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第96話 高い

「それで装備の強化をするとして、当然お金が必要ですよね。マルティナさん、どのくらいのお金があればいいかわかります?」

「それは……。ピンキリとしか」

「あ、まあ当然そうですよね。とりあえず、現実的なレベルでどんなものがあるかからですかね」

「わたしは槍使い中衛なので、それ以外の装備に関してあまり詳しくはありませんが、アサミ様の防具に関してはまず今使われている軽量な鉄の鎖帷子を最低限ブルーストーンベースのものに変更すべきと思います。そのうえに後衛の場合通常はローブなどの軽量な布装備を使うのですが、アサミ様はその、若い女性としては非常に体力がおありですので、鎖帷子の上に魔獣素材を使ったハードレザーの軽装部分鎧を。その軽装部分鎧も要部にブルーストーンの補強が入ったものが良いでしょう。アサミ様は攻撃魔法も使えますので武器は当面そのままで、余裕ができた時点での変更といったところでしょうか」


あら、さすがにあたしの身体が高性能なことにも気づいているのね。そりゃそうか。これだけ一緒にいれば気付くわね。もうひとつ魔獣素材のハードレザーって、魔獣って素材になるの。


「それで、その装備を整えるのにどのくらいかかりそうなの?それに魔獣素材って」


あ、あたしがお金の話をしたとたんにマルティナさんの目が泳いだわね。これは相当に高いってことよね。


「おそらく、ブルーストーンの鎖帷子が100から150万スクルド、軽装部分鎧が150から200万スクルドといったところだと思います。魔獣素材に関してはエルリック周辺ではゴブリンやオーク、スリーテールフォックス、まれにナインテールフォックス程度でしたからね。あれらでは一般向けの素材にしかなりません。もう少し上位の魔獣・魔物の皮や骨、牙、角といったものは武器防具の素材になるんです。なので討伐報酬以外にも素材売却での収入も期待できます」

「うわ、結構な値段だし、まさか討伐報酬以外にそんな収入減があるなんて。でもそういった強い魔獣や魔物を斃せるようになってからよね」


合計で250から350万スクルドって日本円で500万円以上ってことじゃないの。高級車が買えるわ。エルリックでは稼いでいた方だと思うけど、さすがに半年程度じゃこんな蓄えはないわ。売り物になる魔獣や魔物については装備がそろってからよね。


あたしはため息をついて瑶さんの様子をうかがう。そっとうかがったつもりだったのだけど、瑶さんと目が合っちゃったわ。


「え、えと。瑶さん。どうしましょう?」

「クククッ。お金が足りないのはどうしようもないからね。とりあえずは現状の装備でできることをするしかないね。マルティナさん、クリフの周辺の浅い場所なら現状の装備でもどうにかなるんじゃないかな?」

「そうですね。クリフ周辺ならフォレストウルフ、グレーボアあたりの魔獣かゴブリンやオーク、たまにオーガに単体で出くわすくらいですから、おふたりならよほどまで対応できると思います。ハイディング持ちもほとんどいないですしね」


瑶さんに笑われちゃった。でも、それしかないわよね。それにしてもマルティナさん、以前いたことがあると言うだけにクリフについて詳しいわね。それと最後に気になる言葉があったわね。


「あの、マルティナさん。ハイディングって気配を消すってことであってますか?」

「はい、その通りです。クリフの周辺では少し奥に入るとシークキャットやハイディングバイパーといった待ち伏せを得意とする魔獣もいます。奥に入っていくには、その対応ができるようになるまではハイディングを見破ることのできるハンターと組むのがセオリーですね」


ハイディング。あたしの探知魔法で見つけられるかしら。いえ、これはその領域に足を踏み入れるときになったところで確認すればいいことね。それでもこのあたりの情報はマルティナさんともそろそろ共有しておいた方がいいかしらね。


「マルティナさん。実はあたし、全属性の探知魔法が使えるの」

「え?全属性ですか?」


やっぱりそこまでは気付いてなかったみたいね。


「ええ、それも探知距離が500メーグ程度であれば全属性で同時にね」


正確には分からないけど、この世界での距離の単位メーグは1メーグが大体90センチくらいなのよね。面倒だから1メーグを1メートルとして話しているのだけど、この程度の違いは大したことじゃないからいいわよね。


「それで、質問なんだけど、ハイディングって探知魔法をだませる?」


実はずっと疑問だったのよね。もし、探知魔法から隠れられないなら探知魔法ってぶっ壊れスキルって言えるもの。

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