表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/21

第6話:村の危機と初めての戦い

剣術基礎スキルがレベル5に達し、さらに「剣術実戦スキル」が発現した神崎守。しかし、その力を試す間もなく、村に新たな危機が迫っていた――。


昼下がりの村は、いつも通り穏やかな空気に包まれていた。守も畑仕事を終え、村の広場で子供たちと遊んでいた。


「お兄ちゃん、今日は何して遊ぶ?」


「うーん、昨日の冒険者ごっこは楽しかったけど、今日は……」


守が考えていると、遠くから急いで走ってくる一人の村人の姿が見えた。


「大変だ!村の外れに魔物が現れたぞ!」


その声に、広場にいた人々がざわめき始める。


「魔物だって!?こんな近くにか?」

「子供たちを家に避難させろ!」


慌てて動き出す村人たち。守も驚きながら、周囲の様子を見ていた。


「魔物……?」


そこへガルドとレナが駆けつけてきた。


「おい、守!聞いたか、魔物が村の外れに出たらしい!」


「ええ……でも、どうするんですか?」


「決まってるだろ、俺たち冒険者が片付ける。それが仕事だ。」


ガルドは自信満々に言いながら腰の剣を抜いた。


「でも、ここからすぐ近くなんですよね?村の人たち、大丈夫なんですか?」


守の不安そうな声に、レナが優しく答える。


「だからこそ、私たちがすぐに行くの。心配しないで、守はここで村人を守ってて。」


「俺が……村人を?」


レナの言葉に、守は思わず自分の手を見つめた。


そんな時、遠くから再び叫び声が響く。


「逃げろー!魔物がこっちに来るぞ!」


村の外れで見張りをしていた村人が走り込んできた。そしてその後ろから現れたのは――巨大な狼のような魔物だった。


「なんだ、あれ……でっかい!」


守は思わず声を上げた。その魔物は全身が黒い毛で覆われ、赤く光る目が特徴的だった。


「……シャドウウルフだな。小型の魔物にしては厄介な相手だ。」


ガルドが剣を構え、前に出る。


「おいレナ、村人たちを下がらせろ!」


「わかった!」


レナは村人たちに声をかけながら避難を誘導する。その間、シャドウウルフがガルドに向かって低い唸り声を上げていた。


「おい、坊主!」


ガルドが守に声をかける。


「俺がこいつを引きつける。その間に村の子供たちを守れ!」


「えっ!?俺が?」


「お前だよ!剣術のスキルがあるんだろ?少しは戦えるだろう!」


「そ、そりゃスキルはあるけど……こんな魔物相手なんて無理だよ!」


守は必死で拒否しようとするが、ガルドはニヤリと笑った。


「おいおい、昨日あんなにいい動きしてたじゃねぇか。それが使えりゃ十分だ。」


「いや、昨日は練習だったからできたんで……」


守の言葉を聞かず、ガルドはシャドウウルフに向かって走り出した。


「こっちだ、化け物!」


ガルドが挑発すると、シャドウウルフは彼に向かって飛びかかる。


「うおっ、結構速いな!」


ガルドは素早くかわし、剣で反撃する。だがシャドウウルフの動きは鋭く、簡単には仕留められない。


「ちょっと!本当に俺どうすればいいんだよ……!」


守は焦りながらも、木剣を握りしめた。その時、近くで怯えている子供たちの声が耳に入る。


「お兄ちゃん……怖いよ……」


守はその声にハッとした。


「……そうだ。俺がここで逃げたら、この子たちはどうなるんだ……!」


手の震えを抑え、守は木剣を構えた。


「やるしかない……!」


その時、ガルドの声が響く。


「おい坊主!ウルフの動きが速すぎて捕まえられねぇ!お前、こいつの注意を引け!」


「えぇ!?そんな無茶振りを……!」


守は叫びながらも、シャドウウルフに向かって駆け出した。


「おい、こっちだー!」


木剣を振り回し、大声を出す守。それに反応してシャドウウルフがこちらに向きを変える。


「やばっ、こっち来た……!」


シャドウウルフが飛びかかってくる寸前、守はなんとか横に飛び退いてかわす。


「やった……避けた……!」


だが、喜ぶ間もなく、頭の中にアナウンスが響いた。


「剣術実戦スキルがレベル2になりました」


「またスキルが……!」


その瞬間、守の体が自然と動き、シャドウウルフの動きを予測して剣を振るう。


「当たれっ!」


木剣がシャドウウルフの肩に命中し、魔物が後退する。


「やった!当たった!」


「よし!坊主、その調子だ!」


ガルドが再び攻撃を仕掛け、シャドウウルフにとどめを刺す。


シャドウウルフが倒れ込むと、村人たちから歓声が上がった。


「やった!魔物が倒れたぞ!」

「冒険者さん、ありがとう!」


守もその場に座り込み、大きく息をついた。


「ふぅ……生きてる……」


ガルドが近づいてきて、守の肩を叩く。


「よくやったな、坊主。お前、やっぱりただの迷い人じゃねぇな。」


「いやいや、俺はただ……必死だっただけで……」


守は苦笑いを浮かべながらも、少しだけ自信を感じていた。


「このスキル……やっぱり役に立つんだ。」


こうして、守は初めての戦いを乗り越え、村の人々の信頼を少しずつ得ていくのだった――。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ