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萩原優さん編

作品名:「イリッシュ大戦車戦~王立空軍物語外伝~」

作者様名:萩原優 さん 

作品URL:http://ncode.syosetu.com/n9026gb/1/


プロローグ「破局」より



~スーダラ文体~


“もうっ。そこまで恩を感じてないとか! ありえなくない!? いつまでもそんなんだったらワタシの骨は持たせてあげられないんだからねっ!? 勘違いしないでよねっ! ”

(スキピオ・アフリカヌスが墓石に刻ませた言葉)


――ときに降臨暦942年

――9月12日


「あっひゃらびゃっひぇっひゃふはーーん!!?」


あまりのことに“あーし”は思わず自分自身「もう一回、いまのやって」と懇願されてもまぁ再現不可能な叫び声をあげていた。あ、あーしってのはあーしのことね? ちょっとお上品に言うと「私」ね。え? 名前? それはまぁ、いまはいいじゃん。それよりコレよ。


ナニコレ?

ドユコト?

あ、あーしの目の前で何が起こってんの? ヤバイ。ウケル。マジ、パニクル。ケラケラ。いや、がぜん笑うとこじゃないのは理解してんだけど、どうにもウケちゃう。


すっごぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい「カッタイ」のが!!

「鉄」が来てるっ!!

鉄が、鉄が攻めて来てるぅううううううううううううううううううううん!!


も、ホント来る、来る、来る!!

グイグイ来るっ!!

狂ったように来る!!

あああああ!!


鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄。


とにかく続いて鉄、鉄、鉄。もひとつオマケに鉄、鉄、鉄。

あ? たまになぜかアルミ?


でもって、もっかい鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄、鉄・・・・・・って言ってたら、またなぜかアルミィイイイ!!? 統一しよろぉおおおおお!!


とにかく鉄がゲシュタルト崩壊起こしそうな勢い。

うん、ごめん。

ゲシュタルト崩壊とか賢そうなこと言っちゃったけど、ぶっちゃけ意味わかってないわ。なんかみんなが言ってたからいつか自分も言ってみたかったつーか、今がその時だったつーか「今でしょ! 」って、あーしの中のなんかタラコ唇した国語を教えるのが上手そうなドヤ顔の人が急かすもんだからさ。へへっ。まぁ、やむを得ず?


いやしかし、もーホントなに? なんなの!? 聴いてないんだけどっ!? 今日はなんの日!? 気になる日? なにが多い日? いや鉄が多い日。 なんなのこれ? アイアン・カーニバル!? どこ地方に伝わる奇祭なのよそれは!?


「バッファファーイにゅーん!! バッファファーイにゅーん!! 」


とか掛け声も高らかに「鉄」への感謝を謳いあげる祭なのかそれは?

っていうか、バッファファーイにゅーん!! ってなに?


と、とにかく圧倒的な鉄の行進。鉄見本市。鉄コミケ。まさに戦場。押し止められない鉄の津波。

なに? なんで? なんで? なんでぇええ!?

え? ええ? えええええ? まさか1ヶ月の停戦……破られちゃったのぉ!?

それでこの「戦車」がドドドドドって押し寄せてきたってわけなのぉ~!?


あ。ごめんね。

いまさらだけど、あーしの言ってる「たまにアルミ」ってのは「戦車」のことね。

けへっ。


しかししかししかし。

あいっっったぁ~!! それ、あーし聴いてなかったわ~~!! 戦車来るとかさぁ~~。心構え的にかなりあいっっったたたたぁ~~ですわ~~。


おうふおふおふっ!!

こっわ!!

戦車、マジゴツイ。マジキッツイ。

向こうの方でお仲間の人たちボンボラボンバラって感じでミンチにされてない?

キッツイわ~~。

色んなん意味でお近づきになりたくないけどグイグイ近付いてくるわ~~。

心の距離も身体の距離もこんなに好き勝手詰め寄られるのって高2の夏以来だわ~~。


あっ!? あああっ!? おナスがっ!? おマメがががががががっ!!


あーーあーーあーー……農家のオッチャン、オバチャンたちが毎日丹精込めてキレーにしてた畑と野菜が潰されてく……。戦車が「キャタピラキャタピラ」いいながら踏み潰していってる。ちょっとこれ、トンデモナイ罰当たりだよっ!! 「アンタはまた食べ物を粗末にして~~! 」 ってマンマに叱られるレベルじゃないよ。野菜の神様に弓引く行為よ。邪知暴虐よ。メロスも走るよ。おい、マメに謝れっ!! ナスにも謝れっ!! アンタん家の嫁が秋ナスを食べられる日はこの先一生ないんだからねっ!!


「ハフーン……」


あ、ため息出たわ。ま、そりゃ出るよね、ため息くらいは。なんなら積極的に出していってもいいくらいのシチュエーションだよね? ハフーンホフーンつってさ。


あ、いい忘れてたけど、あーし、砲兵なのよね。大公派っての? うん。あの大砲でボガーン!! ってやる兵隊さんね。え? うん、そう。女だけど兵隊なの。女だてらに砲兵なの。「だてら」ってなんだろね? ああ、うん。なんで砲兵かっつうとね。なんつうの? 志願兵? そそ。「祖国のためにーっ」とか言ってて本音は軍隊入ったらご飯を食いっぱぐれることないかなぁ~って思って。うん。我ながら浅はかだったとは思ってる。え? あ? あんだって? あぁ、いやいや、うんうん。ごめんごめん。聴いてるのよ。でも耳がさ。こっち片方ね。常にキーンッてなってるの。仕方ないのよ。砲兵だからね。え? うん。ここにね、隠れてんのね。あのイカツイ鉄の戦車をさ、こっちの大砲でボガーンってやるために。


うっひゃぁああああっ……しっかしまぁ……ホント多いよねぇ。ちょっと今日多過ぎじゃない? ホント多い日じゃない? なに? 帝国派の奴ら、まーた補充とかあったわけ? いいな! おい! こっちはいつでもいっぱいいっぱいなのにアッチにはヨユーあってさ。


(あ、はい! イエッサ!! )


うん。命令きた。上官から。目配せで命令された。うんなんかちょっとエロイ感じするよね。うん。もちろん、こっちも上目遣いで返しといた。


おい……しょっと!!


こちらももう手慣れたものでござあますわよ。これね、砲弾。薬室ってのに押し込むわけ。ここまででが、あーしの仕事。あとは射つ人がね、狙ってボガーンってやるからさ。あ、耳塞いどかないとヤバイよ? マジヤラレるよ? うん。あーしも最初の方にボケーッとしててさ。で、こっち、左耳、常にキーンってなってるから。


3……2……1……!!

ボガーン!! ボガーン!! ボガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!


あっっははははははははははははははははははははははははっ!! うるっせぇえええええええええええええええええ!! 何回やってもこの大砲射つタイミングだけはマジでウケるわぁあああああああああ!! あっっっははははははははははははははははははははははははっ!!



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