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第2話 変わったキャンプ用品

「というところで、これからの方針を決めよう。っと、その前に自己紹介をしておかないとね。私は影井瑶かげい ようといいます。48歳、世界中のなんというか変わったもの面白いものを輸入して販売する会社で、一応営業をやってます」


なんかおじさん改め影井さんが生真面目に自己紹介をしてきた。あたしもした方がいいわよね。きっとしばらくは一緒に行動することになりそうだし。そこで少し乱れていたセーラーの制服をパタパタとはたいて整えてから口を開いた。


「あたしは、華朝未はな あさみです。華の中学1年生13歳です。華だけに」


あたしは、エヘッっと笑って自己紹介をつづける。


「学校では文芸部に所属してます。」


あたしが文芸部所属と言うと影井さんは”なるほど”と納得したような顔をした。それはわかる、わかるけれどなんか悔しい。少しからかってみようかしら


「身長153センチ。体重はちょっと内緒で。スリーサイズは……」


あたしがそこまで言うと影井さんがペシっとあたしの頭をはたいてきた。


「そこまで言わなくていい」


むう、じゃあ今度は少しツッコミを入れることにした。


「影井さんは、営業って言う割には……」


そう言いながら、影井さんを頭からつま先までジロジロと視線を動かして見せる。


「うん、サラリーマンらしくないかい?」


なんか余裕の笑顔で返してきた。なんだろうこの敗北感は。かと言って今更止められないから仕方ないわね。


「だって、ジーパンに皮ジャンにおっきなリュック背負ってさ。どっかに遊びに行くみたいじゃない」

あたしは無造作にそう言ってふふんと笑ってあげた。


「まあ、実は今日は有休をとって友人と2人でキャンプにいくつもりだったんだよ。大物は車に積んで、あとこれだけをってところでこうなったわけ」


キャンプ用の道具?それはこの状況では色々便利なアイテムがありそうね。


「じゃあ、そのリュックの中身はキャンプ用品ってこと?」


あたしが聞くと、影井さんはフッと頬を緩めたわ。


「そうだね。ちょっと変わったキャンプ用品かな」


「変わったキャンプ用品?というと?」


あたしの問いかけに影井さんは少し照れくささを残した笑顔でこたえてくれる。


「私のするキャンプはキャンプ場ではないんだよ。まあ俗にいうサバイバルキャンプみたいなものでね。だからこんなものが入っていたりするんだよ」


そういうと影井さんの左手に菜切り包丁を肉厚にしてちょっと曲げたような刃物が、右手に大型のナイフが現れた。今どうやって出したのかしら。ちょっと驚いて固まってしまったわ。直前まで何も持っていなかったのに気付いた時には両手に刃物を構えているとか、影井さんって危ない人みたいね。


「でも、現状ではこれは役に立つ可能性が高いね。あまり役に立ってほしくない方向で」

両手の刃物をしまうと影井さんはポリポリと頬を掻いた。


「役に立ってほしくない方向っていうのは、やっぱり」


それはそういう事よね。あたしもここが異世界って時点で避けられないとは思っていたわ。でも異世界転移したらお約束があると思うの。神さまとか次元の違いとかでチート能力というか、身体能力向上とか魔法とか。だけど今のところそういうのをもらえた感覚ないのよねえ。


あたしはハーっと溜息をついた。

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