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■第1章 鍵


■第1章 鍵

「根拠なんてなくていい。自信があればなんとかなる」

それが父の口癖だった。だが、そんなことはない、根拠のない自信などなんの意味もない。


俺は24歳になって社会人として働き始めたが、これまでの人生で特筆するようなことはなく、

流されるままただ生きていた。


退屈な日々だが、何かに挑戦しようと考えても、少し考えれば現実的に難しいことが明らかだ。

努力しても無駄になるだけなら、結局何もしないほうがいい。


卑屈になっているわけじゃない。

別に他の多くの人もそのようなものだろう。下手に自信を持って恥をかくのはごめんだ。


「ただいま。」

「おかえり、今日は早いな。よかったら物置の掃除をしてくれないか」

父だ。社会人でもまだ実家暮らしをしているからか、何かと家事を押し付けてくる。


「いいよ。どうせ大したやることもないし。」

「助かるよ。蜘蛛が住み着いて困ってたんだ」


鞄を置き、俺はしぶしぶ物置へ向かった。歩いていると床が軋む音がする。はやく一人暮らしがしたい。

物置に入ると、確かに蜘蛛がいるらしい、所々に蜘蛛の巣が張り巡らされている。

何かを動かせは埃が舞い、とても一日では掃除しきれない案件だ。


「割に合わないことを引き受けてしまった。。」

俺は愚痴をいいながら、一つ一つ辺りに散らばっている物を片付け始めた。


望遠鏡、地球儀、これは世界地図か?ずいぶん古くて字がかすれている。ボロボロだ。

物置にはどこで買ってきたのか分からない物ばかりが集められていた。


父は冒険が大好きで、若い頃、世界を旅していてた。

とくに細かい予定をたてずに行くのがいいらしい。

そんな無謀なことして、事件にでも巻き込まれたらどうするのか尋ねると

「根拠なんてなくていい。自信があればなんとかなる」だそうだ。


一応各国のお土産を置いてあるみたいだが、お土産というよりはガラクタが散らかっている。

ふと、部屋の隅に本が落ちていることに気づき、拾うと中から鍵が落ちた。


ゴーーーン。

重い金属が落下したときの鈍く不気味な音が、ボロボロの物置に響き渡る。

本の中をみると凹みがあり、鍵がちょうど入れられるようになっていた。


「・・なんだ?・・これ?」

上手く言葉にできないが、他のガラクタとは何か違う、異質のものを感じた。


その本にはこう記されている「これは英雄の物語である。突然現れた英雄が国を救った。」

「英雄物語・・・」とても古い本と鍵だが、その本自体はしっかりした作りをしていた。


(この鍵はだいぶ錆びているけど価値がありそうだな。素材は純銀か?)


「これでも売って、父のように何も考えず、いろんなところに行けたらな・・・」

天井のライトに鍵を照らそうと掲げた瞬間ーーー。


キィーーーーン、

轟音とともに掲げた鍵先が空間に歪みをつくっている。


「え、、なんだ、これ、、頭が痛い。。」

稲妻のようなものが見えたと思ったら酷い頭痛がした。

まるで頭を後ろから誰かに何度も何度も殴られているような。


とても耐えきれず、俺は意識を失ってしまった。



***



「ここは・・・」

あれからどれくらい経っただろう。痛みがひいて目を開けるとそこは辺り一面何もない草原だった。


(夢にしてはリアルな感じがするけど、まさか天国じゃないよな)


「こんなところで何してる?異国の人間かな?」

突然、後ろから声をかけられた。

びっくりして振り返ると、同い年くらいの短髪で礼儀正しそうな青年が立っていた。


「あ、すみません。えーっと、変な質問していいですか。ここって天国でしょうか?」

「はははっ、記憶喪失の振りをしてもだめだよ。こんなところで何ももたずに変な格好をしているし、

一度警護所にきてもらうよ。」


(警護所?とりあえず天国ではなく、夢ということがわかった。

変な本を読んだせいでこんな夢をみているのか、、

まぁ夢ならば、覚めるまでの退屈しのぎとして遊んでいくか)


「分かりました。警護所でも何でも連れてってください。

信じてもらえないかもしれないですけどね、俺はこの国を救いにきた英雄なんですよ!」



読んでくださり有り難うございます。初投稿で、拙い部分もありますが、お気軽にコメントやブックマークして頂けると幸いです。SXY

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