表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暁の皇子  作者: さら更紗
Ⅲ 予感
47/151

Ⅲ 予感 -2

 


「あ」

 彩が小さく声を上げた。

「また見えたの?」

 彩を背負っていた昂が聞く。

 背中で彩が小さく頷くのを感じた。

 狼公の館の裏にある山へ逃げ込んだが、館を出てから、追手の気配は感じなかった。あきらめてくれたのかもしれない。

 裏門から出た四人が気になったが、空がそれなら大丈夫と請け合ったのを聞いて、なぜか凛が「じゃあ、大丈夫ね」とぼそりと言って、納得してしまった。

 一番、凛が四人の安否を気にしていただけに、昂は意外だった。

 凛は空のことが苦手なのか、空を避けているようだった。ほとんど口をきかない。得体のしれない男だと、まだ警戒しているのかもしれない。

 それだけに、凛の「それなら大丈夫ね」は不自然だった。しかし、それから空も凛も何も言わないので、昂もなんとなく聞けずじまいだった。

 何かがちぐはぐな感じがしながらも、四人は山を抜けようと、歩いていた。彩は平らかな道は手を引かれて歩いたが、ほとんどは昂と空に交代で背負われて進んだ。

 その途中で、急に彩が声を上げたのだ。

「奏の目が見える」

「え、奏?」

 二人の目がつながっていることを思い出して、昂は弾んだ声を出した。売られたのは、近くかもしれない。

 しかも二人の目がまだつながっているなら、見つけるのは案外簡単かもしれない。

「あ、でも……」

 期待とは裏腹に、彩の声はしぼんでいった。

「消えちゃった」

 昂はがっかりしてしまった。その気配が伝わったのか、彩が「ごめん」と小さな声で謝る。

 謝らせてしまったことに気が付いて、慌てて昂も謝る。

「いや、ごめん。彩は悪くないのに…ごめん」

 じたばたしている昂の肩をたたいて、空が言った。

「まぁまぁ、歩きながらしゃべると、無駄に疲れるよ。話はあとでしよう。ほら、ちょうどいい。あそこで休もう」

 木と木に挟まれたくぼ地のようなところが、ちょうど平になっている。木の陰から、陽光が漏れていて、暖かそうだった。

「追手は大丈夫かな?」

 昂が気にすると、

「もう来ないよ」

 と、空はあっさり言い切った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ