03 祝!異世界転生!
…んぅー。
………おはよう?
目が覚めた。
あたりを見渡すと、森の中のような風景が広がっている。
「いきなり都会スタート……とはいかないか」
とは言っても、念願の異世界だ。
夢なのか現実なのかあんまりわからない。
なにせ判断基準がラーメンの味なのだ。
それも食べたことがないやつ。
「ま、とりあえず気長にやりますかー」
もうどうでも良くなってきたよ。
別に現実の世界に未練もなければ、ここが夢だとしてさめたとしても、それはそれでいい。
そこで一つ、さっきまでのことを思い出した。
魔法ってどうやって使うのかな。
あのカミサマが予定通りに魔法を使えるようにしてくれてるなら、私にも使えるはずだ。
「とりあえず、火はやばそうだから、水の魔法か何か使えないかな」
魔法が使えるにはいくつかの王道パターンがある。
まず有名なのは魔法書や魔導書などで覚えるパターン。
詠唱があったりなかったり、媒介となる道具を使ったり。
私的に無詠唱はかっこいいので憧れの的である。この世界が無詠唱であることを願う。
そして次にあるパターンは、イメージするだけで魔法が使えるものだ。
今はこれの可能性を視野に入れて行動している。
これは何せ転生した私にとってはメリットしかない。イメージが魔法を生み出すのなら、人並み以上には勉強してきた私だ。数学は役に立たないにしろ、元素の反応や生成など、化学的な内容ももちろん最低限度は頭に入っている。酸素が燃えたりすることをイメージすると魔法の威力が上がるのは定番である。
私はひたすら水、魔法、水、魔法、水、魔法、とイメージを膨らませ続けた。
ぐぬぬぬっ!!水!魔法!水!魔法!!!H2O!!!水素2つに酸素1つ!!!共有結合!!!!ふんっーーー!!!
───チャポンッ
「!?」
ついにきたか!水魔法!!!!!
そうして私は地面を見てみる。
「やった!水じゃん!!さっきまでなかったよね!!」
そう、なんとこの世界は無詠唱、しかもイメージで魔法が使えるらしい。
もちろん細かいことはまだわからないけど、魔導書などで勉強する必要もなければ、厨二病くさい台詞を唱える必要もない。
今のところそれだけで十分な発見だ。
お前が厨二病言うな!と言われるかもしれないが、周りに見られているところで詠唱するのと、異世界転生していることを願って1人で起床するのとではワケが違う。
さてそうなると、次に魔力を感じてみたい。
そもそも魔力という概念があるのかもわからないが、あると仮定しよう。
これも大まかに2つのパターンがある。
まず1つ目は、自らが魔力を持っているというパターン。これは、自分の魔力を自分で操る。
だから魔法の強さが自分の魔力量にも左右されるはずだ。
そして2つ目は、空気中に魔力が存在しているパターン。これは空気中の魔力をコントロール必要がある。
もちろん体内に魔力があるパターンもコントロールは必要だが、これはいかんせん自分のものではない。前者よりも扱いが難しくなるだろう。
そして私は魔力を……
感じる。
感じる?
えっ? まりょく、かんじるっ、、!!
えっ!!!
こんなにあっさり感じていいの?魔力、、! しゅごい!!!
まるで極寒の中1時間以上外で並び、店内に入るや否や麺釜から伝わる熱気に寸胴からあがる湯気、店内の熱気に揉まれて焦らされながら、いざラーメンを目の前にし熱々のスープを飲んだ時に体に染み渡るようなアレ!!!!
あの感覚だっ…!!
スープが体に染み渡ってる感覚と同じだっ…!!
20分間、私はスープ、もとい魔力を体に染み渡らせた。
「ふぅ…」
よし、もういい。魔力は十分味わった。
となると…
次に私は今感じた魔力を手先に集めるように、先ほどと同じ水魔法をイメージした。
今度は水の外見をイメージする。コップに入ってるような水だ。
すると、手のひらに200cc程度の水の球が出来上がった。
「うお! すごっ!!」
さっきまではちょっとした水しか出てこなかったのに…
もしかして、魔力を感じたことによってイメージが多少劣っていても、より強い魔法を使えるってことなのかな。
とりあえず今はそう仮定しておこう。
魔力の謎や、この世界の仕組みについてはもちろん後々わかってきます。現時点で70話分ぐらいまで完成しているんですけど、あまり複雑で細かな設定はするつもりはありません。個人的にあまり細かいのは忘れてしまうので….w
話に盛り上がりをつけたり、わかりやすくするために多少は設定してあります……。お許しを……。