93話 天才と天災
『誰一人犠牲になることなく、遊戯革命党の計画を阻止する。だって、そっちの方がいいからね』
『ああ、そうだな。俺たちプレイヤーも、誰一人欠けずに勝つぞ、明智』
遊戯革命党との決戦前、レキトは明智と2人で交わした言葉を思い出す。
全世界のNPCの虐殺を阻止するため、迎撃態勢の整った敵アジトに乗り込み、50人規模のギルドを圧倒するプレイヤーたちを打ち倒し、NPCの隊員を含めた全員が無事に生還する──。
それがとんでもなく高い理想だということは、自分でも十分にわかっていた。
けれども、たとえ0.01%以下の可能性しかなくても、無理難題を成し遂げるのがゲーマーだ。
わずかな希望を手繰り寄せれば、絶望的な状況を覆せることは、何度も経験している。
全員で力を合わせれば、今回もきっとうまくいく──そう信じていた。
だが、遊戯革命党のアジトに突入してから5分後、レキトの隣でNPCの隊員が血を流して倒れていた。
糸の切れた操り人形のように動かず、驚いたように見開いた目は光を失っていた。
遊戯革命党が金で雇ったNPCを肉壁として利用して、敵に気づかれずに撃つ『壁抜きスナイプ』。
その犠牲者は一人だけではない。
駆け抜けたレーザー光線の射線上には、銀髪の女性アバターが目を閉じて倒れていた。
寄せた波が静かに引くように、シアン色の血が傷口へと戻り、撃たれた胸の風穴を塞いでいく。
協力プレイしていた杏珠も、すでにゲームオーバーになっていた。
「おい起きろよ、杏珠。《もしも光の絵の具があるとしたら》で見せたホログラムなんだろ? こんなときにゲームオーバーのふりなんてやめてくれ」
伊勢海は震えた声で呼びかけながら、動かない杏珠の肩を必死に揺さぶった。
泣きたい気持ちを押さえつけるように、引き攣った笑みを浮かべていた。
けれども、杏珠は何も返事しない。
破損したプログラムが修復されるように、シアン色の血は逆流し続け、傷口が塞がっていく。
《もしも光の絵の具があるとしたら》は、使用プレイヤーがイメージしたものをリアルに投影するギア。
杏珠が撃たれた自分の姿を思い浮かべれば、胸に開いた風穴も、シアン色の血の海も実在しているように見せることができる。
レキトも伊勢海と同じように、ゲームオーバーになった杏珠の姿は、敵を欺くために作り上げたホログラムであってほしいと願わずにはいられない。
『このギアの欠点は、「静止画」しか投影できないこと。動きのあるホログラムは投影できないから注意して』
しかし、杏珠が作戦会議で語った説明が、目の前の光景がホログラムではないことを証明していた。
「いい感じに動揺してますね、リーダー! あいつら、まだ敵が目の前にいるのに、死んだ味方に気を取られてますよ。どうします? 予定通り、例のギアの合わせ技をやってもいいですけど、今ここで攻め込んでもいいですよ」
「うーん、そうだな。とりあえず夜太郎は防御系のギアで自分の身を守ってもらっていいかな?」
「へ? 防御? 割とチャンスなのに?」
「ああ、向こうには意表を突くのが上手い天才がいるからね。殺気を感じさせず、足音を消して、まさかのタイミングで仕掛けてくる。
──仲間がゲームオーバーになった直後なんて、彼女からしたら絶好の狙い目だよ」
暁星が振り返って対プレイヤー用ナイフを放った瞬間、金属の衝突音が弾けるように鳴り響く。
稲妻のように光る2本の刀身が鍔迫り合いし、銀色と紫色の火花が飛び散る中、七海は涙袋の際立つ目を細めた。
すかさず対ヒューテック用ブレイドを引き、弧を描くように駆け抜けた。
暁星と豆田が目で追ったが、七海は素早く切り返し、2人の視界の外に滑り込んだ。
そして、一気に間合いを詰めて、暁星たちの胴を薙ぎ払うように振るう──。
だが、暁星は振り返ることなく、銀色の光の刃で受け止めた。
「何度やっても無駄だよ。どれだけ速く動こうと、須原杏珠の支援のない君の奇襲は怖くない」
「うん、知ってる。でも、いいんだよ、これで。
──先輩の役目は、後輩においしいところをお膳立てしてあげるところだからね」
七海はウィンクして、挑発的な笑みを浮かべた。
稲妻のように光る2本の刀身はぶつかり合ったまま、紫色と銀色の火花が飛び散っていた。
鍔迫り合いで迸る閃光に照らされて、ナイフを持ったアバターの輪郭が一瞬だけ浮かび上がる。
《私は何者にもなれる》で透明化した綾瀬が空中で身を翻し、豆田に対プレイヤー用ナイフを振り下ろした。
「──勝ち鬨を吼えろ、《白夜の狼》!」
だが、遠くから狼の遠吠えが聞こえたとき、横から黒い影が駆け抜けて、綾瀬は壁に叩きつけられた。
人間離れの速さで蹴り飛ばしたのは、遊戯革命党に金で雇われたNPCの中にいた「目出し帽の男」。
瞳孔まで真っ赤な目は、猛獣のような野性味に満ちている。
暁星と豆田が姿を見せた後も、プレイヤーであることを隠して、伏兵としていざというときに備えていたらしい。
第三の敵プレイヤーが目出し帽を脱ぐと、銀髪をアップバングに整えたショートヘアが露わになった。
唇の端から鋭い牙が覗き、首には黒いレザーチョーカーが巻かれている。
《小さな番犬》の吠える声を耳にしなくても、この対戦相手が手強いことは本能で感じ取れた。
「紹介するよ。僕たちの新しい仲間、犬塚忠臣。素晴らしい才能を持ってて、うちにはもったいないプレイヤーだよ」
「ありがとうございます、暁星先輩! いや〜『もったいないプレイヤー』だなんて、その褒め言葉がもったいないですよ!」
「なに和気藹々やってんすか、2人とも。新メンバーの紹介より、敵の2人目にとどめを刺すのが先でしょ」
豆田はため息をつき、冷たい顔で対プレイヤー用レーザーを構えた。
壁に叩きつけられた衝撃で舞い上がる砂埃が、透明だった綾瀬の輪郭を鮮やかに浮かび上がらせていた。
「痛った〜」とうめく綾瀬の胸に、灰緑色の照準点が死の刻印のように灯る。
だが、豆田の放ったレーザー光線は、綾瀬から大きく逸れていった。
親指をホームボタンから離す──その撃つ瞬間に手元が狂ったのだ。
発射装置代わりのスマートフォンを構えた手の小指には、赤い糸がハートの形を描くように結ばれている。
No.331《切っても切れない赤い糸》。
「マップ画面で指定したアバター2体を赤い糸で結びつける」拘束系のギア。
相手が攻撃するタイミングで、結んだ糸を強く引っ張れば、相手の体勢を崩し、攻撃をズラすことができる。
明智は華奢な腕を曲げて、力こぶを作るようなポーズを取った。
「いいギアの使い方だね。とくに照準を合わし直されないように、仕掛けるタイミングが見事だ」
「感心してる場合じゃないですよ、リーダー。この赤い糸、かなり動きづらいですし、そろそろ例のギアの合わせ技を──」
「やらせませんよ。プレイヤー同士の戦いは、相手にギアを起動させないのが基本ですからね。
──せっかく仲間が動きを封じたのに、攻撃を畳み掛けないと思ってるんですか?」
レキトはスクエア型眼鏡を外して、片手で対プレイヤー用レーザーを構える。
目が異常に見えすぎるため、脳に高負荷がかかる病気、「視覚野過敏症候群」。
膨大な情報量に脳が耐えられなくなるまでの60秒間、レキトは超人的な視力を発揮できた。
味方のアントの隊員と遊戯革命党に金で雇われたNPCたちが入り混じる戦場で、全員の動きがスローモーションに見えるようになる。
誰も巻き添えにしない軌道を見極め、豆田の手首に狙いを定め、レキトは針の穴を通すようにレーザー光線を放った。
ライトグリーン色のレーザー光線は、交戦中のアントの隊員の脇の下、屈んだ頭上、背後の際どい位置をかすめるように通過した。
敵のNPCが振り下ろした釘バットを貫通し、粉々に破壊する。
豆田が手首を撃ち抜かれた瞬間、苦しそうに顔を歪めて、スマートフォンを手から落とした。
「おい、どこ狙ってんだ、ルーキー。頭か心臓を撃ち抜かなきゃ、プレイヤーは死なねえぞ。
燈さんの見立てどおり、やっぱりお前はプレイヤーキルできないんだな」
だが、豆田は片方の眉を上げ、ニヤリと口元を歪ませた。
つま先で床を鳴らすと、落下中のスマートフォンをかかとで蹴り上げ、肘で弾くように突き上げた。
続けざまに鮮やかにターンして、頭でスマートフォンを跳ねさせた。
反対の肩で受け止め、伸ばした腕の上を滑らかに転がし、開いた手のひらに収める。
「準備はできてますか、リーダー?」
「もちろん。いつでも起動してくれ」
「じゃあ、行きますよ!
──派手に散らせ、《誘爆する玉突き人事》!」
「第一の歯車、起動。
──豆田夜太郎に幸あれ、《隣人に祝福を》!」
豆田と暁星は立て続けにギアを起動した。
暁星のスマホ画面が眩い光を放つと、豆田の全身が輝き、星がキラキラと瞬くようなエフェクトが体の周りを舞った。
輝きをまとった豆田は拳を振り上げて、スマホ画面へ勢いよく叩きつける。
レキトは後ろを振り返って、外した眼鏡を顔にかけ直す。
次の瞬間、灰緑色の光が豆田のスマホ画面から広がり、敵も味方も関係なく、プレイヤーもNPCも区別なく──部屋にいる全員を一気に呑み込んだ。
『ケルベロ! ケルベロ! ケルケルケルベロ!!』
《小さな番犬》が激しく吠えて、赤色のスマートフォンが強く振動した。
部屋にいた全員のどよめきが聞こえなくなり、辺りを覆い尽くした灰緑色の光は消える。
レキトは両手でスマートフォンを構え、急いで周囲を見回した。
《誘爆する玉突き人事》の光に包まれている間、親指でホームボタンを長押ししていたので、端末上部のイヤホンジャックに電気が溜まっていた。
暁星が起動したギアの効果はわからないが、豆田のギアはディズニーランドでの戦いで体験している。
《誘爆する玉突き人事》は、周囲のアバター全員の位置をランダムに入れ替えるギア。
隣にいた味方と離されたり、敵の姿を見失ったり、乱戦の場で使われたくない力だった。
レキトは再戦したときに備えて、頭の中で対策を何度もシミュレーションしてきた。
──このギアの弱点は、使用者である豆田本人もどの位置に移動するのか予測できないこと。
──だから、入れ替わった直後に自分の位置を素早く把握し、移動先の把握がわずかに遅れた相手に先制攻撃を叩き込む。
灰緑色の光に包まれる前、レキトは部屋にいる全員の位置と向きを頭に入れ、最速で対プレイヤー用レーザーを放つ体勢を整えていた。
だが、《誘爆する玉突き人事》で入れ替わった場所は、頭に叩き込んだ誰の位置でもなかった。
綾瀬たちやアントの隊員、暁星と豆田、金で雇われたNPCたちも、周囲から消えていた。
人工タイルの床が敷かれたイベントルームのような空間は、駐車場跡のような冷たいコンクリートの床と壁に置き換わっている。
どうやら《誘爆する玉突き人事》の入れ替えは、レキトたちのいた部屋だけでなく、遊戯革命党のアジト全体にまで及んでいたらしい。
目の前に唯一立つのは、真っ黒なスーツ姿の男性アバター。
彫りの深い強面の顔は、首元の刺青の唐獅子すら凌ぐ威圧感を放っていた。
「てめえが遊津暦斗だな。いつでも撃てる状態で来るとは、俺の想像を超えてくるじゃねえか。
《誘爆する玉突き人事》で位置がシャッフルされた後、すぐに攻撃を放てるように、対プレイヤー用レーザーの電気を溜めながら入れ替わる。
見た目どおり、頭がキレそうなプレイヤーだな、あぁ⁉︎」
真っ黒なスーツ姿の男は睨みを利かせて、怒鳴るように吼えた。
殺気立った声なのに、言っていることはベタ褒めに近い。
伊勢海が話していた遊戯革命党のプレイヤーの一人、「若月凱央」で間違いないだろう。
現実世界で「警察官」としての実績を評価されて、『Fake Earth』に招待されたプレイヤー。
警察官がどれほどの実績を積めば、全人類の中でも特別な人間しか参加できないゲームの挑戦者として選ばれるのか?
本人は野暮だと嫌って、詳しくは語らなかったそうだった。
電気を溜めたイヤホンジャックの銃口を若月に向けたまま、レキトはホームボタンを長押しし続けた。
ライトグリーン色の照準点が胸に浮かんでも、若月は両手をポケットに突っ込んだまま、レキトをただ凄んでいるだけだ。
それなのに、その射抜くような眼差しに、レキトはこちらが銃口を突きつけられているような圧を感じる。
『いいか、若月凱央は遊戯革命党の中でも生粋の武闘派だ』
『真っ向勝負は必ず避けて、綾瀬良樹の暗殺で仕留めるか、明智彩花の《迷える羊の子守唄》で眠らせてくれ』
作戦会議での伊勢海の発言が、脳裏に蘇った。
「100人以上の位置をランダムに入れ替えた結果、遊戯革命党のプレイヤーと2人きりになる……か。
この偶然、暁星のギアで起こしたものか?」
「てめえ、頭キレすぎだろ。ご察しのとおり、リーダーが使った《隣人に祝福を》は、『指定したアバターを幸運にするギア』だ。こいつは運任せのギアと相性が良くてな。
てめらの仲間は全員バラけさせて、俺らとかち合うように入れ替えたんだ」
レキトは襟元に留めたマイクに指を当て、「各自、状況はどうなってる?」と問いかける。
せめて綾瀬にだけでも《私に何者にもなれる》で透明化し、敵との交戦を避けて、仲間の誰かと合流するように伝えたかった。
だが、両耳のワイヤレスインカムからは、何の応答もない。
……遊戯革命党の誰かのギアによって、通信が遮断されているようだった。
「なるほど。全員がバラけるように仕向けられたなら、相性の悪いプレイヤーをぶつけられたと考えた方がいいか」
「相性が悪いのはプレイヤーだけじゃねえぞ。戦う場所も選ばれてる。てめえが地形や周りの物を利用できないように、この殺風景な空間に送られたようにな」
「万全な対策をしてるってことか。となると、みんなの苦戦は間違いなさそうだな。
──じゃあ、お前を早く倒して、援護に向かわせてもらうよ」
────幻惑射撃戦術『THORN』。
レキトは親指でホームボタンを長押ししたまま、反対の手でスクエア型眼鏡の縁に触れる。
電気が溢れたイヤホンジャックには、ライトグリーン色の球体が構築されていた。
頭の中で綾瀬と明智がやられてゲームオーバーになる姿が思い浮かぶ。
胸の奥底でドス黒い感情が湧き上がり、自分への怒りが炎のように燃え上がるのを感じた。
仲間全員が孤立したのは、自分の責任だ。
豆田に対プレイヤー用レーザーを放ったとき、頭か心臓のどちらかを狙っていれば、《誘爆する玉突き人事》を起動されなかった。
敵を殺さなければ、仲間が殺される危機に晒される。
これ以上大切な人たちを失わないためにも、プレイヤーとして「弱点」は克服しなければならない。
レキトは親指でホームボタンを押し込む力を強めて、喉の奥から込み上げる吐き気を堪えた。
「てめえ、相性が悪いことをわかってて、俺を早く倒すだと? いい心意気じゃねえか……‼︎
新人プレイヤーの若さ、眩しすぎんだろ! あぁ⁉︎」
──《並行世界の落とし物》!
若月は両手でスマートフォンをパンと打ち合わせて、ドスを利かせた声でギアを起動する。
レキトが親指をホームボタンから離す──フェイントを入れても、動じた様子はなかった。
《小さな番犬》の吠える声が大きくなり、「DANGER」のポップアップがスマホ画面で点滅した。
若月のスマートフォンが光り輝き、紅白色の閃光に両手ごと包み込まれる。
弾けるように光が消えた瞬間、若月が両手を広げると、2台に増えたスマートフォンはそれぞれの手に収まっていた。
──特殊防衛組織『アント』VS遊戯革命党。そして両陣営に潜入して、漁夫の利を狙う『帝都の蟲』。
──全世界のNPCの命運を賭けた対決、《1万時間後に叶う夢》を持つプレイヤー「朝日希羽」を巡る戦いは、チーム戦から個人戦に移り変わり、今まさに熾烈を極めようとしていた。
──三つ巴の争いを制するのは誰か?
──遊戯革命党の計画が盤面を支配し切るのか?
──特殊防衛組織『アント』の執念が戦局を覆すのか?
──『帝都の蟲』の裏切りがすべてを掻っ攫うのか?
──各陣営のプレイヤーは、『Fake Earth』を運営するアーカイブ社に才能や実績を認められた天才。
──人類の中から選ばれし挑戦者たち。
──全員が不可能すら成し遂げる力を持ち、あらゆる未来を切り拓く可能性を秘めている。
──だが、忘れてはいけない。
──『Fake Earth』は現実世界を再現したゲーム。
──未曾有の感染症が各国の経済を狂わせたように、前代未聞の大災害が突如として襲いかかったように、世界が人類を翻弄するところも完璧に再現している。
──この戦いに身を投じた者たちの運命を狂わせる歯車が、理不尽にも予期せぬタイミングで回り始めた。
──ピ、ピ、ピ、ピー。
若月が二丁拳銃のようにスマートフォンを構えたとき、時報のような音が鳴った。
その音は、レキトと若月のスマートフォンから同時に響いた。
《小さな番犬》は急に吠えなくなり、赤色のスマートフォンの振動も止まる。
膨らんでいたライトグリーン色の球体は消えて、端末上部のイヤホンジャックも輝きを失う。
レキトは親指をホームボタンで長押ししたまま、指先すら動かすことができなくなった。
だが、異変が起きたのは、レキトだけではなかった。
若月も両手でスマートフォンを構えたまま、まるでフリーズしたように動かない。
彫りの深い顔は困惑した表情を浮かべ、「てめえ、何をした?」と言いたげな視線をレキトに向けている。
レキトたちのスマートフォンが光り輝いたとき、「地球」のロゴがスマホ画面に映し出された。
『アーカイブ社運営局よりお知らせです。ただいま「プレイヤー5人以上のチームが、NPC50名以上をそれぞれ仲間にして戦う」という条件が達成されました。
これに伴い、NPCを利用した対戦イベントを開催いたします』
中性的な声のアナウンスが流れた。
いったい何が始まろうとしているのか、まったく想像がつかない。
ただ、「NPCを利用した」という言葉から、恐ろしく不穏な響きを感じる。
『それでは、これより詳細を説明させていただきます。今回の対戦イベントの名前は、「NPCジョーカーチェス」。
──プレイヤーの皆様が仲間であるNPCが、勝敗の鍵を握るゲームです』
お読みいただきありがとうございます。
次回、94話「NPCジョーカーチェス(ルール説明)」は12月に更新予定です。
(作者からのお願い)
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