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失恋慕

作者: 伊吹 希

「別れよう」


 たったその一言に、どれだけの重みがあるだろう。衝動的な一言であったり、考えに考え抜いた一言かもしれない。思いとは裏腹に出た一言かもしれない。ただ、途轍もなく重い一言。


 たったその一言に、どれほどの悲しみがあるだろう。その一言に、どれほどの苦しみがあるだろう。その一言に、どれほどの驚きがあるだろう。


 たったその一言で、今まで築き上げてきた関係は終わりを迎えてしまう。その一言で、そこから先に思い描いていた世界が崩れ去ってしまう。


 たったその一言で、あそこへ行こう、あんなことをしよう、あれをプレゼントしよう、あんな言葉を掛けよう、そんな想い描いていた世界は二度と訪れない。


 だからその一言は重い。今までの()()が込められている。楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、つらかったこと。それらすべての想いを込めて放たれる言葉。


 だからその一言で、初めて相手をどれだけ想っていたのかを知る。初めて相手をどれだけ好きだったのかを知る。


 毎日繋いだ電話。ときめくような相手の声。決して離したくなくなるような抱擁。忘れられないあの時間。


 たった一言。

 たった一瞬。

 振った側。

 振られた側。


 そして悔やむのだ。振られた側も振った側も。もっと気にかけるべきだった、相手のことを考えなかったと。どうして振ってしまったのだろう、やり直す道はなかったのかと。


 そして願うのだ。もう一度逢いたい、もう一度抱きしめたい、もう一度声が聴きたい。



 人は、別れて初めて()()ようになる。



 ....それが例えもう叶わない願いであったとしても。

お読みいただきありがとうございました。傷心するあなたの一助になり、一時でも心に残りますように。

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