
赤騎士はその背をゆったりと追い詰める
・
・
・
・
・
・
振り返ると追っ手は来ていない。
ここまで来れば!
安堵した瞬間だった
逃げた先の路地の先に青騎士が立っていた。
勢いよく走って来る
回り込まれた!
はあああああああああああああああ!
青騎士が腕を武器に変換しロイドとウエイダーを切りつける
二人を同時に相手にして圧倒している
大量の火花が散った
ロイドが言う
ぐっ!なんて重いんだ!
ウエイダーが言った
なんて剣筋だ速すぎる!
でやああああ!
おおおおおお!
二人が左右から剣を振るうがどちらも武器化した腕で受け止めて見せる
受け止められた!
ロイドを右に切り裂き
ぐあ!
ウエイダーを左に切り裂く
うあ!
二人まとめてゴロゴロと転がった
こ、こっちだ!
逃げた先
今度は緑騎士が飛び跳ねるように襲い掛かると
うああああ!
ウエイダーを蹴り飛ばし
抜刀、
はあ!
ロイドを切り裂く
くそ!速すぎる!
ロイドが剣を構え直したときには次の斬撃が体を切り裂こうとしていた
しまった!
斬撃が体を切り裂く
ぐあああああああああああああああああああああああああ!
おらあああああああああ!
吹き飛ばされるロイドと入れ替わるようにウエイダーが剣を振るい対抗するもあっさりと受け止められてしまう
こいつもかよ!何て戦闘能力だ!
緑騎士が両腰から砲を取り出すと
くらえ!
どう見てもビームにしか見えない魔法を撃ち出す
おそらく熱線か何かだ。
うばああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
至近距離でウエイダーの鎧から大量の火花が散る
激痛に地面を転がるウエイダー、兜の隙間から大量の血が噴き出す
ウエイダー!走れ!止まるな!
ウエイダーを叩き起こしまた別の道に逃げ込むと
今度は黄騎士が襲い掛かってきた
ふん!
両手を広げると腕が8本に増える
すべての腕に魔剣を握っている
くっ!うそだろ!はあ!だあ!やあ!るう!なあ!ああ!
8連撃がロイドを斬り飛ばす
ぐえええええ!
続けて倒れていたウエイダーを滅多刺しにしていく
う、うわああああああああああああああああ!
ウエイダーは左右に体をゴロゴロとそらして何とか攻撃を避けていくがいたぶるように剣がウエイダーの鎧と体を削る
いくつもの火花が散った
ぐぼああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
さらに逃げた先で茶騎士が現れる
くらえ!
茶騎士が背面から8本の枝をはやすと枝が8連ミサイルとなって襲い掛かる。どう見てもミサイルだが土魔法を応用した刺突系の追尾攻撃だ
ロイドとウエイダーが爆発に巻き込まれ吹き飛ばされる
ぐぼおおおおああああああああああああああああああああああああああああああ!
うああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
それでもしばらく逃げ続けてロイドは両手を地面につく。それほどまでに疲れ果てていた。
どの騎士もひとりでロイドとウエイダーをまとめて相手にできる実力者だった
5人の騎士たちが再び勢ぞろいして肩を並べて歩いて来る。
殺される・・・。
ロイドが叫ぶ
逃げるぞ!ウエイダー!早く立て!
よろよろと立ち上がるウエイダー、ロイドに肩を借りながら逃げていく
二人の姿が見えなくなると赤騎士はひとりつぶやく
逃げろ逃げろ。そうでなくてはつまらん。
・
・
・
・
・
・
はあ・・・はあ・・・はあ・・・。
ま、まいたか?
辺りは静まり返っていた。
流れる静寂の中、安堵したそのときだった
ドゴン!
ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
壁をぶち破って現れた手がウエイダーを投げ飛ばし地面をぶざまに転がる
ウエイダー!
ロイドは叫ぶと同時に剣を構えた。
壁の中からオレンジの一つ目を光らせ、ガレキをまたいで赤騎士が現れるとやつは不気味に笑い出した
ぐふふふふふふふ、
そして跳躍、一気に倒れていたウエイダーに向かっていく
はあ!
赤騎士が剣を振り上げるとウエイダーを切り裂く。
うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
そのままウエイダーはさらに連続して立ち並ぶ民家の列を飛び越えて100m向こう側にふっ飛んで行ってしまった
ウエイダー!
叫ぶロイドを走り戻ってきた赤騎士が斬り飛ばす
とお!
ぐあああ!
赤騎士がさらに襲い掛かる
はあ!
大ぶりな剣が地面を切り裂き火花を散らす
おお!
前蹴りがロイドの腹を蹴り飛ばす
ぐあ!
はあ!
左上切り払いが胸を痛烈に切り裂いた
ぐああああああああああああああああああああああ!
ふん!
赤騎士の両肩がワイヤーアームとして撃ち出されロイドをつるし上げ電流が流れる
ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
投げ飛ばされ寝転がる
うあああああああああああ!
建物をぶち破ってロイドが転がり出てくる
がれきの山を踏みつぶしながら赤騎士が姿を現した
ぐおおお!
そばに倒れていたウエイダーは腕の痛みに耐えてうなっていた
落下時に激しく打ち付けたのだ。
ふん!
怪力がウエイダーを容赦なく投げ飛ばす。
ぐあああ!
火花を散らしながらウエイダーが地面を滑った
や、野郎・・・
震える体で立ち上がると握れない左手を胸の前でL字に構えて
右手を左腕の上に乗せ剣を無理やり構える
おらあああああああああああああああああああ!
剣と剣が交差する。
はあ!
ガシッ!
俺の剣を素手で受け止めた!
ふん!
ぐああ!
胸を殴られ、壁に激突、胸と背に激痛が走る
はあ!
左上段から剣が切り裂き
さらに店の中になだれ込むと料理屋だった
客が逃げ出していく
だあ!
今度は右拳が胸に突き刺さり並べられた料理の山をぶちまけていく
とお!
さらに赤騎士の水平斬りがのどに突き刺さり
ごはあああああああああ!
回転しながら冷えたスープに頭から突っ込んでしまう
ふん!
ウエイダーの頭を手で抑えつけスープに沈める
がぶ!がぶ!ぶあああ!がぶ!がぶ!
息継ぎの悲壮感ある音が静寂の店内に響き渡る
がぶ!がぶ!ああああぶ!うううううううう!
赤騎士はただの余興とばかりに手を放すと
ぶはああ!
勢いよくスープから飛び出たウエイダー目掛けて剣を振り下ろす
はああああああ!
縦に鎧が切り裂かれる
ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
大量の火花をあげてウエイダーが吹き飛ぶと壁に激突した
赤騎士は全身ボロボロのウエイダーを肩に担ぎ上げると店外へと出てからロイドの前に立ちはだかる
ふん!
ウエイダーがロイドの前に投げ捨てられる
ぐあ!
ウエイダー、しっかしろ!
赤騎士が剣を鞘に納めると
二人まとめて地獄に送ってやろう!
赤騎士が腰に手をやりながら中腰でしゃがんでいく
はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
腰の鞘に納められた剣が赤い光で充満していった
赤の剣、エリュトロス・スラッシュ!
抜刀の一撃
巨大な赤い光の剣がロイドとウエイダーを切り裂いた
ぶあああああああああああああああああああ!
うあああああああああああああああああ!
二人まとめて斬り飛ばされる
二人は丸焼けにされたあとに串で滅刺しにされたトウモロコシのような無残でぶざまな手も足も出ない状態になっていた
赤騎士、青騎士、緑騎士、黄騎士たちが並んで歩いて来る。
とどめを刺してやる。
赤騎士たちがにじり寄る
そこに清廉騎士が現れた
はあ!
地面を斬りつけて大爆発を巻き起こす
爆発が晴れるとあとには誰もいなくなっていた。
逃げたか・・・。
赤騎士は振り返る青騎士たちに言った
ところでお前たちも邪魔だな。一度整理しておくのも悪くない。
何を言って
ふん!
突然、赤騎士が青騎士を斬り裂くと青騎士が数メートル吹っ飛ばされた
しょ、正気か!
青騎士は間一髪、腕を武器化して剣を受け止めたが
すでに赤騎士は次の攻撃に移っている
青騎士のふところに入り込むと
はあ!
腕の関節部を剣で薙ぎ払った
ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
大量の血が腕から噴き出し、青騎士の腕が宙をくるくると待っていく
ふん!
さらに左腕も同じように跳ね飛ばし、
んぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
絶叫する青騎士の喉に
せや!
剣を突き立てる
がぼっ!
青騎士が力なく膝を折って倒れる
緑騎士が叫ぶ
貴様!
黄騎士が叫ぶ
どういつもりだ!
茶騎士が叫ぶ
お前!
緑騎士が腰のビーム砲を向け発射
茶騎士が背中のミサイルを発射
魔法が赤騎士の脇の下をすり抜けていく
馬鹿な!この距離を避けた!
次の瞬間、緑騎士の左腕が吹っ飛ぶ
ぐごおおおおおおおおあああああああああああああああああああああああ!
うおおおおおおおおおおおおおおおお!
雄たけびをあげた黄騎士が8本の腕で襲い掛かると
せや!はあ!とお!やあ!ああ!るう!こん!ええ!
8本腕すべてから剣を弾き飛ばしてしまう。
死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!
再び緑騎士の腰のビームが飛んでくるとそれに合わせて茶騎士も8連ミサイルを撃ち出す
左右から迫る攻撃を
ふん!
赤騎士は剣で弾き返す
弾き返しただと!
緑騎士と茶騎士の顔面がビームとミサイルに撃ち抜かれ跡形もなく消し炭になった
さらに赤騎士の猛攻が黄騎士を追い詰めていく
はあ!
赤騎士が手をかざすと黄騎士が落とした剣が宙に浮き
黄騎士に切っ先を向けると目にも止まらない速さで、黄騎士目掛けて一直線に突き進んでいく。
ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!
ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!ドス!
めった刺しにされた黄騎士の八本腕から同時に鮮血が噴き出す
ぐわがぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
実はな。俺はお前たちの中で黄騎士、お前が特に気に食わなかったのだ。
赤騎士は持っていた剣を横に投げ捨てると
黄騎士に馬乗りになって両手の拳で執拗に殴りつけていく
すべての腕を潰され抵抗できない黄騎士は一方的に痛めつけられながら血しぶきを噴き上げていくしかなかった
や、やめろ!
ドゴ!
やめろ!
ドゴ!
やめてくれ!
バキ!
やめてくださ・・・
グシャ!
はあ!
最後にとどめの一撃が叩き込まれ
胸に突き刺さる
たった一人で同格の騎士たちを、それも仲間の騎士たちを全滅させたのだ
赤い鎧から血を滴らせながら言った
我が君のご寵愛をたまわるのは俺だけでいい。
・
・
・
・
・
・
ウエイダーは黒い部屋の中で手足を鎖で縛り上げられていた
そこに黒いローブの女が現れる
初めて会うわね。
魔女か、俺が好き勝手暴れたことに罰でも与えに来たか?
ふふふふふふふふふふ、まだ気が付いてないのね。あなたが仕えていたのは私じゃない。私に成りすました聖女よ。
わけわかんねーよ!
そのままの意味よ。あの女が私に化けていた。そして死んだ。1000年前の時のような偽りの死ではない。
今度こそ本当に、私こそが真の魔女、私に仕えなさい。そうすればあの赤騎士に勝てる力をあげる。
お前の配下じゃないのか?
配下だからこそよ。私を満たすためならどんなことでも許容する。当然のことじゃない。
カラカラカラ
ゼンマイ式の門が開くと台座が運ばれてくる
甲羅のない二足歩行の邪悪なカメの魔物と自分の鎧が台座の上に載せられていた
ギシュウウウウウウウウウウウウウウウウ!
魔物が鳴き声をあげている
魔女は言った
秘宝フリソスは魔物を肉体に宿し
エンブレムを通して鎧の戦闘能力を高める禁忌の術
魔女が魔物を手でわしづかむとウエイダーに近付ける
そ、そんなもの近付けるな!
いいの?これさえあればカルティなんて比べ物にならないくらい強くなれる。赤騎士にも勝てるかもしれないわよ。
赤騎士に勝てる。
それはとても魅力的な響きに聞こえた。
だが魔物を肉体に宿すことに恐怖も覚えた
ふふふ、
魔女は不気味に笑うだけで何も言わない。
まるでこちらの心を覗き込んでいるかのようだった
俺に決めさせるってわけか。
力の誘惑、あれを着れば俺の力は何倍にも跳ね上がる
その代償は凄まじい。それでも強くなりたい。誰にも負けない力、あの清廉騎士にも負けない力が欲しい。
貪欲な力への渇望。すぐにでもつかめる強力な力、その代償を恐れていては強くはなれない。
いいぜ、お前に忠誠を誓ってやる!
そう決意すると同時、
魔物がウエイダーの胸に押し付けられた
ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
鎧が宙を舞うとウエイダーの体に装着されていく
力がみなぎるーーー!
・
・
・
・
・
・
晴れ
ミレイの笑顔を夢見て目が覚めると
窓の外から光る物体が飛んで来て窓辺に立った。
精霊?
初めまして、私は光の精霊サンタナ、生前、聖女様から贈り物を届けるように使わされました。以後あなた様に仕えるよう仰せつかっております。
精霊は両手で大きなエンブレムを抱えていた。
これは秘宝フリソス、精霊である私を宿すことで鎧の力を引き上げる超常の力です。
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地獄のような日々が始まった。
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
大爆発に弾き飛ばされ地面をはいつくばっていると目の前に光の精霊サンタナが飛んでくる
フリソスの力は簡単には使いこなせません。今日は体を休めることを進言します。
全身傷だらけになりながら立ち上がる
いまの僕には力が必要なのだ。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!フリソス!
エンブレムが発光すると拒否反応が起きて再び爆発が巻き起こった。
同時刻、ウエイダーも地獄の苦しみの中にいた。
侵食する魔物の激痛に耐え、体が魔物と共生関係を築くまでひたすら激痛に耐える日々、このくらい・・・!
徐々にフリソス状態の鎧姿の幻影が現れるがそれは脳が見せる錯覚かあるいは魔法的な現象かもはや当人ですら判別がつかない。
ただ激痛に呻き声をあげた。うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!




