終わり
きらきらと光が乱反射する世界は美しかった。
コウはただ静かに崩落するロストを見ていた。
リンもシンもセッキもシズクに任せた以上、何も問題ない。
「今更、能力を得てもなぁ……」
シソを倒したことで新たに能力を略奪できた。
不死、致死、悪食……どれも凄まじい力だが、破邪の前では無効だった。
リンから譲渡された破邪は、ロストに存在する全ての能力を無効化する。
「全耐性だけが厄介だったわけだが……」
シソは強すぎた。
能力の奪取は意識を飛ばしていれば出来る。
不死を持つが故に、奪取される可能性を考慮できなかったのだ。
「まぁ、いいか。もう終わるんだ」
コウの全身から力が脱けていく。
徐々にロストが消え、それに比例して元の世界の色が増えていく。
ゆるやかな変化を受け入れながら、ロストが消えた後も残ってほしいことを思った。
「また会いたいんだ、みんなに」
言葉は口から漏れたのか、思念なのかは分からない。
だが確実に世界に響いた。
目を開いたら見慣れたズボンと靴が見えた。
倦怠感を覚えながら、意識を覚醒させていく。
手が触れた先はベンチだった。
ざらりと木の質感が伝わり、コウは生きている事を実感した。
ひんやりとした夜風が吹き、肌を撫でる。
心地よく心身を冷ましてくれる。
「ここはロストではなかったのか」
目を上げると美しい桜があった。
ひらひらと花びらが舞い、一面を桜絨毯にしている。
立ち上がり伸びをする。
「……ん?」
強く吹いた風に目を閉じる。
目を開いたらリンに抱きしめられていた。
静かに抱き返す。
柔らかく温かい、あまりにも心地よすぎる感覚。
しばし無言で確かめる。
「きれいだなー!!」
「見頃だな。良い肴になるぞ」
「……青猫扱いするな」
全員、無事らしい。
「リン……良かったな」
「来年も全員で」
体を離し、しっかりと見つめた。
2人で笑い合う。
シン、シズク、セッキを見ればニヤニヤしていた。
心が満たされていく。
難しい事はどうだっていい。この場所を守る、ただそれだけだ。
以上で完結です。
最後まで見て頂き、ありがとうございました!




