番外編 『Fake Earth』世界史Vol.1(年表)
これはアーカイブ社の社員、ラチャナ・ラーイがゲームの歴史を書くまでの物語である。
【現実世界】
戸籍名=ラチャナ・ラーイ(Rachana Rai)
夜明け前、標高1400mの丘の上にあるログハウスで、ラチャナ・ラーイ編纂官は目覚めた。
薄桃色のガウンを羽織って、瓶入りの牛乳を片手鍋で沸かした。
見晴らしの良いウッドデッキに出て、山の端に朝日が輝く風景を眺める。
湯気の立ったホットミルクを一口飲んだとき、ついにこの日が訪れたことを悟った。
◯
「歴史の転換点が訪れる要因の調査」を目的とした、「『Fake Earth』の世界史」の編纂。
今年で30歳になるラーイ編纂官にとって、「歴史の編纂」の経験は20年目に差し掛かっていた。
初めて編纂を行ったのは、10歳の時──当時、熱中していたトレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』の対戦環境の「歴史」をネットに公開した。
累計1億PVの大台に乗った嬉しさも、歴史の大きな流れを形にできた喜びも、自分自身の原点になっている。
「『Fake Earth』の世界史」の編纂作業に着手するにあたって、まずラーイ編纂官は「クリアしたプレイヤー」をリストアップした。
その次に、「クリアしたプレイヤー」の視点録画データと「クリアしたプレイヤー」が映り込んでいると思われる録画データを、作業PCから瞬時にアクセスできるように準備した。
作業部屋に40枚の26インチパネルを設置し、それぞれのモニターに「10分を1コマとし、1コマは2秒で進む」設定で、録画データを流し続けた。
「詳細を知るべき」と感じた場面については、「現実時間と同じ速度の再生速度での見直し」を行った。
そして、作業開始から30日目。
録画データを一通り視聴したラーイ編纂官は「『Fake Earth』の世界史」を「書ける」ように直感した。
この「直感」は、あらゆるレベルの「歴史」を編纂するときに、いつも訪れるものと同種だった。
その世界における情報が一粒一粒に整理され、その一粒一粒が集まり、大きな塊が意味を持ち、その大きな塊が「流れ」となって、「歴史」が紡がれる。
そうしたイメージが、「『Fake Earth』の世界史」においても、立ち上がった。
録画データの再生を止めたラーイ編纂官は、作業部屋のモニターの電源をすべて落とした。
執筆用PCを立ち上げ、キーボードの防塵カバーを貼り替えた。
小指から人差し指にかけて、第二関節を順番に鳴らしていく。
今回のデータ量は、これまで取り組んできた歴史編纂作業の中で、最大のものとなる。
今後データを見直すことも含めて、執筆は2ヶ月くらいだろうか。
この仕事を彼女に割り振った上司のニャココ編纂室長の顔が脳裏に浮かぶ。
「え〜4ヶ月でできちゃうの〜!?
普通の人なら5年以上はかかるのに〜!
すごいね! えらいね! がんばってね~!」。
いつもそうだけど、書き始めるときには、ほんの少し寂しい感じがする。
書き終わったら、終わってしまう。
楽しい時間の終わりが見えると、まだ終わってほしくないと願ってしまう。
──その後、ラーイ編纂官の身に起こったことこそを「奇跡」と呼ぶのかもしれない。
──その「奇跡」は誰にも知覚することができない種類のものであるのだけれど。
ラーイ編纂官は驚いた。
執筆作業の準備を整え、いざ一行目を書こうとしたのだが、その一行目を書くことができなかったからだ。
編纂作業を始めて20年の経験の中で初めてのことだった。
どういうことなのだろう。
書くべきことが決まっているのにかかわらず、一行も書けない。
ラーイ編纂官は、「あ」とキーボードを叩こうとした。
「あ」と打つことはできた。
次に「ネットショップで本を買った」とキーボードを叩こうとした。
「ネットショップで本を買った」と打つことはできた。
その後で、ラーイ編纂官がイメージしている「『Fake Earth』の世界史」の一行目を書こうとしてみた。
やはり身体が動かない。
何も書けないわけではない。
しかし、今、書かなければいけないことについては書けない。
休憩を小一時間挟んでも、翌朝に仕切り直しても、最初の一行目を書くことができなかった。
◯
3日後、ラーイ編纂官はニャココ編纂室長の元へ訪れた。
小柄なニャココ編纂室長は頬杖をついて、推定500ページ以上の資料を、パラパラ漫画をめくるような勢いで読んでいた。
30秒も経たないうちに読み終わると、「どうしたの〜? 資産運用で破産しちゃったみたいな顔だよ〜」と心配そうな顔でコーヒーを淹れてくれた。
「『Fake Earth』の世界史」の編纂作業が難航していることを、ラーイ編纂官はニャココ編纂室長に伝えた。
「このままでは、いつ納品できるかわかりません。
もし編纂室長がお困りになるようでしたら、私を担当から外してください」
一度任された仕事はやり遂げたいが、私情で会社に迷惑をかけたくない。
ラーイ編纂官は頭を下げた。
ニャココ編纂室長は大きな目をぱちくりさせた後、可笑しそうに笑い始めた。
「えへへ、変なの〜。私が作った締め切りまで2年以上あるから、まだ全然余裕なのに〜!
今まで色んな人と仕事してきたけど、自分が勝手に決めた締め切りを守れなくて、死にそうな顔をしてる人は初めてだよ〜!」
そもそも君の作った締め切りまで2ヶ月以上あるし、と言いながらニャココ編纂室長はコーヒーにグラニュー糖を入れた。
上機嫌そうにティースプーンでかき混ぜると、ラーイ編纂官の目の前へ右手の手のひらを突き出す。
「じゃあ、期限は延長して5年にしようか〜。5年経っても納品できなかったら、担当を外れてもらうってことで〜!
君ができそうにない仕事は、他の人にはできないからね〜。代わりに引き継げる人を探すのに5年はかかるから、辛抱強く粘ってみてよ〜!
もし5年後に君が一行も書けなかったとしても、全然大丈夫!
──その責任は上司の私が責任を持って、無理難題を押し付けた上層部になすりつけておくからさ〜!」
両手でカップを持ち、ニャココ編纂室長はウィンクした。
一口だけコーヒーを啜り、大きめの息をふぅーと吐く。
感謝と了解の意を込めて、ラーイ編纂官は頭を深く下げた。
──いつもと同じことをやっていては、いつまでも現状が変わらない恐れがある。
──「『Fake Earth』の世界史」を編纂するためには、今の自分に必要なことは何なのか?
5年の時間を与えられたとき、ラーイ編纂官の頭に閃くものがあった。
編纂作業に関係なさそうなことだったが、直感は「それ」が正しいことを告げている。
ニャココ編纂室長の元を訪れた後、ラーイ編纂官は近場のショッピングストリートに向かった。
そして、スポーツ用品店で「テニスラケット」と「テニスシューズ」を買って、併設されたテニススクールに初心者コースの本入会の申し込みをした。
入会の手続きを終えた後、向かいのペットショップに入店する。
店頭にいる愛らしい犬と猫の前を素通りして、店の隅にいる「子豚」を購入した。
テニススクールに通って、自宅の庭で子豚を放し飼いにする。
この2つのことを始めてから、ラーイ編纂官は『Fake Earth』の録画データを一度も見なかった。
執筆用PCは電源も点けず、仕事場のデスクに置きっぱなしにしている。
なぜ「歴史の編纂」から一度離れようと思ったのか、その答えはうまく言語化できない。
テニスと子豚の世話を始めて1年があっという間に過ぎた。
「『Fake Earth』の世界史」の編纂は相変わらず何も進んでいない。
サーブを速く打つコツが、最初の一行目を閃くような展開にはならなかった。
子豚を散歩に連れているとき、前触れもなくアイデアが降ってくるような奇跡も起きない。
けれども、ラーイ編纂官は毎日の食事が昔より美味しく感じるようになっていた。
テニスが上達するにつれて、体が栄養を強く欲しているのがわかった。
茹でた野菜を子豚が貪るように食べる様子を見ていると、不思議と食欲が増した。
食後に少し膨らんだ腹に「生きていること」を実感した。
テニスと子豚が教えてくれたことは、「食事の美味しさ」以外にもたくさんあった。
泥まみれになることの心地良さを体験させてくれた。
無意識の偏見を気づかせてくれることもあった。
「『Fake Earth』の世界史」を編纂できなかったことが、ラーイ編纂官は逆に良かったと思えるようになっていた。
それから2年の月日が流れて、子豚が「子豚」と呼べなくなるほど大きくなった頃、ラーイ編纂官は『Fake Earth』の録画データを見直したい気分になった。
2年2ヶ月前に自身がピックアップした「クリアしたプレイヤー視点」のデータや「クリアしたプレイヤーが映っている」データではない。
ランダムで選んだNPC視点の録画データを見たくなった。
ラーイ編纂官が、NPC視点の録画データを見ていたのは、約8時間。
その約8時間の間、ずっと「親愛の情」のようなものを抱き続けていた。
実際の映像を見たのは、ほんの数人の、ほんの一瞬に過ぎない。
本当に普通の人々の、普通の生活だった。
カーテンを開け、手を洗い、パンを食べ、仕事をし、眠る。
喜ぶ、怒る、悲しむ、楽しむ。
小さなこと。小さなことの積み重ね。
その世界にいるすべての存在に対して、愛おしい気持ちが、録画を見始めた最初の瞬間から、録画の再生を停止する最後の瞬間まで、身体の中心から、どうしようもない勢いで、湧き続けていた。
そして、「すべてのプレイヤー、すべてのNPCに、〈命〉がある」という確信が降りてきた瞬間、ラーイ編纂官の脳内に、突然テレビ画面の砂嵐のイメージが広がった。
土砂降りの雨のようなノイズ音が響きわたる。
無数の黒と白と灰色の点が揺れ動いた。
やがて無数の黒と白と灰色の点が、中心に向かって収束し始めた。
渦に飲み込まれるような軌道を描いていく。
いくつもの点と点がぶつかり、1本の線が生まれた。
いくつもの線と線がぶつかり、アルファベットの「F」が生み出された。
ラーイ編纂官が執筆用PCを立ち上げようとした直前、庭から子豚の甘えるような鳴き声が聞こえた。
散歩用のリールを鼻に引っかけて、尻尾をぶんぶんと振っている。
浮かんでいたアルファベットの「F」の文字は脳内から消えた。
けれど、もうすぐ最初の一行目が書き出せる日が訪れることを予感する。
子豚に向けて、片手を上げて了解のジェスチャーを送り、ラーイ編纂官は自宅の庭へ向かった。
◯
朝日が差し込むウッドデッキで、ラーイ編纂官は執筆用PCを立ち上げた。
文書ファイルを開くと、2年4ヶ月前と同じ白紙のままだった。
早く書くことを急かすように、縦棒のカーソルが点滅している。
目の前にあるのは、防塵カバーを2年4ヶ月前に貼り替えてから、埃ひとつ積もることのなかったキーボード。
ラーイ編纂官は頭で書きたいことをイメージした。
小指から人差し指にかけて、第二関節を順番に鳴らす。
今は、どこまで書けるのかはわからない。
今この瞬間に書ける自信があっても、いざ書き始めてみると、うまく書けないところもあるだろう。
書けるようになったことは、スタートラインに立っただけにすぎない。
深呼吸したラーイ編纂官はマウスを操作する。ゲームの世界を変えた出来事の数々を思い返す。
──今まで『Fake Earth』を大きく変えたターニングポイントは6つ。
──よって、この偽りの世界の歴史は第6部に区分することができる。
キーボードに手を添えたとき、考えるより先に指が自然と動き始めた。
【『Fake Earth』世界史vol.1(年表)】
(I)
『第1部 第一次プレイヤー大戦』
〈サービス開始から1日目〉
最初の参加プレイヤーは3万人。
プレイヤー名「シンドリー・バウナー」がプレイ時間37分で最速クリアを達成。
他プレイヤーのコインによって、賞金1億円を手に入れる。
同日、プレイヤー名「シンドリー・バウナー」は『Fake Earth』を再プレイして、累計プレイ時間1時間9分で2回目のゲームクリアを果たす。
〈サービス開始から2日目〉
プレイヤー名「シンドリー・バウナー」3回目のゲームクリア。
NPCによって、プレイヤー同士の戦闘がニューヨーク・パリ・大阪など7ヵ国で初めて観測される。
プレイヤー同士の戦闘に巻き込まれて、NPCが初めて死亡する。
〈サービス開始から3日目〉
プレイヤー名「シンドリー・バウナー」5回目のゲームクリア。
改造スマホを武器にするプレイヤー同士の戦闘について、世界中で新手のテロではないかと報道される。
〈サービス開始から4日目〉
プレイヤー名「ホメロ・アラタ」、憑依したアバターの初期ステータスの薬物中毒で苦しんでいたところ、ブラジルのサンパウロ州警察に逮捕される。
同日、プレイヤー名「ホメロ・アラタ」は警察署から逃亡して、指名手配される。
〈サービス開始から5日目〉
プレイヤー名「ホメロ・アラタ」、サンパウロ州警察に射殺される。
生き返る様子の動画がYouTubeで公開される(撮影:一般人)。
同日、プレイヤー同士の戦闘が激化したことにより、死んだ人間が生き返る姿が世界中の至る所で撮影されて、TwitterやInstagramにも類似の動画が投稿される。
〈サービス開始から6日目〉
チャンネル登録者数1500万人のオカルト系Youtuber「シル☆シル」が、生配信中にプレイヤーの生き返る動画を話題として取り上げる。
これを機に世界的に知名度が広がり、「不死身の新人類説」や「地球外生命体の人間擬態説」がネット上で議論される。
〈サービス開始から7日目〉
アラスカ航空2200便、機内にいたプレイヤー同士の戦闘で機体が破損したことにより、NPCの死者600名を超える墜落事故を起こす。
〈サービス開始から8日目〉
50ヵ国以上のメディアが「死んだ直後に生き返る人間」について大々的に取り上げる。
「全員が生き返る直前までの記憶が一定期間ないこと」、「記憶がなかった期間は、挙動がおかしかったこと」が報道されて、「宇宙人憑依説」がネット上で騒がれるようになる。
〈サービス開始から9日目〉
NPCからの注目が高まったことにより、プレイヤー同士の戦闘が前日比で著しく減少。
一方、プレイヤーとは関係ないNPCにNPCが暴行を加える事件が著しく増加する。
改造スマホを武器にするプレイヤー同士の戦闘に巻き込まれる被害が連日起きたことで、各国の政府は安全のために自粛や外出禁止を呼びかける。
〈サービス開始から10日目〉
病院からの通報により、戦闘で重傷を負って入院しているプレイヤーが警察に捕まり始める。
各国の研究機関が改造スマホを調べたところ、市販のスマートフォンと同じ製品である結果が出る。
〈サービス開始から15日目〉
プレイヤー名「大宮英雄」、日本の政府に捕まったプレイヤー8名をすべて解放することに成功。
ゲーム内で初めて「ギルド」が結成される。
〈サービス開始から20日目〉
プレイヤー名「シンドリー・バウナー」、反政府勢力のNPCを従えて、南アフリカ共和国を武力支配。
「世界平和声明」が南アフリカ公営放送で流れて、全世界のメディアが拡散する。
〈サービス開始から21日目〉
改造スマホを武器にするプレイヤーの対策について、主要20ヵ国による緊急首脳会議がオンラインで行われる。
NPCの警察・軍隊がプレイヤーの取り締まりを強化したことにより、一部のプレイヤーたちがプレイヤー名「シンドリー・バウナー」の元へ集まり始める。
〈サービス開始から23日目〉
プレイヤー名「シンドリー・バウナー」の提案により、米国大統領とプレイヤー名「シンドリー・バウナー」ビデオ通話で対話。
米国大統領は南アフリカ共和国に軍事介入を宣言する。
〈サービス開始から25日目〉
プレイヤー名「シンドリー・バウナー」、米国に対する警告として、自由の女神の首を落とす。
多くのメディアは「人類に対する宣戦布告」と報道する。
〈サービス開始から30日目〉
米国が南アフリカに空爆を試みるも、プレイヤー名「シンドリー・バウナー」が【記述不可能により空欄】を行ったため、失敗する。
〈サービス開始から33日目〉
プレイヤー名「大宮英雄」をマスターとするギルド、軍事介入に失敗したNPCの重傷者に回復系のギアで治療を施す。
自由の女神をギアで修復して、「シンドリー・バウナー」を倒すことを宣言する。
国際連合事務総長、NPC「レオノール・オリベイラ」はプレイヤー名「大宮英雄」をマスターとする友好派を国連軍へ加入することを認める。
〈サービス開始から49日目〉
プレイヤー名「大宮英雄」、NPC「レオノール・オリベイラ」に【記述不可能により空欄】を託す。
〈サービス開始から50日目〉
第一次プレイヤー大戦、勃発。
プレイヤー名「大宮英雄」の友好派とプレイヤー名「シンドリー・バウナー」の救済派のギルド戦が南アフリカで繰り広げられる。
〈サービス開始から60日目〉
第一次プレイヤー大戦、終結。
プレイヤー名「大宮英雄」友好派が勝利を収める。
プレイヤー名「シンドリー・バウナー」が生き返った後に、もう一度射殺されたことが発表される。
また、プレイヤー名「大宮英雄」が行方不明になったことが報道される。
〈サービス開始から61日目〉
一部の国の政府では、外出禁止令の解除が検討されるようになる。
〈サービス開始から70日目〉
国際連合の反プレイヤー派のNPC「スタース・オルロフ」、第一次プレイヤー大戦で生き残った友好派のプレイヤーの暗殺を試みる。
行方不明になったプレイヤー名「大宮英雄」を捜索する名目で、生き残りの友好派のプレイヤーを招集して、その場で5名中4名のプレイヤーの毒殺に成功。
プレイヤー名「林虎児」は中国へ逃亡する。
〈サービス開始から75日目〉
ケンブリッジ大学の生物科学部教授、NPC「ババゾロネ・ダーウィン」がプレイヤーの生態に関する論文を発表。
超常変異種「ヒューテック」という呼び名が世界的に定着する。
同日、NPC「スタース・オルロフ」、NPC「レオノール・オリベイラ」を国際連合事務総長の地位から失脚させる。
〈サービス開始から99日目〉
プレイヤー名「大宮英雄」、プレイヤー名「シンドリー・バウナー」とケープタウンで再会。
プレイヤー名「シンドリー・バウナー」は幻覚系のギアで死んだことを偽装していた。
〈サービス開始から100日目〉
プレイヤー名「大宮英雄」およびプレイヤー名「シンドリー・バウナー」、【記述不可能により空欄】──そしてゲームマスターと対面する。
【記述不可能により空欄】。
同日、プレイヤー名「大宮英雄」およびプレイヤー名「シンドリー・バウナー」はゲームオーバーとなり、すべての記憶を失う。
〈サービス開始から250日目〉
プレイヤー名「大宮英雄」ノーベル平和賞に選出。
多くの国で「ヒューテック法案」が作られる。
(II)
『第2部 NPCたちの闘争』
〈サービス開始から365日目〉
参加プレイヤー数10万人を突破。
中国マフィア「玄龍会」の総長、NPC「范唯」がプレイヤー名「王東君」を【記述不可能により空欄】で篭絡。
同日、プレイヤー名「王東君」が国内の敵マフィアを制圧。
敵マフィアに協力していたプレイヤーを配下に加える。
〈サービス開始から400日目〉
プレイヤー名「林虎児」、中国マフィア「玄龍会」に加入。
中国マフィア「玄龍会」は外国へ勢力を広げていく。
〈サービス開始から444日目~499日目〉
NPCの日本与党議員「日野正義」、プレイヤー化。
NPCの日本与党幹事長「柊修司」と協力関係を結ぶ。
癒着が常態化していたヤクザとの関係を改善する。
そして、ログインボーナスで手に入れたギアを利用して、権力争いを有利に進めていく。
〈サービス開始から500日目〉
フリーランス記者のNPC「ゴットフリート・ドゥルム」、【記述不可能により空欄】。
〈サービス開始から510日目〉
プレイヤー名「日野正義」125代目の日本内閣総理大臣に就任。
〈サービス開始から600日目〉
NPCの国連軍、中国マフィア「玄龍会」殲滅作戦に失敗する。
プレイヤー名「林虎児」、NPC13名の処刑リストを発表。
YouTubeで発表された処刑リストは、首相や大統領などの国家最高権力者を標的にしている。
同日フランス大統領の暗殺に成功する。
〈サービス開始から665日目〉
プレイヤー名「日野正義」、神戸で遊説したところをプレイヤー名「林虎児」に暗殺される。
ゲームオーバーになった「日野正義」がNPCに戻る様子が全世界で配信される。
世界中のメディアがプレイヤーの政府乗っ取り疑惑を報道して、120ヵ国以上の政権の支持率が著しく下がる。
〈サービス開始から666日目~699日目〉
全世界で治安が悪化して、犯罪件数が前年比で大幅に上回る。
プレイヤーと誤って殺されるNPCの数が急増する。
中国マフィア「玄龍会」の勢力拡大、プレイヤー名「林虎児」は処刑リストの暗殺を次々と実行していく。
〈サービス開始から700日目〉
NPC「レオノール・オリベイラ」(元・国際連合事務総長)、中国マフィア「玄龍会」を解体するために、プレイヤー名「大宮英雄」から託されていた【記述不可能により空欄】を地下金庫から持ち出す。
〈サービス開始から701日目〉
【記述不可能により空欄】。
〈サービス開始から702日目〉
【記述不可能により空欄】。
〈サービス開始から703日目〉
【記述不可能により空欄】。
〈サービス開始から705日目〉
プレイヤー名「リアム・キッドマン」、【記述不可能により空欄】。
NPC「レオノール・オリベイラ」と友好条約を結び、他5名のプレイヤーと対「玄龍会」を目的としたギルドを結成する。
〈サービス開始から707日目〉
プレイヤー名「リアム・キッドマン」と他プレイヤー5名、中国マフィア「玄龍会」を襲撃。
第二次プレイヤー大戦が勃発する。
〈サービス開始から710日目〉
プレイヤー名「リアム・キッドマン」、中国マフィア「玄龍会」を壊滅させる。
プレイヤー名「林虎児」がゲームオーバー。
総長「范唯」(NPC)死亡。
プレイヤー名「王東君」はロシアへ逃亡する。
〈サービス開始から750日目〉
プレイヤー名「リアム・キッドマン」、【記述不可能により空欄】──そしてゲームマスターと対面する。
【記述不可能により空欄】。
同日、プレイヤー名「リアム・キッドマン」は【記述不可能により空欄】で生存する。
〈サービス開始から800日目〉
NPC「レオノール・オリベイラ」、NPCの自民党幹事長「柊修司」の招聘を受ける。
単身で日本へ移住して、特殊防衛組織「アント」を新設する。
〈サービス開始から831日〉
特殊防衛組織「アント」科学班の研究主任、NPC「鴨志田美玲」が独自にスマートフォンを改造して、《対プレイヤー用ナイフ》の開発に成功する。