表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/19

9 エルフの国 森の宝石

雨が降っていた

暴漢たちを10人切り殺した帰り道

血だらけの体で夜道を歩いていると

ボロボロの子供が立っていた

何日も食べていないのか

暗い顔をしてうつむいている

おかしな話だ。

戦って来た自分よりもボロボロの子供が平然といるのだ。

大丈夫ですか?と声をかければ子供は青い顔をしながらこちらを見る

姉と弟だ

エイレースケイアの騎士として弱者救済も義務だ

ちょっと待っていなさい。

血だらけの体で出店に行くと驚いた顔をされてから燕麦(えんぱく)を売ってもらう

ありがとうございました

店を後にしてから子供のもとへと向かう

子供は元の場所に座っていた

燕麦(えんぱく)を差し出して言った

お腹が空いただろう。お食べ。

子供は警戒した表情を見せる

今日までどんな目に会って来たのかまるで手に取るように想像できた

大人にも裏切られ捨てられひどい目に会って来たのだろう。

ここに置いておきます。

また来るのでそのときは修道院に住むことも考えておいてください。

そう言って私は麻袋に入った燕麦(えんぱく)を石の上に置くとその場を後にした。

修道院も収容できる人数に限界がある。

場合によっては姉弟で離ればなれになってしまう場合もある。

それなら住み慣れたストリートチルドレンでいいと思い。あえてスラムに身を置く子供たちもいた。

現実と理想の摩擦で多くのシスターや神官が苦しんでいる。

また別のところでは弱り切った子供が倒れていた

アギオ・ネロー!

手の平の上に水の玉が現れる。

銀貨48枚で買った本から学んだ水聖法だ。

我が家にはこの手の本が大量にある。すべて買いそろえた

一切の穢れのない清涼な水は見ているだけでも美しく揺蕩(たゆた)っていた。

さあ、お飲み。

子供の頭を手で抱えて水を口元に持っていくと

ズズズ

口ですすっている

ゴクリ、ゴクリ

いい子だ。

ひんやりとしていておいしいだろう?

喉を潤させる

かなり弱っているようだ

子供を抱きかかえ修道院に向かう

コンコン

はーい。

シスタードミが笑顔で現れる

シスタードミこの子に介抱をお願いします。

大変!すぐにこちらへ!

子供をベッドに寝かせると窓に雨が打ち付ける

シスタードミに木彫りの湯飲みを持って来る。

白湯(さゆ)です。

ありがとうございます。

いえいえ、あの子の容態はどうですか?

はい、いまは眠り込んでいます。でも大丈夫、すぐに目を覚ますでしょう。

そうですか。日が暮れてきましたね。そろそろ行きます。

はい、あの子のことは私がしっかり責任を持ちますから安心してください。

ありがとうございます。シスタードミ。

時刻は夕暮れ時、今日の仕事を終え、本屋に向かった。

本一冊の値段は平均して銀貨48枚

対する私の給料は1月に付き銀貨24枚

高級な本も貯めに貯めた給料で買うのが楽しみだ。

新作本を手に帰路につく

帰り道、雨の中、子供が母親の手を引いていた何かおねだりでもしているのだろうか。微笑(ほほえ)ましい。

数日後

雨が降り出す

きゃ!

旅の女が道に倒れた

どうやら馬車に接触してしまったらしい。

馬車の男が言った

おい!気を付けろ!

ご、ごめんなさい。

馬車はそのまま通りすぎて行ってしまう。

駆け寄って手を差し伸べた

大丈夫ですか?

華奢な手をつかみ立ち上がらせる

ありがとうございます。

まぶかにローブをかぶっているが

その容姿を見て気が付く

エルフだった。

見目麗しい。

黄金に輝く絹糸の髪、透き通った海を思わせる水色の瞳が光る

これは珍しい。エルフの一人旅とは

ゆえあってこちらの街まで来た次第です。冒険者ギルドをお知りになりませんか?

ギルド?ふむ、それなら、口で説明するよりご案内いたしましょう。

よろしいのですか?

ええ、もちろん、さぁ、こちらへ。

道を行きながら自己紹介をする。

申し遅れました。私はフレイル、見ての通り王都の騎士をしております。

私はアルフィリアと申します。

アルフィリアさんは何故この街に?

騎士に会いに

騎士に会いに?騎士になるおつもりですか?

いえ、お願いをしに来ました。

お願い?もしや、依頼でしょうか?

えっ?そう・・・ですね。

そうでしたか。

依頼という言葉を知らないほどに排他的なのだと実感する。

エルフだから俗世に疎い、彼らは人よりも高度な文明を持っていると聞く。

とても閉じた亜人種であり、すさまじく排他的だ。

それも生易しい排他ではない。近寄れば弓矢で襲ってくるほどに排他的でそのせいか人族との公益も一切なく。今日を迎えている。

エルフの国は森のどこかにあるに違いないが、その存在を知るものは誰一人としていない。

ではなぜエルフたちが高度な文明を持っているとわかるかと言えば人がエルフの国を侵略しようとしたときわずかにエルフの国を見たものがいたからだ。それもすぐに森に隠されてしまったそうだが、だからエルフの国には森の加護が働いているとも聞く。

そんな種族だから人もエルフに対して排他的だ。見かければ嫌悪してくる。

そうでなくても街中でエルフを見るなど珍獣も同然だ。下手をすれば衛兵を呼ばれかねない。

私も前世を持たなければ嫌悪を抱いていただろう。それほどまでにエルフは下等な存在、人間ではなく獣人などの亜人と同等と見なされている。

捕まれば人権などない。

死ぬまで肉体労働者になるか、権力のある変態がいれば見た目だけは人とそう変わらないエルフたちを使い。異種族同士で性のはけ口にするのがよくある話だ。

人間は野蛮で下品で邪悪で無礼で自分たちこそがこの世界で至上の生命だと考えているすさまじく傲慢な存在だ。自分たちの邪悪な振る舞いを神をダシにして正当化している。

エルフや獣人などの亜人種は神が作りたもうた至高の存在である人間に見た目を似せた卑しい獣たちの末裔、軽い命として考えられている。

そのため人間の偽物、人間以下の非道な扱いを受けやすい傾向にある

エルフたちがいかに技術的に高度な文明であろうとも人の王やそれにつらなる貴族たちはそのことを認めない。

その差別意識は根深く現場の兵士たちはもちろん国民たちにも波及している。

まったく馬鹿げた話だが王家は世に流布する情報の大部分を握っている。

紙が高価なこの世界で大金をはたいたビラ配りも立札も出せるのは王族くらいだ。

王家がそうと思えばほとんどの民はそれを信じる他ないのだ。

おまけに物知らない民は素直だ。国が主張することには必ず大儀があると思い込みやすい。

忠告しておこう。

お気を付けください。人族はエルフを好ましく思わないものが多いのです。

存じています。

何か困ったことがあれば私を頼ってください。このフレイルが助けに参りましょう。

フレイル様はお優しいのですね。

アルフィリアさんがほがらかに笑う

この世界の倫理に照らし合わせるなら前世に影響されエルフを美しいと思う私もまた非常識で分別をわきまえない変態だった。

冒険者ギルドに到着、受け付け嬢に声をかけた

もし

はい、いらっしゃいませ。

依頼を出したいのですが

はい、でしたらこちらの皮にお名前と依頼内容と報酬を指定してください。

パピルス紙、一言でいえば皮の紙だ。

アルフィリアさんが羽ペンを手に記入していく。


依頼主、アルフィリア

依頼内容、スカロプスの討伐

報酬、クリスタル


クリスタル?

これで支払いは可能でしょうか?

そう言ってアルフィリアさんが差し出した大きな結晶は美しい鉱石だった。

受け付け嬢が目を凝らして鉱石を見る。

高すぎます。これなら換金して貨幣に変えたほうがいいかと

ではそれでお願いいたします。

かしこまりました。

受け付け嬢がクリスタルを預かると一度奥へと引っ込み、大きな麻袋を持って現れた。

金貨500枚になります。

金貨500枚!

日本円にして5000万円だ。

破格すぎる。アルフィリアさんはもしかして偉い人なのだろうか。

報酬は金貨20枚、日本円で20万円だ。

銀貨12枚で1金貨だ。

私の給金はひと月24銀貨、金貨にして2枚、

これは私の給金の10か月分に相当する。

そんな額をぽんと払える財力はそうそうあるものではない。

報酬の欄を金貨20枚に修正して再提出する。

受理しました。

さて、これほどの貨幣重すぎて持ち歩けないが手に入れたからには誰に預けられるわけでもない。銀行もないのだ。

家に保管しておくのが普通であり常識だった。

お、重い。

アルフィリアさん、よろしければ持ちきれない分は我が家で預かりましょうか?

よろしいのですか?

ええ、構いませんよ。

ありがとうございます。フレイル様。

それとこの依頼私が受けたいのですが、よろしいですか?

えっ!フレイル様が受けてくださるなら是非!

こうして私はアルフィリアさんの依頼を受けることにした。

スカロプスの討伐のため森に来た。

アルフィリアさんに導かれ生い茂る森を突き進むと

そこで止まれ!

声がかかり見上げるとエルフたちが整列して弓を構えていた。

剣を抜き構える。

敵は4人か、距離からしてあそこのやつから斬ろうと算段していると

待ってください!

アルフィリアさんが止めに入る。

姫様!

姫様!

姫様!

姫様!

口々に姫様と声がかかる。

アルフィリアさんこれはどういうことです?

フレイルさん、これは

貴様ああ!

エルフの一人が木から飛び降りてくると駆け寄ってきていきなり殴りかかってきた。

刹那の時間で思考する。

姫様と呼ばれていたアルフィリアさんは何かの姫様で間違いない。

その姫様になれなれしい口を聞いたのは私自身であり、これはそしりを受けてしかるべきなのではないだろうか?

これが生死をわけた一撃なら有無を言わさず跳ね返すのだが、幸い単なる殴打だ。

これは、避けていいのだろうか?

奇妙な遠慮がうまれその一瞬の隙をついて弓の玄が頬を打つ

くっ、

頬にしびれる痛みが走った

フレイル様!

アルフィリアさんが小さく悲鳴をあげる

エルフの戦士は言った

森の宝石アルフィリア姫様に何たる口の聞き方だ!

ごもっともだと思った。

すかさず身を乗り出したのはアルフィリアさんだった

黙りなさい!

しかし姫様!

この方は我等のためにスカロプスを討ちに来てくれたのです。傷つけることはこのエルフの姫アルフィリアが許しません!

フレイル様、大丈夫ですか?

アルフィリアさんがハンカチを取り出すと口の血をぬぐってくれる

こちらへ。手当をさせますので

エルフの戦士たちを引き連れアルフィリアさんに言われるまま森を進んでいくと巨大な門が現れる。

開門!

大きな扉が開かれると

扉の向こうにはエルフの国が広がっていた。

とても近代的な国だ。

前世で見た童話の中のエルフの国とは違い。整備された街並み、

自然と共存した近代化というのが一番しっくり来る。

施設に無駄がなく細工ひとつとっても人間にはまねができないだろうものがうかがえた。

それほどの水準をしている。

だがエルフたちのいくつもの奇異と軽蔑の目が私を見ていた。

人がなぜこの場にいる。そう物語った目だ。殺意を感じ取る。

近代的な光景を見て浮かれていられる空気ではないようだ。

エルフの一人が駆けてくると声をかけてきた。

アルフィリア様、陛下がお呼びです。

わかりました。

フレイル様も一緒に来ていただけますか?

ええ、それは構いませんが。よろしいのですか?

是非に

私はアルフィリアさんのあとに続いてこの国のエルフの王と謁見することとなった。

城の中に入るとこれまた豪華な品々を目にする。明らかに人間よりも充実し先進的なものであふれている。

長い通路を通り、むき出しの廊下から城下を眺め、燭台を横切ったところで王謁見の間の前まで来た。

父、ベルファムはとても厳格な人です。会話は私が引き受けますのでフレイル様は波風を立てないようお願い申し上げます。

それと母、ベアトリスはとても優しい方です。きっと大丈夫。

それを聞いて少しだけ心が落ち着く

わかりました。

扉が開かれるとアルフィリアさんに続いて片膝を折り頭を垂れる

玉座の上にエルフの王ベルファム様と母后(ぼこう)ベアトリス様が座っていた。

アルフィリア、ただいま戻りました。

おおお、アルフィリア・・・帰ってきたか!

な、泣いているのか?

父王ベルファムはアルフィリアさんを抱きしめると泣いていた。

よくぞ無事に戻った。ケガはないか?人間共につかまったのかと余は心配であった。

お父様、アルフィリアはこの通り健やかな身です。

アルフィリア

母后(ぼこう)ベアトリス様もアルフィリアさんを抱きしめる。

お母様、

アルフィリア、よく戻ってきましたね。わたくしもとても心配していました。戻ってくれてよかった。

ベアトリス様は話を聞いていたとおり穏やかな方のようだ。

ベルファム様は言った

アルフィリア、お前が戻ってくれたことは嬉しい。だがその者はなんだ!

鬼の形相とはこのことだ。そう思える顔で私を見ていた。

よそ者を国に入れるなど!断じて許されることではないぞ!

陛下。お気を沈めてください。

怒り狂うベルファム陛下をいさめたのは母后(ぼこう)ベアトリス様だった。

しかしだな。

よいではありませんか。まずは話を聞きましょう

お父様、この方はスカロプスを討つため人の国、ウィンザー王国からついてきていただきました。

お初にお目にかかります。ベルファム陛下、ベアトリス様、私はフレイルと申します。以後お見知りおきを

(こうべ)()れる

ふん、スカロプスを倒す算段ならついておる。

余のエルフ重装騎士団がねじ伏せてくれる

あなた!

ベアトリス様が少々きつめに言うことでベルファム様をいさめてくださる。

母后(ぼこう)ベアトリス様の言うことだ。陛下も無下にできないのだろう。

うろたえている。

う、ううん。よかろう。

アルフィリア、お前がそうまで言って連れて来たことに免じて客人として丁重にもてなそう。だが、明日すぐにでも出て行ってもらうぞ!よいな!

ははっ!

無難に頭を垂れ、礼を言っておく。

それからエルフの侍女にうながされるまま食堂へと付くと食事を取ることとなった。

エルフだけあり菜食主義だ。

ベジタリアンの食事を食べる。

野菜とは思えないほどにどれもよく工夫がこなされており、やはりこの国の飛びぬけた生活水準が見て取れる。

お気に召しましたか?

食事をしているとアルフィリアさんが目の前に現れる。

アルフィリア殿下!

フレイル様、アルフィリアとお呼びください。

はっ、はあ。

それではアルフィリアさん。これからどうするおつもりですか?

明日、スカロプスを狩りに出かけます。今日はごゆるりとおくつろぎください。

そうですね。エルフは何分排他的ですから、よろしければ一緒に商市へ出向きましょうか?

エルフの商市ですか?

お気に召すものが見つかるかと存じます。

それから食事を済ませて私たちはエルフの街を歩いた。

これはデートと呼んでも差しさわりないのではないだろうか。

エルフたちは私に対しては警戒をあらわにしていたがアルフィリアさんと共にいる手前露骨に悪い態度は出してこなかった。

そのため出店をいろいろとのぞくことができた。

店を冷やかしながら回っていくとアルフィリアさんがアクセサリーを買っている。

美しい緑色の宝石だ。

森の宝石と呼ばれるほどの美姫なので何をつけても似合う。

フレイル様どうですか?

とてもお似合いですよ。

そっ、そうですか!

照れ笑いが微笑ましい。

ズガーン!

破壊音が響く

アルフィリアさん!

フレイル様!行きましょう!

現場に到着すると

巨大なモグラの化け物がエルフの小腸をラーメンみたいにすすっていた

ズルズルズルーーー!

ガフッ!

エルフ王ベルファム陛下が部下たちを引き連れて現れた。

エルフ重装騎士団前へ!

全身重武装、フルメイルの騎兵隊が槍を手に現れると下半身が馬へと変形する。

抑え込め!

陛下の命を受け戦士たちが戦いを挑む

パカラパカラパカラ、円周率を描くように騎兵たちが高速で移動していく

さながら3,14・・・の陣形。

いくつもの重装騎士たちがスカロプスの顎を突く

ガフッ!

おのれ醜い化け物目!この重装騎士ベッツが相手だ!

ベッツの槍の穂先がロケット式に飛び出した

さすがエルフ、人類を超えた技術力だ

ガフッ!

ドカーン!

スカロプスの後頭部が爆発して煙が立ち上る

スカロプスはそれでも平然としている

わあああああああああああああああああああああああ!

ベッツの体をスカロプスの腕が打ち付けると数メートルぶん投げ飛ばされていく

ベッーーーツ!

さらにスカロプスの猛攻は続く

目の前の重装騎士を食い殺し

ぶええええ!

さらに隣の重装騎士を尻尾で叩き潰す

ぐああああ!

次々とほかの重装騎士たちもやられていくのをベルファム陛下は戦慄した表情で見ていた。

ば、馬鹿な・・・虎の子の重装騎士たちがこうもたやすく!

はぁ!

くらえスカロプス!

一般のエルフ戦士たちも現れ優れた武具を用いて応戦していくが。

木の上から弓を射て、地上からはさらに戦士たちが隊列を組み現れる。

かなりの連度をしていて無駄がない。だが

ガフッ!

スカロプスのベロが木をエルフたち共々なぎ倒し、爪が鎧を引き裂く

胸を裂かれたエルフが槍を手に戦いを挑む。

俺たちが国を守るんだぁぁぁぁ!

仲間の決死の奮闘を前に他のエルフたちも一歩も引かず戦いを挑むが次々死んでいく。

爪がいくつもの頭を切り落とし、化け物染みた口が死体にむしゃぶりつく、ちゅるんと丸のみにしてしまう。

ガフッ!

異形の魔物を前にエルフたちは戦慄して動けなくなっていた。

弓も槍も効かない。

こ、こんなやつ、勝てるのか?

誰もがそう考えただろう

エルフ国王ベルファム陛下が全身に宝石を装備して現れた

この国に古くから伝わる聖獣の聖石たち!

絶大なる聖力をくらえ!

全身が発光すると体中から極彩色の光が飛び出し陛下の持つ杖に集中していく

はああああ!

杖から出た七色の光が嵐となってスカロプスに襲い掛かる

この伝説級のパワーはあらゆる魔を払う!

スカロプスは平然としている

なんと!やはり余ではダメなのか!言い伝えどおりなら真に聖なるものが扱わねば聖なる力は発揮されないと言われおる!あれは誠であったか!

スカロプスの首にへキサセクスの紋章を見つける

どうやらやつらが意図的に強化して生み出した魔物のようだ。

ガフッ!

襲い掛かる

アルフィリアさん!

はあ!

私は一気に跳躍、スカロプスを剣で弾き飛ばし剣を構えて前に立ちはだかる

フレイル様!

アルフィリアさん!大丈夫!あなたは傷つけさせない!

国王ベルファム陛下の体中から宝石が空を飛んで聖剣に吸い込まれていく

次の瞬間、聖剣が宝石だらけになった

聖石の力を吸い取った!



青、肉体再生の力

赤、肉体再生の力

緑、肉体再生の力

黄、肉体再生の力



どうやらどれも再生能力を極限まで高める宝のようだ。

スカロプスの爪が襲い掛かる。

瞬時に蹴り飛ばすとスカロプスが吹き飛んでいく。

はあ!

踏み込み一気に駆ける

引き裂くイメージで剣を振るった

はあ!

ガフッーーーーー!

スカロプスが悲鳴をあげ

スカロプスの半身がバラバラに引き裂かれ、切断面からおびただしい量の血液が吹き上がる。

聖剣を抜くと構えた。

はああ!

横に一閃、振り抜くとスカロプスが粉々に吹き飛ぶ。

多くの命が奪われた。その報いを受けろ!

聖剣を握る手が痛くなるほどに剣を固く握りしめていく。

すると剣から、見ていると心が温かくなるような優しい黄色い光が発光し、

次第にそれは人ならざるものを浄化する悪意の塊となって白い光へと変化していく。

両手で剣をつかみ胸の前に持ってくるとピンと突き立てる。

鎧の体から白い闘気が交差して巻き上がり、鋭い二つの目が青く光った。

はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

腹の底から呼吸することで剣の光が興雄する。

強い力を前に室内の床がめくりあがり宙に浮いていく。

大きすぎる恐れの心が絶対の拒絶を生み出し、白い光となって剣のつかから剣先まで充満し最大の力を収束させていく!

討たれたエルフたちの痛みを知るがいい!

光の剣、シャイニング・スラッシュ!

膨大な光がスカロプスを両断する

ガフッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

光の奔流が天を突き、闇を討ち払う。

驚愕するエルフたちの視線を背に受け、剣を振るうと血がヒュン!と地面に散った。

戦いは終わった。

戦士たちの追悼式が開かれる中

アルフィリアさんと一緒に燃える炎を見ていた。

ベルファム陛下が話しかけて来る。

燃え盛る戦士たちの遺体のそばで陛下は深々と頭を下げた。

此度(こたび)はエルフの民を救ってくださりまことに感謝しております。

勇者フレイル殿、あなたをエルフの国の英雄として称えよう。

光栄にございます。ところで聖石は申し訳ありません。

いえ、我が国の秘宝をお持ちください

ありがとうございます。

頭を垂れる。

ベルファム陛下とも和解できたようだ。

私たちは固く握手を交わした。

次にベアトリス様が話しかけて来た。

勇者フレイル殿、この度はまことに感謝しております。

アルフィリアもよく務めを果たしてくれました。

二人ともお似合いよ。

お母様!

恥ずかしそうにするアルフィリアさんが可愛らしかった。

数日がすぎた。

エルフの国の門の前でアルフィリアさんが見送りに来てくれていた。

フレイル様。この度はまことにありがとうございました。

いえ、アルフィリアさん、私もあなた方エルフと交流できたこととても嬉しい経験となりました。

アルフィリアさんが嬉しそうに笑っている。

さよならフレイル様。サンタナもフレイル様を頼みましたよ。

お任せください。姫様!

それでは私は人の国へと帰ります。お元気で

フレイル様、

アルフィリア様は私を見ながら私の手をその細い両の指で握りしめた。

フレイル様・・・。お元気で。

泣き笑顔、というのだろうか。目じりに涙をためて名残惜しそうに私の名を呼ぶ。

こう言葉を残そうと思う。

アルフィリアさんあなたが困ったとき私が必ずはせ参じましょう。

そう言って私は彼女の手を放すと

エルフの国を去るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ