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Nice men~自分で作ろう理想の男~クーリングオフってできますか?

作者: ぬるまゆ

思い立って4時間くらいで書いたものです。

書いた後に、なろうではアウトかな?と思い編集しました。編集前はムーンにあります。

気になる方はそちらもどうぞ。

遥か昔テレビと言う名前の機械にゲーム機械を繋ぎ遊んでいた時とは違いゲームの中にリアリティーをと進化していった。


2xxx年、現在。家に組み込まれた設備により、わざわざ電化製品を買うこともなく設定した家のAIに名前で話しかけるだけで全ての電化製品を可動することが出来、画面もホログラムとして写し出される様になった。頭の中で思い浮かべるだけで目の前の写し出されたゲームを操作することも出来るし実際に体を動かしたい人向けには部屋の一室をゲーム世界にし、実際に冒険してるかの様にできる。

そして、ゲーム会社に努めている私は新しいゲームの試作を持ち帰宅した。


「ハイ、ジュリー。ただいま。」


「オカエリナサイマセ、アヤカ。」


名前の前に〝ハイ〟と言うことで反応する私の家ジュリーは返事をしてくれ、すぐに快適な温度に部屋を保ってくれた。


私は上着を脱ぎ、ハンガーにかけながら持ち帰った試作品をゲーム部屋に置き洗面所に向かった。


「ハイ、ジュリー。お風呂の準備をお願い。」


「本日ハ寒クナッテオリマスノデ、43℃ニ設定シマスガ、ヨロシイデショウカ?」


「それでいいわ。」


「カシコマリマシタ。」


洗面所で軽く顔を洗い化粧を落としながら寝間着や替えの下着を準備しお風呂へ入った。いつもより少し熱めの湯船に入り冷えた体を温めながら今日持ち帰った試作品の事を思い出していた。

――――――――――――――――――


上司である霧島から新しく作られたゲームだと渡された今日の昼休み。


「真島さん、これ私が作った新しいゲームなんだけど試しにしてみてくれないかしら。」


「えっ?私がですか?」


「そうよ。やっぱり自分以外の人の感想も聞きたいし。これが会社に認められれば本社のニューヨークへの異動が叶うから…口が硬くて信頼している貴方にしか頼めないのよ。」


「はぁ…」


「このゲームが認められれば、きちんと貴方もメンバーとして名前を載せるから…お願いよ!!」


急な話しについていけず気の抜けた返事を返すと何を勘違いしたのか焦りだし功績の一部をくれると言い始めた。この話しに私は食いついた。ゲームが大好きで、この会社に入って一年経ったが入社してから今まで雑用ばかりでゲーム会社なのにゲームのゲの字もかすることのない日々。功績を認められれば少しはゲームの本格的な仕事に触れることができるのではないのかと言う下心で二つ返事で了承した。


「わかりました!他ならぬ霧島主任の頼みです。任せて下さい!それで、どんなゲームなんですか?」


「これよ!」


勢いよく出されたのは30センチ程の箱に入った卵だった。


「この箱のパネルに自分の好きな性格、体格、髪色や顔のパーツを入力して起動するの。起動して一時間くらいで入力した内容が卵に送られ卵から赤ちゃんが産まれるわ。1日につき1歳成長していって20歳で成長が止まることになるんだけど毎日登録者がキスしないと停止してしまうから、20日間は毎日キスして成長させてね。


疑似恋愛をリアルにをコンセプトに作ったものだから新しいゲームになるんだけど、これが成功すれば一儲けよ!!」


「えぇっ!!恋愛ゲームだったんですか…。」


現実でもゲームでも私は異性に興味なく、専らゲームと言えば格闘ゲームや冒険、音ゲーなどだった私はどんなゲームなのかワクワクしていたが恋愛をコンセプトとして作られたと聞いてテンションが下がり、やる気がなくなったが一度引き受けたから断ることができなかった。


疑問に思った私は聞いてみた。


「なんで数あるゲームの中で恋愛を選んだんですか?」


「そっ、それはね。ほら、貴方もこの会社に勤めているからわかるでしょ?」


「はぁ…?」


全然、全く、これっぽっちも分からなかった。


「まぁ、そうゆう事で一ヶ月後にまた話を聞きにくるから宜しくね!」


私の手に箱入り卵を渡し、そそくさと去って行った霧島主任の背中を見送りながら私は手の中にある卵を呆然と見つめた。


――――――――――――――――――――――


お風呂から出た私は昼に渡されたゲームと言う名の卵を前にジーーーーっと見つめていた。


「よしっ!やらなきゃいけないなら早く始めて終わらせちゃおう!」


ピッ、ピピピピ


箱に付いているパネルに触れて起動させればヴァンっと音がし文字が浮かび上がった。


「ん~、何々?あなたの名前を登録して下さい?

アヤカっと…あなたの年齢は?21歳っと。」


名前や身長、体重など細かな情報を入力し終わると次は卵の名前や理想の身長、体格など入力するように出てきた。


「えっと、名前はカオル。身長は私より10センチ高くすればいいか、175センチっと。体格は細身のガリガリか普通か筋肉質かぽっちゃりかで選べるのか。…筋肉質っと。髪や眉毛の形、目の大きさ、鼻や口の形まで選べるの?めんどくさいなぁ~、適当でいいや。あとは性格か…ん~、グイグイ系は苦手だから和み系?おっとりした感じにしとくか。

…よし!登録!」


ピピッ、ウィーン、ウィーン


機械の可動音がなり一息ついた私はリビングに行きジュリーにテレビをつけてもらいテレビを見ながらコーヒーを飲んだ。ボーっとテレビを見ていると遠くてウィーン、ガチャンと音がし次いでオギャア!オギャア!と声がし急いでゲーム部屋に向かった。


向かった先に居たのは赤ちゃんだった。赤ちゃんの周りには卵の割れた殻や卵が入っていたであろう割れた箱が散乱していた。見るからに、この赤ちゃんが卵から産まれたであろうと思われるが余りにリアルな赤ちゃんに思考が飛び、ただ見つめるだけだったがハッとし急いで取り扱い説明書を読んだ。


「何々?産まれたばかりの赤ちゃんは不安で泣きます。まずキスをして貴方の情報を赤ちゃんに登録しましょう。その後は付属のミルクを飲ませましょう?」


説明書を読んでいる間も泣き叫んでいた赤ちゃんに目を写し恐る恐る抱き上げチュッとキスをした。するとピタリと泣き止み私の腕のかなで可愛らしい大きな目で見詰めてきた。泣き止んだ赤ちゃんに安堵し貰ってきた袋をガサガサ漁ると哺乳瓶が見付かり、それを手に口元に持って行くと「あ~、ぶ~」と言いながら哺乳瓶を口にしチュッ、チュッと音を鳴らしながら飲んでいるようだった。実際には、ただの哺乳瓶に似せた機械であると理解していても本物の様に錯覚させた。


その後、赤ちゃんことカオルに着せる服がないことに気付き袋を漁ると赤ちゃん服が入っており安堵し、しっくはっくしながら着せる事ができた。


再度、説明書を見ると1日目~3日目まではキスと哺乳瓶のみで他の指示はなく放置していて良いと書いてあるが、あまりのリアルな赤ちゃんで本当に放置していてよいものか悩みに悩んだ末、私は自分のベッドに連れて行き一緒に眠ることにした。


二日目、起きてみると昨日より大きくなったカオルがいた。


「カオル、おはよう。」


チュッ


挨拶と共にキスをすると目を開けるカオルがいた。「あ~」と返事をするように声を出しながら手を伸ばすカオルが可愛かった。


私が朝食を食べるとき哺乳瓶をカオルに持たせるとカオルは哺乳瓶を口に咥えチュッ、チュッと音を鳴らして飲んでいた。


出勤の準備を終え、いざ家を出るときカオルが涙目で見上げてくる為、心が傷んだ。そして一人っきりにして大丈夫なのか心配になった私はジュリーの防犯機能カメラとスマホを繋ぎカオルの様子がスマホに写し出される様にし後ろ髪を引かれながら出社した。


私が居ない時は全く微動だにしないカオルが心配で急いで帰宅した。帰宅した私を写し出したカオルは満面の笑顔で「あ~」と言い手を伸ばしてきた。


どうも寝ると一時フリーズしてキスが起動になっているみたい。私が居ない時のカオルが可哀想なので3日目からは帰宅してからキスをするようにした。






10日目。カオルも大きくなり130センチくらいになった。髪の毛も産まれた頃はチュルンチュルンしてたのに今はサラサラ艶々の黒髪に細目の眉毛にパッチリ目、頬っぺたはまだプニプニしていて可愛い鼻がチョンとあり桜色の唇がプルプル美味しそうにしていた。このショタショタした可愛さの子どもに今日もキスしなきゃならないのかと思うと犯罪じゃないかと罪悪感が半端ない。


「アヤちゃん、僕もアヤちゃんの料理手伝うよ。」


「カオ君ありがとー。」


くっ!めっちゃ良い子だよ!可愛すぎる!!



13日目。

ハードすぎた仕事に疲れ寝ているカオルの横に着替えもせずダイブし〝今日の分のキスしなきゃ〟と思うも、思いとは裏腹に夢の世界に旅立ってしまった。


「んっ、んんっ」


チュッ、チュッとリップ音と唇に柔らかい物が当てられることで微睡みながら薄目をあけるとカオルの顔があった。


〝あぁ、今日の分のキスか〟


カオルが私にキスをしてると気付き安心して目を閉じ、また夢の中へ旅立った。


「疲れてるのに無理してアヤちゃんからキスしなくても僕からするから大丈夫だよ。今度からも僕からしてあげるね。」


「うん。ありがとう。…お願いね。」


微睡みの中、無意識にカオルにお願いしていた。

それから、カオルは疲れて微睡んでいるアヤカに毎日キスをした。


18日目。

あんなに可愛かったカオルが、いつの間にか眉毛は太めの山形のキリッとした眉毛になり、瞳もパッチリしていたのがつり目ぎみの奥二重に。鼻も鼻筋がハッキリとした高めの鼻に、唇は艶々して妖艶さを醸し出している。髪型も前髪は目にかかるほど長く後ろは逆に襟足が見えるほど短いが無造作ヘアで格好よく決まっている。


体にもうっすらと筋肉が付き始めていて可愛い、可愛いと撫で回していた数日前だが今は格好よくなって急な成長についていけずドギマギする。


「んんっ、んっ、チュッ」


息苦しさに目を開けるとカオルの漆黒の瞳が映り次いで唇に柔らかいものが押し付けられていると気付いた。


「んっ、ふ、ふっ…んっ」


カオルにキスされていると頭に入ると同時に苦しさに肩を叩くとカオルは離れていった。体が酸素を求め大きく息を吸い落ち着いてくるとカオルを睨み付けた。


「カオル!」


「アヤちゃん、なんで怒ってるの?僕、毎日キスしなきゃ成長できないし、登録情報を更新できないんだよ?それにアヤちゃんは僕からキスしていいって言ってたのに…。」


「そっ、そうだけど…。やっぱりカオルからは駄目!!」


「じゃあ、登録情報の更新はどうするの?」


コテンっと首をかしげ不思議そうな顔をし私の顔を覗きこむカオルに私は自分からキスするからカオルからキスするのは無しにしてもらった。


19日目。


「んっ、ふあっ!んんっ!」


顔を真っ赤にしているであろう私は座っているカオルに覆い被さりキスをしていた。


端から見ると私が襲っているかの様に見えるだろが私には全く余裕がなく体を支える為にカオルの膝に置いている腕はブルブル震え足もいつ崩れてしまうのかと思う程力が入らなかった。


キスしているのは私だと言うのにカオルは私の頭を抱き寄せキスを要求してきた。何度もキスを要求し私を翻弄されていた。


とうとう、私の腕に力が入らなくなり崩れた上半身を抱き止めながらキスは続行され私の唇が熱を持ち始めるまで続いた。


朦朧とした思考がクリアになり羞恥で真っ赤になりながら頭の中はめちゃくちゃだった。


「アヤちゃん、大丈夫?」


ビクリッと体が跳ね恐る恐る顔をあげると私の唾液で濡れたカオルの唇と、唾液を舐めとる真っ赤な舌が見え更に顔を赤くさせた。


「もっ、もう終わり!カオルも今日で19日目だし、今日でキスは終わり!」


羞恥となんだかよく分からない感情で訳もわからず、もうキスは続けられないと思い言い放った。


「アヤちゃん…。」


悲しそうな顔をし私を見詰めてくるカオルに罪悪感を覚えるが私にも譲れなかった。


この時カオルの瞳の奥に獰猛に光る感情を宿していたのを私は見逃していた。


20日目。

「んーーー!」


私は今ベッドの上で両手をカオルの右手で纏められ頭上で押さえられている。そしてカオルが私に唇をつけキスしていた。私はキスを拒否し必死に首を降った。


唇が離れ聞き分けがない子どもに向けるような眼差しでカオルは私を見つめた。


「アヤカほら、口を開けなよ。」


私は激しく首を横に振り抗議した。


「ちょっ、ちょっとカオル!あなた何をしているのか分かっているの!?」


機械は人に危害を加えない様にプログラムされている為、こんな暴挙にでれるはずはないのに…私はパニックになっていた。


「ん?大好きなアヤカにキスだよ。」


ペロッと唇を舐めながら白々しく答えたカオルに私はカッとなり嬉しさや恥ずかしさやらが、ごちゃ混ぜになりながら反論した。


「ちっ、違う!私が言ってるのは私の手を掴んでる事と無理矢理キスしようとしてっむぐっ!んんっ!」


「ふふっ、蕩けた顔してる。か~わいい。」


勝手に涙が出て来て目が潤んでき、キスの気持ちよさに頭がボーッとしていると顎を捕まれた。


「ほら、口開けて…そう、上手だね。」


頭が働かない私は言われるがまま口を開けカオルの唇を迎い入れた。


―――――――――――――――――――――


次の日、朝起きると化粧も適当にし朝御飯も食べずに会社に向かった。まだか、まだかと待ち人を待つこと1時間。やっと出社してきた主任を目にした瞬間、私はダッシュで主任の元へ行き「話があるんですが」と返事も聞かずに手を掴み空き部屋に向かった。


「主任!クーリングオフ!クーリングオフお願いします!」


必死の形相の私を見て察したのか「あちゃ~」と言って苦笑いしていた。


「なんて言うか…ごめんね?」


「いや、もう何でもいいですから返品を!クーリングオフお願いします!」


「いやぁ~、もう8日過ぎてるからクーリングオフはできないかなぁ?…頑張れ。じゃ、そゆことで~!」


「主任~~~~~~!!!!!!」

主任「作ってすぐ私も試したんだけど、勘が働いて産まれる前に消去したんだよね。アヤカの卵がどんな風に育ったのか興味あるが、あの青ざめた顔を見れば失敗作だったみたいだな。まっ、キスさえ止めれば起動しなくなるし大丈夫だろ。」


カオル「ふふっ、せっかくアヤカの好みの性格を演じてたのにアヤカがキスを拒むから俺も実力行使するしかなくなったよ。まぁ、意外とアヤカも嫌がってなかったし、このまま押していこうかな?」


アヤカ「なっ、なんで。嫌なはずなのに…」

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