第13話:初めてのパーティ
翌朝、守は冒険者ギルドに足を運び、掲示板の前で次のクエストを探していた。
「うーん……魔物討伐、素材集め……どれも興味はあるけど、一人だとちょっと厳しいよな……」
昨日の薬草採取で遭遇した魔物のことを思い出し、守は少し悩みながら呟く。すると、後ろから声が聞こえた。
「おい、坊主。次のクエストか?」
振り返ると、ガルドが腕を組みながら立っていた。
「あ、ガルドさん。次のクエストを探してるんですけど、一人で行くには怖い気がして……」
「まぁ、一人で行くのは危ねぇよ。パーティを組んでみたらどうだ?」
「パーティ、ですか?」
「そうだ。冒険者ってのは仲間と組むのが基本だ。一人じゃできないことも、仲間がいりゃ乗り越えられる。それに、楽しさも倍になるぞ。」
ガルドの言葉に、守は少し考え込んだ。
「確かに……仲間がいれば安心ですよね。どうすればパーティを組めるんですか?」
「ギルドの掲示板にパーティ募集の張り紙があるだろ?そこから探せばいい。」
ガルドが指さした方向を見ると、「パーティメンバー募集」と書かれた張り紙がいくつも貼られていた。
「本当だ……こんなにたくさんあるんですね。」
「最初は初心者歓迎のやつを選ぶんだな。ほら、探してみろ。」
しばらく張り紙を眺めていた守は、一枚の張り紙に目を留めた。
「これ……『討伐初心者向けパーティ、あと一人募集』か。これならいけそうかな?」
守は張り紙を手に取り、受付の女性に相談することにした。
「あの、この募集、まだ空いてますか?」
受付の女性は微笑みながら頷いた。
「はい、空いていますよ。このパーティのリーダーは槍使いの女性で、すでに一人メンバーがいる状態です。初めてのパーティにはちょうどいいかもしれませんね。」
「本当ですか!じゃあ、ぜひ参加したいです!」
「わかりました。ではリーダーの方にお声掛けしてきますので、少しお待ちくださいね。」
数分後、受付の奥から一人の女性が歩いてきた。長い黒髪をポニーテールにまとめた、凛々しい雰囲気の女性だった。
「初めまして。このパーティのリーダーをやってます、シエラです。」
「は、初めまして!神崎守です!」
緊張しながら頭を下げる守を見て、シエラは優しく笑った。
「そんなに硬くならなくていいよ。守君は初めてのパーティ?」
「はい、ギルドに登録したばかりで……」
「そっか。それなら、私たちのパーティにはちょうどいいね。今日は簡単な討伐クエストだから、無理せず一緒に頑張ろう。」
「はい!よろしくお願いします!」
クエストに向けて出発する前に、守はもう一人のメンバーを紹介された。
「こちらがアレン。魔法を使えるんだ。」
「よろしくな。初心者でも、やる気があれば大歓迎だぜ。」
銀髪で軽い雰囲気の青年、アレンが笑顔で手を差し出してくる。守は少し緊張しながらその手を握った。
「よ、よろしくお願いします!」
「緊張すんなよ。シエラがリーダーだから、俺たちはのんびりついていけばいいさ。」
「こらアレン、私のリーダーシップをバカにしないの。」
「冗談だよ、シエラ。さ、行こうぜ!」
アレンとシエラのやりとりに、守は少し和んだ気持ちになった。
目的地は町の北にある小さな丘で、クエスト内容は「スモールウルフの討伐」だった。
「初心者向けだけど、油断は禁物だよ。スモールウルフは素早いからね。」
シエラが説明するのを聞きながら、守は剣を握りしめた。
「はい、気をつけます!」
「俺が魔法で支援するから、何かあればすぐ言えよ。」
アレンが軽い調子で言い、守は小さく頷いた
丘に到着すると、茂みの中から低い唸り声が聞こえてきた。
「来るよ、気をつけて!」
シエラが槍を構えると同時に、スモールウルフが姿を現した。3匹の群れだ。
「3匹か……。シエラ、どうする?」
「私が1匹引き受ける。アレン、1匹を魔法で止めて。守君、残りの1匹をお願い。」
「わ、わかりました!」
スモールウルフが突進してくる。守は恐怖を感じながらも、自分で作った剣を構えた。
「ここで怯えたら、冒険者失格だ……!」
ウルフが飛びかかってくるのをかわし、守は剣を振るう。だが、相手の動きが速くて当たらない。
「くそっ、動きが速い……!」
その時――。
「剣術実戦スキルがレベル5になりました」
突然、体が自然と動き出し、スモールウルフの動きを読みながら剣を振り下ろす。
「うおりゃっ!」
剣がウルフの脚を捉え、相手が倒れ込む。守はその隙にもう一撃を加え、見事に仕留めた。
「や、やった……!」
クエストを終えた3人は町に戻り、ギルドで報酬を受け取った。
「お疲れ様、守君。初めてのパーティどうだった?」
「すごく緊張しましたけど、楽しかったです!」
「それなら良かった。また一緒にクエスト行こうね。」
シエラの笑顔に、守はしっかりと頷いた。
「はい!よろしくお願いします!」
こうして守は、冒険者として新たな一歩を踏み出したのだった――。




