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空に住む人

作者: 青伽

 僕は空が嫌いだ。

 遠く手が届かない空が嫌い。

 昔の人は空が落っこちてくると怖がったみたい。

 いっそのこと落っこちてくれないかな。

 そうすればみんな一緒になれるのに。


 ふわりふわりと身体が浮く。

 後ろを振り向くと、身体が浮いていて、僕の町は小さく見える。

 これは夢なんだと思った。そうじゃないと空なんて飛べないから。

 僕はもう振り返らなかった。

 空の上へどんどんどんどん泳ぐように掻き分けて行った。

 飛んでいた鳥が驚いて逃げていく。

 飛行機だって、追い抜いていく。

 ちょうちょやハエも、追い抜いていく。

 かあちゃん、かあちゃん

「あらま、来ちゃったの!?」

 あらま、というのはかあちゃんの口癖だ。

 僕は母ちゃんにしがみついた。

 もう絶対に手を離さない。

「泳げもしないのに困った子だね」

 もういつの話をしてるんだよ。

 かあちゃん、かあちゃん、あのね。

 とうちゃんはしんでしまった。でも天国へはいないんだって、みんなそう言ってる。

 だからせめてかあちゃん。

 一緒に暮らそうよ。かあちゃん。

「全く、弟の世話はどうするんだい。またサボってばかりで。そんなこと言ってないで、さっさとお帰り」

 かあちゃんかあちゃん。

「かあちゃんもいつかそっちへ行くから」

 本当? 本当に?

「また会えるから、がんばってねお兄ちゃん」

 安心した僕は、身体が透けて、僕の住む町へと戻っていった。

 とってもまっさおな、青い町へ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ご両親ともに亡くなっているのでしょうか。 詩のような言葉の美しさを感じました。
2024/01/13 08:09 退会済み
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