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第119話 初・対アンデッド戦

あたし達が北の森の浅い狩場でゴブリンやオークをサクサクと狩って、およそ半日。ちょっと鼻を突く臭いが漂ってきたわね。これはいよいよアンデッド、それもゾンビかしら。


探知魔法には反応しているのだけど、目視するまではマナセンスの反応でなんとなく強さがわかるだけで、相手がゴブリンなのかオークなのかはたまたゾンビなのか今のところはわからないのよね。レベルが上がれば情報量が増えるとかあるのかしら?今のところは探知範囲が広がるだけなのだけど……。


見つけたのはゾンビとスケルトンの混ざった群れだった。結構数も多いわね。


「さて、いよいよ対アンデッド戦なわけだけど、今までと一緒でいいかな?」


瑶さん自身も嫌そうね。あたしもスケルトンはともかくゾンビはちょっと近接戦闘したくないわね。だって腐った肉とか飛びりりそうじゃない。そうでなくても巨匠のアニメの出来損ないの巨人兵器みたいにドロドロしてきても気持ち悪いし。と言うことで提案することにした。


「ゾンビは、基本的にあたしが魔法、ホーリーで斃そうと思います。あたしの魔法を抜けてきたスケルトンは瑶さんとマルティナさんにお願いします。数も多いみたいですし、聖属性の範囲魔法で一気にやっちゃいますよ」


あたしの提案に瑶さんもマルティナさんも少しほっとした顔で頷いてくれた。

まずは敵を迎えうちやすそうな場所に移動。そこからどう範囲を指定したら効率が良いかを考えて狙いをつける。少し多めの魔力を込めて魔法を発動した。


「ホーリー」


最初は一番手前のゾンビ集団をまとめて範囲に入れたホーリーを放つ。青白い光の範囲にいた多くのゾンビと一緒に巻き込んだスケルトンが崩れるように斃れていった。

ホーリーの効果が切れるのを待つことはない、そのまま右端の大きめのゾンビ集団を狙う。


「ホーリー」


その頃になると自分たちが攻撃されたことに気付いたゾンビとスケルトンがまとまってこちらに移動しようとし始めた。でも簡単に来させはしないわ。何のために最初のホーリーを一番手前に放ったか。ゾンビやスケルトンがまとまってこられないようにするための防壁を兼ねているのよね。さすがに全部をまとめて覆うことは出来ないけど、数を制限するように配置するくらいはできるんだから。


そして最後のゾンビの集団にホーリーを放つ。今回はホーリーはこれで最後。魔力が劇的に増えたあたしだけど、これだけの規模のホーリーを3連発すると魔力を半分近く使ってしまった。もうゾンビはいないので瑶さんとマルティナさんにお任せしちゃおうかしら。


冗談半分の考えを浮かべながら瑶さんとマルティナさんの様子をうかがう。それでも、あたしも短剣に魔力を込めてフォローできる位置に移動した。

マルティナさんの武器は槍。本来ならスケルトンを相手にするのには向かないとは思うのだけど、魔力を纏わせた槍での的確な突きと力強い薙ぎ払いであっという間にスケルトンが行動不能になっていく。瑶さんに至っては纏わせる魔力が聖属性なのだからスケルトンを当たる幸いの1撃が当たればそのまま崩れていく。


わずか数分で数十体残っていたスケルトンを殲滅し、今あたし達は討伐証明ともなる魔石を拾っている。

この2人にとって、いえ、あたし達”暁影のそら”にとってアンデッドは相性が良すぎる敵だったわね。


「これだけの数のアンデッドより10分の1の数のオークの方があたし達にとっては手ごわいくらいですね」

「確かに、相性が良すぎるね。うっかり油断しそうだ」


瑶さんが苦笑している。


「そうは言っても、アサミ様のホーリーが無ければ、あの数はそれなりに脅威だったとは思います」


マルティナさんの言葉に瑶さんも頷いている。


「ところで、あれだけの規模のホーリーを使うと朝未の魔力が心配なんだけど、魔力の残りはどうかな?」

「そうですね。さすがにあれだけの魔法を使うとごっそり持っていかれますね。今ので半分近く減った感じです。エルリックに居たころなら、1発だけで気を失っていたくらい魔力を込めましたからね」


「そうか、半分か。なら今日は一旦撤収しよう」

「え?まだお昼にもなってませんよ。魔力も少し休めば回復しますし」

「いや、朝未の魔力は対アンデッドでは私達の主戦力だからね。それが半減しているんだから、ここは撤収の一手。安全第一だよ」


瑶さんに押し切られあたし達は、今日は買えることにした。

帰り道は殲滅後だからかアンデッドはおろかゴブリンとも出会わなかったけど、これだけの数との戦闘をするとなると聖属性魔法が無い普通のハンターだとちょっと大変かもしれないわね。今回は実体のあるアンデッドだったからどうにはなるとは思うけど。


北門まで戻り、衛兵さんにハンター証を見せる。


「早かったな。森の入り口から魔物が多くて驚いただろう。ま、安全第一だから良いと思うぞ」


魔物の数に驚いて逃げ帰ってきたと思われたみたいね。そのくらいの方が目立たなくていいかしらね。ギルマスあたりには目立っちゃってる気もするけど……。なんて思っていたらマルティナさんが不満そうに口を開こうとしたので手を開いて抑えておく。

マルティナさん、強いし良い人なんだけど、ちょっとあたしへの行き過ぎた敬愛を感じるのよね。


「この時間だとギルドは空いているだろうから、とりあえず魔石の買取をしてもらって必要なら報告、それから昼食。その後で明日以降の計画の打ち合わせをしようか」


瑶さんの先導であたし達はハンターギルドに向かった。

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