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第4話:冒険者ごっこと剣術の目覚め

村での生活を始めて数日が経った神崎守。適応力のスキルのおかげで畑仕事にも慣れ、村人たちとも少しずつ仲良くなっていた。


「守、今日はここの雑草を抜いてくれ!」


農夫の一人が、鍬を持つ守に声をかける。


「了解です!って、言葉が少しわかるようになってきたな……」


守は心の中で驚きながらも、言われた通り鍬を使い、畑の雑草を丁寧に抜いていく。


最初はぎこちなかった動きも、今では完全に様になっている。


「守君、最近本当に仕事が上手くなったね。最初の頃が嘘みたいだよ。」


村人のおばさんが微笑みながら声をかけると、守は笑って答えた。


「いやいや、まだまだですよ。でも、ありがとうございます!」


村人たちとの会話も、最初のころよりずっとスムーズだ。異世界共通語のスキルがじわじわとレベルアップしているおかげだった。


「守君、お昼休憩にしましょうか。」


農夫が声をかけると、守は頷きながら腰を伸ばした。


「はぁ~、畑仕事って大変だけど、意外と楽しいな……」


昼休憩を終え、午後の仕事をしていると、村の子供たちが守の周りに集まってきた。


「守お兄ちゃん、今日も遊んでよ!」


「いいけど……今日は何するの?」


「冒険者ごっこ!」


目を輝かせながら棒切れを持つ子供たち。その姿に守は少し驚きながらも笑って答えた。


「冒険者ごっこか……まぁ、いいけど、あんまり激しいのはダメだからな。」


「わかった!お兄ちゃん、俺たちのリーダーやってよ!」


「リーダー!?いや、俺そんな器じゃないんだけど!」


子供たちは守の抗議を全く聞かず、次々に棒切れを渡してきた。


「さぁ行こう!モンスターを倒すんだ!」


「お兄ちゃん、ちゃんと強い剣士役だからね!」


こうして冒険者ごっこが始まった。子供たちは木の棒を振り回しながら、「魔王討伐だ!」や「こっちにモンスターがいる!」と大はしゃぎ。


守も仕方なく棒を振りながらチャンバラに付き合う。


「やられたフリするのも案外難しいな……おりゃっ!」


木の棒を振り、子供たちと笑い合う中で、守は徐々に自分の動きが変わっていることに気づいた。


「なんか、この振り方……自然にやりやすくなってる……?」


その時、頭の中にまたしてもアナウンスが響く。


「剣術基礎スキルがレベル1になりました」


「えっ……!?剣術基礎……?俺、そんなの覚えたの?」


守は手元の棒切れを見つめ、驚きの声を上げた。


「なんだこれ……チャンバラしてただけなのに、スキルになったのか!?」


子供たちは守の突然の動揺に気づかず、楽しそうに棒を振り回し続けている。


「お兄ちゃん、どうしたの?早く来て!」


「えっ、あ、うん……ちょっと待って!」


守はスキルの存在に戸惑いながらも、子供たちの声に応じて再び棒を振る。だが、その動きは明らかに先ほどよりも洗練されていた。


「なんだこれ……俺、こんなに棒を振るの上手かったっけ?」


夕方、遊び疲れた子供たちが帰り、守も村長の家に戻る。


「剣術基礎スキルって……俺、やっぱり異世界に馴染んできてるんだな……」


椅子に座りながら棒切れを眺め、守は呟いた。


「剣術のスキルがあるなら、ちゃんとした剣を持ったらもっと強くなれるのか……?」


胸の中に新たな可能性が生まれ、守は小さく拳を握った。


「よし、もっといろんなことに挑戦してみよう。この世界で、俺はきっとやれる!」


守の異世界での挑戦は、まだ始まったばかりだった――。


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