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11 王国の牙1

雨が降っていた

パレードの道を大柄な三人の騎士たちを先頭にして隊列が物々しい行進をしていく

見ろよ!あれが三大騎士長たちだ!

盛り上がる民衆たちの中で私も安物の旗を振りミーハーな声援を送っていた。

ドーン、ドーン、花火が打ち上がった。

わあああああああああああああああああああ!

民衆が沸き立ち

騎士長様ーーー!

女たちの黄色い声が響く

おおおおおおおおおおおお!

それに受け答えるように騎士たちは雄たけびをあげた

英雄たちの帰還、彼らこそが遠征から帰った現役の騎士たち。

私たち騎士の先輩にあたる王国の第一線で戦う勢力たちだ。

国王が広場に姿を見せていた。

城の正面階段に装飾品の真っ赤なカーペットを張り巡らせて祭具の剣を側近の魔術師に持たせている

王、自らねぎらうために謁見の間からおいでになったのだ。

クルーズ騎士長を筆頭に3人のリーダー格の騎士長が片膝を付き王に頭を垂れる

あくまで今回の主役はクルーズ騎士長ではない。ダンテたち遠征していた騎士長たちだ

クルーズ騎士長

騎士長ダンテ、騎士長ギエーリ、騎士長アリ、皆、長旅ご苦労であった。

「「ははっ!」」

騎士長たちが礼を言えば

わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

大歓声が巻き上がった

それから数日

街の食堂へと入ると何人かの騎士がいて、遠巻きに私を見ていた

王都のやべえやつ、その噂は彼ら先輩騎士たちにも波及したようだ。

複数人を容赦なく殺害し、無抵抗の犯罪者を抹殺した。世間体の悪い噂だ。広がるのは早く。また裁く法がないのも事実だ。

王国最強とうたわれる三大騎士長が帰還したことでへキサセクスたちが安易に攻め込めない環境にはなった

しかし、王国の治安は悪化していた

三人の騎士長たちはわがもの顔で街のボスとして君臨したのだ

この数日で理解したのは騎士にも大きな派閥があり。

ダンテがボスのグループ、

ギエーリがボスのグループ

アリがボスのグループ

それらの上に騎士長クルーズがいて指揮系統をまとめている。

それぞれのボスはどれも凄腕の王国最強の騎士たち。

そのボスたちが今日は食堂に集まっているようだ。

ダンテ、狂犬の異名を持つ男。

彼を現す言葉は獰猛に暴れ狂う狂った犬。

その戦闘スタイルは防御を捨てた命を()しての捨て身の一撃。全身に剣の()を埋め込んでいる危険人物、生きた剣。

ギエーリ、巨体の男。彼を表す言葉は大熊。そんな男。

一度決めた相手は何があろうと徹底的に殺す自然界が生んだ冷酷な殺人マシーン。

アリ、顔半分にタトゥーを入れた男。

うわさではかなり危険で熱心な宗教家、部下たちも信徒で構成されている。

非公式な部下たちが騎士団以外にも無数に潜んでおり、うわべだけは一般的な主神パリョ・テオスを信仰し、

異端の神を崇拝するのだから神を信奉する騎士団と対立しないようずぶずぶな金のつながりがある。組織力に関しては最大勢力だ。

アリこそが一番危険な男かもしれません。

例えるに狂犬に、熊に、オオカミ。

犬ではややダンテが弱いイメージだが。しょせんは異名。それ以上の意味はなく。

拮抗する力を正しく絵にするなら狂犬は狂犬でも熊も同然の突然変異をした巨大な狂犬と

初めて目の前に現れた強敵と対峙した山の主である大熊、

それ等から数段劣るものの圧倒的数の脅威が地位を確立させるオオカミ集団だ。

おい、

見ろよ。あいつだ。

そう小さな声が聞こえて来るが無視だ。

私は豪勢なバリエーションのある料理を食べていく。

最近、料理が洗練されてきている気がする。

定食屋で出される料理がおいしくなっていた

どれもおいしそうだ。

さあ、どれから食べようかとナイフとフォークを手にしたときだった。

おっと!わりいな。

ガラガラと食べていた食事が床に落ちていく。

突然現れた男が腕でかきだすように落としたのだ。

腕がすべっちまった。はっはっはっあーーー!

数人のあざ笑うかのような笑い声が店に響く

ダンテだ。

騎士たちのボスの一人にからまれた。

ダンテ・・・。

そう言い。立ち上がる。

ああん?

ダンテが振り返る

おい、いまなんつった?ダンテだあ?誰が呼び捨てに・・・!

ドゴオ!

振り返ったダンテの顔面めがけ拳を打った!

ぶええええええええええええええ!

鉄鋼製の籠手による盛大な一撃がぶつかり、鼻が血を噴出する。

ぐえええええええええええええええええええええええええええ!鼻がああああああああ!

ダンテは鼻の痛みにヨロヨロと数歩さがるとこちらをギロリとにらみつける

やろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーー!

拳が飛んでくる。

遅い。

私は再度、彼の拳に合わせて殴り飛ばす。1、2、3、と拳を顔面に叩き込むと

ぶぎゃああああああああああああああああああああああああ!

私よりも体格の大きい筋肉質な体が店の中を転がっていく。

ダンテはふらふらと立ち上がると

こ、ごろじてやるうううううううううううううううう!

剣を抜き、刃をむき出しに怒り狂う。

私も剣を抜き放つ

まるで猛犬を思わせる形相だった。

剣を抜くとは騎士において決闘を意味する。

それは殺されても一切の文句が言えない行為。

ここからは単なる殺し合いになる

誰かが叫ぶ

よせ!

静止の声を呼びかけるも彼は闘争心をむき出しにしている。

そうだ!ダンテ!待て!熱くなるな!

仲間たちもさすがの事態の深刻さに慌てだした。

うおおおおおおおおおおおおおおお!

ドゴオン!

ダンテの怪力剣がテーブルを真っ二つに両断する。

この数日、この男がいるせいで街の治安が悪化し、衛兵たちの士気も目に見えて下がっていた。

権力を傘に着る卑劣漢。それがダンテだった

正義を執行してもいいのだが、いかんせん彼も騎士だ。考えあぐねていたところだった

よい剣です。

私は剣を振る気がまったくないので

コンコンと、手持ち無沙汰に剣をもてあそぶ

円を描くようにダンテが距離を取った

まるで獲物を狩ることを楽しむように

へ、へえええぐえ!いまの一撃を避けたか~。だが俺はまだ本気を出してないぞおおおおおおおおおお!

ダンテの持つ剣が雷を放電する。

俺の雷でお前を粉にしてやる!おら!いくぞ!

豪快な横なぎの雷がほかの客のテーブル共々料理を散乱させる。

きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

うわああああああああ!

おらあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

ドカーン!

壁に穴が開いた。

すごい怪力だ。

テーブルも椅子も砕け店内がめちゃくちゃになっていく

しかたがない。

剣を振ろうとしたときだった

突然、声が上がった

そこまでだ!ダンテ!

ディアスだった。

ダンテが少しずつ後退していく

後ろの仲間が声をかけ

そうだぞ!ダンテ!ここで騒ぎはまずいぜ!

周囲をジロリと見回せばおびえている女たちもいた

ふん・・・いいだろう。

そう言ってダンテが剣をおろす

すまなかった。ダンテ。

深々と頭を下げるディアス

ディアス、てめえの小僧にいいようにさせやがって!なめてんのか!

すまない。私の監督不行き届き。この通りだ!

そんなのでもお前の部下だ!しつけはお前の役目だろうがああ!

ドン!とディアスが殴り飛ばされる

ディアス!

慌てて駆け寄ると血が出ていた。

よく言い含めておけ!

ダンテはそう言い残し背を向けると去っていった

同期でなければ殺されていたな。

そうディアスがつぶやくのが聞こえた。

ディアス。

ディアスが叫ぶ

お前!どういうつもりだ!

胸倉をつかまれる

相手はあのダンテだ!殺されていないだけ神に感謝しろ!

それにこの惨状を見ろ!

そう言い店の中を指さすディアス

見れば食器も料理もめちゃくちゃに散らかっている

お前がダンテと争ったせいでこの街の平和が脅かされた!

お前の脳みそをくりぬいて道端にばらまいて犬畜生どものエサに差し出したほうがまだいくらかましだろう!このクズが!

バン、と突き飛ばされそうになったので避ける。

避けるな!

え・・・。

しかたがないのでもう一度突き飛ばされなおす

しょぼい突きが胸を打つ

私は衣服の乱れを直すとディアスのあとをついていくことにした。

フレイルがディアスにこっぴどくしぼられてから数日

ロイドは思った

明らかに犯罪の頻度が上がっている

街に流れる空気がおかしい。

どこかよそよそしく。不正を働いているような

噂だと王国騎士長たちがそれら犯罪に手を貸していると聞く。馬鹿馬鹿しいデマかせだ

街をパトロールしていると黒いローブを着た男と衛兵が話をしていた

あれは・・・へキサセクスの信者だった。

なぜ騎士団の人間とへキサセクスの信者が密会しているのか

ダンテ隊長も喜んでくれるはずだ

馬鹿な。今ダンテと言ったのか?

それは王国騎士長が邪教と内通していることを意味していた

た、助けてええええええええええええ!

女が抱きついてくる

あいつらが襲ってきたの!

怪しい男たちがゾロゾロ集まってくる

大丈夫だ。下がってて!

女を背後に移動させ身をていして守ると剣を抜いた

お前たち!

男たちは同僚の騎士たちだった

へへっ、ロイド、いいからおとなしくその女を渡しな!

どういうことだ!

どういうつもりも何もダンテ騎士長から頼まれたんだよ!命令だぞ!とっとと寄越せ!

手を伸ばしてきたので手で弾く

断る!

何だ?お前やるってのかああ?

剣を構える騎士たち

剣を抜いただと!

剣を抜くことそれは殺してもしかたがないことを意味している

お前こそ、王国騎士長に逆らう意味理解しているのか?

こいつら、正気か!

ええやああああああああああああ!

振り下ろされる凶器を難なくかわし

はあ!

みねうちで撃退していくと同僚たちが逃げていってくれた

ありがとうございます。私ミレイって言います。お名前を聞いてもよろしいでしょうか?

あ、ああ。ロイドだ。

感謝する彼女をよそにどうしたらいいかと思案するのだった

それから数時間後

ロイドは騎士たちから逃げていた。

わけがわからなかった。

悪いのは自分ではない。そのはずなのに、逮捕されそうになっていた

いたぞおーー!

衛兵たちが押し寄せてくる

くそ!

すぐに走って逃げる

なんとか逃げ延びた時には夜になっていた

騎士長ダンテが目の前に現れる

ようやく見つけたぞ。お前俺の島を荒らしたんだってな

島って・・・。

なんだそれはと思ったが衝撃が強すぎて唖然としてしまう。

お前邪魔だな。死ぬか?

ダンテが剣を抜くとすさまじい気迫が押し寄せる。

これが王国最強騎士の気迫!

ダンテの剣が迫る

殺される!

死を覚悟して兜を下げる光の騎士へと変化した

ガギャン!

なんとか受け止めた。

それでもすさまじい速さだった。

足元の地面にヒビが走る

ほう、俺の一撃を受け止めるか。

余裕そうにダンテがはにかむ

そうは言うがなんて力だ。

鎧の力を得た僕が押し負けるなんて、重すぎる・・・!

はあ!

ダンテが剣を弾く

しまった!

ガラ空きの胴体に剣が叩き込まれ鉄の鎧を引き裂く

ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

フラフラと後退する。

背中が熱い、鎧ごと体を斬られた!

おおいー!お前ら!騎士長がロイドとやり合ってるぞ!

部下の衛兵たちが駆けつける。

古くからダンテたちと顔なじみのある先輩騎士たちだ

さすが騎士長!

部下たちが歓声をあげる

お前たち、ぼさっとするな!射殺せ!

ダンテの指示を受け部下たちが弓を構える

そんな!

悪いな新米!騎士長の命令だ!死にな!

いくつもの弓矢が迫る

くそ!はあ!

弓矢を剣ではたき落としていく

ふぬら!

そこにさらにダンテが剣を振るい

ロイドは剣ごと弾き飛ばされた。

ぐああああああああああああああ!

肩から落ちて激痛が走る

ダンテがドスドスと走って来る

おらああああああああああああああああああああああああああ!

はあ!

とっさに立ち上がり、振り下ろされた剣を受け止める

足がふらつく

しっかりしろ!

気を引き締めるが力が入らない

血を流しすぎたか。

はあ!

ダンテが上段に振りかぶった姿勢でジャンプしながら切りかかってくる

しまっ!

一瞬の油断、それがロイドの命を奪う寸前まで迫ったときだった

はあ!

ダンテの剣を別の剣が粉々に粉砕した。

勢いあまってダンテの巨体が吹き飛ぶ

ぐおわあああああああああああああああああああああああ!

ダンテの足が地面に二筋の線を引く

ダンテが言った

こ、こいつが!清廉騎士!

私はロイドに言った

その傷では戦えまい

清廉騎士・・・借りだなんて思わないからな!

捨てセリフを言って逃げていく

ダンテが指示を出す

お前たち!追え!捕まえて腕を切り落として連れてこい

部下の兵士たちが私の横を通過しようとした

善悪もわからずただ命令のままに悪事に走る。悪漢共にはもはや情けは不要か。

次の瞬間、いくつかのミンチができあがる

なんだと!

驚くダンテに言った

貴様!それでも騎士長か!

お前の身のこなし・・・・・・どこかで

私は兜を上げると素顔を見せてから兜をかぶる

酒場で会った男!フレイルとか言ったか!

へへ、そういうことか神出鬼没の清廉騎士様がまさか王都一のイカレ野郎だったとは

ゲスに覚えていただけるとは光栄ですね。

口の聞き方がなっていないな?後輩、まあいいぜ。こうして堂々と気に食わないやつを殺すことができる。

王国三大騎士の任を請け負いながら暗殺に手を染める外道が。

ダンテの全身から剣が飛び出した。

これはっ!

どうだ?全身に28本の剣を埋め込んだこれが最強の騎士の姿だ!

これこそが俺を騎士長へと昇りつめさせた。奥義!

ダンテの体は剣でできたハリネズミのようだ。

剣林の中で朽ち果てろおおおおおおおおお!

襲い掛かる剣の山を前に私は言う

騎士の(ほま)れにかけて貴様を斬る!

つばぜりあうといくつもの剣が聖剣の上を滑っていくのを感じた

一振りで7、8回分の斬撃を受けているかのようだ。

そおおおおおおら!どうしたああああああああ!

おらあ!おらあ!

気が付けばいつの間にか壁に追い詰めれられていた

剣が突然右腕にだけ集まると鞭のようにしなり襲い掛かる。

まるでドラゴンのしっぽのようだ。

そこだああああああああああ!

強烈な一撃ですべてが切り刻まれた。

生命が生存するには絶望的な剣の林を抜けると全身切り刻まれた私がいるはずだった。

だが、林を抜け出たのは全身をズタズタに引き裂かれながらもいまだ剣を力強く握りしめた騎士の姿だった。

いい剣劇だ。

青い両目が光輝き、ダンテだけを見ていた。ただ斬る。その一念を剣に込めて振りかぶる。

ばっ、馬鹿な!生きているだと!うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

バキバキ!とダンテの剣たちを引き裂いて体を一刀両断にする。

ぐ、ぐあああああああああああ!

ダンテの体から出た剣はすべて神経と連結した刀身、いわばダンテそのものだった。

剣が破損するとダンテの血管も吹き飛んでいく

あまりの痛みで放心するしかできないダンテが膝をついて天を仰ぎ見た。

お、俺が・・・負ける・・・だと・・・。

正義を偽る正義を斬る!これはそのための剣だ!私が偽りの正義になど屈するわけがない!

私はダンテの目の前にして両手で剣をピンと突き立てた

はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

それは力を高める呼吸法。

闘気が白い煙となって交差して舞い上がり、両目が青く光る。

王国三大騎士長、それは誰もが尊ぶ人々の希望の光。

それが虚構であるならば!せめて虚構の光のまま人々の眼前から消え去るがいい!

光の剣、シャイニング・スラッシュ!

ぎゃげええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!

消滅する肉体、吹き飛ぶ血と肉、残るは叫びのみ。

光の奔流がダンテという邪悪な人間を両断し、天を突き、闇を打ち払う!

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