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244 またしても旅路へと


「馬で8日!?」

「せや」

「じゃあテアなら3時間じゃん」

「ほう? 妾も久し振りで腕が鳴るのう」

「それは無しやと言うたやん」

「えーっ…」


 ここ王都から、ドワーフの国であるワルフ王国までは馬で8日もかかるらしい。

 現代っ子の私からすれば、さすがにテアに乗って行かないとやっていけない距離だ。


「帰りは許したるから、行きはせめてな」


 許したる、というのは恐らく転移のことだろう。

 私が今からワルフ王国に行くことは、身内しか知らないからね。


 ちなみに、学院が始まるまでは残り2週間を切っているという感じだ。

 普通に旅をしていては始業に間に合わない。


「お相手さんが馬を出してくれてはるから…」

「ま、まぁそれはそうなんだけどさ…」


 いきなりだけど、私たちの市民カードに登録されている魔力の情報などは、国同士を超えて世界中で閲覧することが可能だ。


 あの便利な水晶ね。


 しかし、その国にしか示されない隠された情報というのもある。

 例えば私の情報は、この国だけでしか全てを知ることはできない。

 他の国から見れば、ただの学院の生徒という扱いだ。


 少し話がずれたけど、その水晶は、ちょっとしたメッセージの交換とかもできるらしい。

 よほど距離が離れていない限り、普通は使わないらしいが、今回はいきなりお邪魔するのもあれだし、片道8日かけて手紙を送って、その返事をまた片道8日かけて待っていては、時間があまりにも無駄すぎるということで、国王に頼んでワルフ王国の人にメッセージを送ってもらった。


 その返事として、こちらで馬を手配するので是非とも使ってくれ、とのことらしい。


 これまた8日かかるのでは? と思ったけど、どういうわけか2日で到着したらしい。

 早馬で来て馬車を手配して、みたいなことを言っていた。


「えっ? てことは私たちも早馬で行けば」

「そんなんお馬さんが可哀想やろ?」

「ぐっ…」


 それはそう。

 なんかめちゃくちゃ大変なことが起こって、早馬で来て、帰りにその馬が倒れてしまった、みたいなのはよくある展開だ。


「わ、私はまぁもういいけどさ…」

「ふふふ〜っ。リンちゃんと8日間も添い寝できるなんてな」

「それならこの間もしてあげたじゃん」


 前に、フィリアが夜中に徘徊してきたことがあった。

 ここ警備大丈夫かよと思ったけど、実質警備のトップみたいな人だから、そのトップが狂っていれば、もはや誰も止めることはできない。


 恐ろしい世の中だよ。


 まぁ、フィリアもいうて美少女だ。

 エルフでは少し珍しい、若干ウルフカットのような髪型に、緑色の眼、そして凛とした顔立ち。

 鎖骨もくっきりしていて、胸は………平均だ。

 くびれもすらっとしていて、いつもヘソ出しファッションをしている。

 この方が動きやすいとか言っていた。

 ちなみに、身長は私と同じくらいだ。


 私が男なら、間違いなく惚れていたであろうビジュアルだ。


 だからなのか、無理やりベッドに入り込まれても、嫌な感じは全くなかった。


 けど、そんなの認めたくない。

 なんか悔しい。


「1回だけやん! それが今回は7回!!」


 おっ? 植木算をわかっていらっしゃる。


 8日目で着くなら、寝る回数は7回だね。


 って、感心している場合じゃない。


「テアが怒るよ」

「テアちゃんはいつもリンちゃんと一緒なんやから、たまにはいいやん…」

「だってさ」

「仕方ない。今回だけじゃぞ」


 いや許すのかよ!

 ついこの間まで離れ離れだったじゃん!

 寂しいんじゃないのっ!?


「じゃあ1時間後出発やなっ!」

「いやもう出発すればいいじゃん」


 だってあなた、めちゃくちゃ準備万端よ。

 手には少し大きめのカバン、明らかに外行き用のラフな服装、ちょっとした変装の帽子まで被ってる。


 それに、ちょっとずつ歩みを進めてる。


「いや、リンちゃんに準備が必要かなって」

「誰が歩きながらそんなこと聞いてくるんだよ。私はいつでもどこでもバッチリだけど、むしろ馬車の人は大丈夫なの?」

「もちろん、準備が終わってへんのなら待つけど、もし終わってるならお互いのためにもなるべく早く出発するに越したことはあれへんからな」


 そんなことを話しながら、王都にある1番大きな門の前へと歩みを進める。


 フィリアはもちろん顔バレしているため、逆にフィリアではなく横に並んで歩いている私へと、自然と注目が集まる。


「ねぇ、あれリン様じゃない?」「えっ…! あんなに可愛かったの…!?」「さすがに違うんじゃない?」「ひと目だけでも見ることができた」「もっと凶暴な見た目だと思っていたぜ…」「可愛い……」


 なんて声が聞こえてくる。


 フィリアは慣れているだろうけど、私はあまりこういうのには慣れていない。

 ちょっと恥ずかしくなってくるよ。


「にしてもリンちゃんは人気者で羨ましいなぁ」

「べ、べつに…珍しいもの見たさでしょ…」


 私が人気者かどうかは置いといて、まだ国民のために特別素晴らしいことをしたわけじゃない。

 その点ではフィリアの方が間違いなく貢献度が大きいはずだ。


「ウチの美貌をもってしても、リンちゃんには敵わんってことや」


 自分で言うのも何だけど、私とフィリアが並んでたら、間違いなくフィリアを選ぶ自信があるね。


というわけで、初めて国を跨ぐ時がやってまいりました。

何事もなければいいのです…が………

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