2年4組は文化祭でお化け屋敷をやらないと呪われる
小説家になろうラジオ大賞5 参加作品。
テーマは「文化祭」です。
この高校の文化祭、2年4組のクラスは必ずお化け屋敷をやるという暗黙の了解があった。
それは昔、このクラスの女子生徒が文化祭の日に失恋し、それを苦に自殺したことが発端らしい。それ以来2年4組はお化け屋敷をしなければクラス全員が不幸になるという。
そして重要なのが、必ず女子1人が幽霊を演じ、もう1人男子が一緒にお化けをやること。
これには弔いと鎮魂の意味があるようで、学校の長年の伝統となっていた。
バカバカしい。そんな非科学的な。
と思ってたら俺は2年4組となってしまう。
しかもお化け役に抜擢される。
「なんで俺なんだよ!」
「だってお前、そういうの信じないんだろ?」
そして問題の女子の幽霊役には、物静かで控えめな子が犠牲に。
きっと成り手がいなく、無理やり押し付けられたんだろう。かわいそうに。
文化祭前の数週間。
クラスの皆は必死に作業する。
失敗すれば皆不幸になるのだから無理もない。
俺も彼女と練習を何度もこなす。
あれ?
この子、可愛い?
今まで話す機会がなかったが、明るいし気配りもできて優しいし、それによく見ると可愛い。
予想していた心霊現象も起きぬまま、彼女との楽しい毎日を過ごしつつ、文化祭当日。
お化け屋敷は大成功!
何事もなく無事に終わった!
やはり幽霊なんていないのだ。
これから教室では打ち上げ。
屋台で余った焼きそば等が並び、宴が始まる。
俺と彼女は並んで座り、乾杯用として売れ残ったラムネを
「おつかれさま」
と女子から受け取る。
そして皆で盛大に乾杯!
「無事に終わったな」
「よかったね」
「でもお前も災難だな。幽霊役押し付けられて」
「実は……私から立候補したんだ」
「こんな嫌な役を?」
「幽霊の噂は本当みたい。お祓いとかしたけど無駄だったって。唯一、文化祭でお化け屋敷をしてみたら、幽霊は現れなくなって。
で、いつしか幽霊を演じた2人は結ばれるって伝説になって……」
……ん?
ってことは?
俺と?
「楽しんでるか! 主役のお二人さん!」
いいムードなのに馬鹿が茶化しに来やがった。
「あれ? 2人とも何それ?」
「何ってラムネだよ。どっかの余り物じゃ?」
「そんなの無かったぞ?」
「さっき女子から渡さ……」
あれ?その女子って?どんな子だっけ?
しかもこのラムネ、よく見ると傷だらけの瓶で、だいぶ昔の物のような……
俺と彼女は目を合わせる。
これってまさか……?
その幽霊!?
この胸のドキドキは?
超常現象など信じない俺だが、
この奇跡と恋は本物のようだ。