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第7話

死神と呼ばれた傭兵こと「マヤ」は、


水源を辿れば街があると考えて川を探すことにした。




そのため幾匹か獣を影から呼び出し、影を伝って司令を下す。




獣たちは一斉に駆け出し森の奥へと向かい、


数分ののち、獣が吠える様が影から伝わってきた。




小川を見つけ、それに沿って下っていく。


大きな渓流へと合流しまたそれを辿る。


ついに森を抜けて、一気に視界が開け大きな平原に出た。




そのまま歩き続けている橋が見え、整備された道が見えた。




ようやくと文明の匂いがしてきた。




マヤがたどり着いたのは、


旅人が一夜を過ごすために使い、行商人なども行き交う交易所を兼ねた宿屋。


大きな木組みと石レンガの壁が特徴的な建物で横には厩舎小屋まで設置されている。




数匹の馬が世話を受けているところを見ると先客はかなりいるようだ。




「ギィ」と軋む音を立てて扉を開ける。


マヤから向かった右側は長方形のテーブルが3つ並んでおり、


そのに座る者たちは腹を満たし酒を飲んで楽しそうに過ごしている。




向かって左側は、カウンターになっており、


どうやら重要な相談事をしているように見える。




カウンターの内側で立っていた恰幅のいい男性がこちらに気づき、




「いらっしゃい」




と呼び掛けてきた。




手続きのため数度のやり取りを行い、小袋から一枚金貨を取り出す。




驚いた表情の後、にんまりと笑顔になり、




「部屋はとっておきのを用意しますよ!」




と手ぐすねしながら店番を男性の女将さんに代わり、


自身は部屋の準備へと向かっていった。




この女将さんもやけに態度がいい。


おそらく変わる前に先ほどのことを伝えたのだろう。


ホクホク顔で一人用のテーブル席へと案内された。




彼女の進められるままに注文してしまい、


大量の肉料理がずらりと並んだ。




3分の1ほどを食べていると、


うらやましそうにこちらを眺めている複数人の男女がいた。




そのだれもが、


様々な武器を持っていることから戦うことを生業にしていることがわかる。




手招きしてみるとと、そろそろとこちらにやってきた。




「僕だけでは食べられないのでよかったらどうぞ」




というと、




「いいのかいっ!!」




一人用のテーブルだったがそれを取り囲むようにして一斉に食べ始めた。




あれだけ大量にあった料理はすぐになくなったので、


ホクホク顔の女将さんに追加で注文することにした。




いつの間にか、


人数が増えてしまったことで最終的には宴会のようになってしまった。




皆一様に腹を満たし終えると、


最初に物欲しそうな目で見ていた複数人の男女がやってきた。




「ありがとうっ若旦那!おかげで久しぶりに肉料理が食えたよ!!」




とおそらくリーダーらしき精悍な顔の男が代表してお礼を言って頭を下げてきた。




「頭を上げてください。僕はそんな大したことはしていませんよ」




というと感極まったように、




「若旦那あんたはなんていい人なんだっ!」




と泣き始めると、後ろで見ていたリーダーの同世代ほどの短髪の女性が前に出て




「あははーごめんなさい、こいつ酒が入ると泣き上戸になっちゃうんですよ」




とリーダーを後ろに下げようとしている。




「いえいえ、満足できたならよかったです」




と笑顔で答えると、




「wじょうぇふぃをj」




とリーダーは顔がぐしゃぐしゃになりながら言葉にならない言葉を発すると




「はいはい興奮しないでっ、こっちが恥ずかしいんだからっ!」




と短髪の女性が力を込めてリーダーを後ろに引っ張り、


控えていたほかの仲間に預けると、リーダーはそのままどこかへ連れていかれた。




「ほっとーにごめんなさい。でもあいつの気持ちは嘘じゃないし、ほかのみんなだって若旦那に感謝しているから」




と続けて




「この恩は絶対に忘れない。私たちにできることがあれば何でも言って!!」




と再び頭を下げてきた。




「それならせっかくできた縁ですから、よければ皆さんの話でも聞かせてください」




そう提案すると、




「へっ、はなしっ?」




と驚いた様子で顔を上げた。

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