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第9話

この宿が交易所の兼ねていたため、

滞在していた商人たちから調理用の塩と胡椒に数個の携帯食糧を買うことができた。


人狼たちとの戦いで不足を感じていたため武器も新調した。

数本のダガーナイフ、小斧、サバイバルナイフと併せて、

革鎧に革製のアームガードとすね当てを購入する。


それに気前を良くした商人は、

それぞれの武器を収めるベルトを格安で売ってくれ、

昨日のお礼だと言ってボロボロになったハンティングナイフを研いでくれた。


買った各防具を身に着け、

他の調達品もそれぞれ装備していき準備を整える。


宿の外に出ると「輝く日光団」の面々も装備の確認をしているようだった。


「マヤ!こっちこっちー」


とアラナが手を振ってこちらを呼び迎える。


「お待たせいたしました」


と返事をしつつ向かうとアラナはまじまじとこちらを見つめて、


「魔術師って想像していたより重装備なんだね?」


と疑問を投げかけてきた。


「魔法を使うより体を動かす方が早い時もありますから」


と返すと


「そうなんだっ」


とアラナはそこまで気になっていなかったようで、

そのまま別の話題に切り替わった。


まずは各々の自己紹介。


今回のリーダーを務める短髪の女性「アラナ」、

人に好かれる質らしく彼女の周りには常に人がいる。


ショートソードと小盾を身に着け戦闘の際は遊撃を担当する。


次に体が大きく恰幅の良い「グラント」、

荷物持ち兼前衛で敵の視線を引き付ける役目をになっている。


共有の荷物と大きな盾とこん棒を装備してもまだ平気の様で、

「疲れたらいつでも僕が背負ってあげるよ」と、

にこやかに声を掛けてきた優しそうな大男。


長い赤い髪にそばかすが特徴的な長身で筋肉質な女性「アーシャ」、

常に不機嫌そうに眉間にしわを寄せている。

こちらを警戒していて「あたしに近づくな」とのこと。

長剣を背負い腰のベルトは斧を2つ下げている彼女は、

大型のモンスターなどにトドメを差す役割みたいだ。


それ以外の「輝く日光団」のメンバーは、

悪酔いした団員の看病と荷物の見張りをするため待機するようだ。


そのためこちらを含めての4人だけで、

黒豹のような人肉植物「クァール」の退治に向かうことになっている。


クァールの目撃された地点は、

宿から半日歩いた距離にある西の古都へと速く抜けられる山道。


そこを通る行商人の集団をクァールが襲ったことで、

今は使用が禁止されている場所。


道中に聞いたアラヤからの話では、

今回の依頼はこの抜け道をよく使っていた複数の商人たちが、

山道からクァールを追い払ってほしいとだした討伐依頼のようだ。


クァールの首一つに報奨金を出すという商人たちの必死さが伺える内容で、

それにつられた者達があの宿に押しかけていた状態だったようだ。


だが昨日の宴会でそのほとんどの者が悪酔い状態となった。


「だから今がチャンスなんだっ!」と、

「輝く日光団」の団員もリーダーを含む複数人がいない状態のなか、

少人数での強行を決断したのはそういった背景があるみたいだ。


この一連の話を聞いて苦笑いしていると、


「マヤ様様だねっ!」


こちらの心情を知ってか知らずかアラヤは笑いかけてきた。


早朝から歩き出して数刻。

歩いている場所は既に山道近くに差し掛かっており、


(今は太陽の昇りからして正午近くかな・・・)


と思っていると、


「そろそろだよ」


とアラヤの一言で立ち止まる。


グラントは荷物を降ろし道の脇に手慣れた手つきでキャンプを設営していき、

簡易的な椅子を設置して小休止を行うことになった。


そこでの会話、


「おいっ」


とぶっきらぼうにアーシャが話しかけてきた。


「なんでしょう?」


そう返すと、


「おまえは何の魔法が使えるんだ?」


と聞かれそういえば説明していなかったことに気が付く。


「僕が使えるのは「ヘイスト」の一つだけです」


と告げると、


「ひとつっ!?アラヤ、てめぇなんでこんな足手まとい連れてきたんだっ!」


とアラヤに怒り出した。


「まぁまぁいいじゃないっ、それでどんな魔法なのその「ヘイスト」って?」


とアーシャをいなしながら聞いてきたので、

そこから軽い説明と実践を行った。


持ってきた携帯食料を各自食べ終わると、


「そろそろいこうぜっ!」


とアーシャが勢いよく立ち上がり2人もそれに続く。


こちらも横に置いていた杖を地面に突きたて立ち上がる。


「商人が襲われた場所ってのはあそこか?」


とアーシャがアラヤに聞く。

「そうだよっ!」と返し4人はそこに向かって歩き出した。

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