決戦
シソが絶頂を終えた時だった。
突如、巨大な岩に圧殺された。
その衝撃は地面を木っ端微塵とし、巨大なクレーターを作った。
「衝撃は消しきれんか」
まともに衝撃に全てを食らったシソは頭をふらつかせるが、その身は全くの無傷であった。
「?!」
シソに不可視の弾丸が幾筋も届く。
足元に落ちる弾を見るに、ショットガンであろう。
「ちっ……面倒な!」
弾丸が蜂の巣のように飛んでくる。
シソは全てを受けていたが、やがて弾丸は無視し仕切れないサイズになってきた。
「電磁加速されたライフル弾、ミサイル……よくもまぁ用意したものだ」
時に流し、撃ち落とし、蹴り上げ、いなしつづけるシソ。
流石の体術と言える。
「それにしても、ここまで精巧な狙撃……まさか!!」
シルビアの裏切りはない。だとすれば殺害されたか!
「コウ!! 貴様、やりやがったな!!!!」
シソの怒りは辺りの空気を揺らす。
その激しさは、巨大なクレーターを崩れ落とす程の亀裂を生んだ。
コウは答えず、山のような狙撃を食らわせ続けた。
ミサイルはついに中を水素に変え、禁断の原子爆弾に至ろうとしていた。
「散れ、粉微塵も残さずにな」
絶対零度を体現したコウの狙撃は、ついに水素爆弾・原子爆弾を山と降らせる事になった。
ロストごとぶっ壊してしまいたい。
コウは自身すら巻き込んだ徹底的な破滅をロストとシソに求めた。
あまりの爆撃と衝撃に辺り一面の色がなくなった。
「この結果はシソ……お前の傲慢さが生んだ。
得た能力を確認していれば気づけたものを。
貴様の全耐性は凄まじいな。何一つ害がない」
一面が白く色を無くした世界。
コウの独白が続く。
「なぁ。この世界で暴れ続けた、お前に残っていたものは何だ?
敵を屠る。心の全てを叩きつけた行為に悔いはない」
ぴしりぴしりと空間が軋む。
衝撃に、世界が耐えきれず崩壊しているのだ。
「だというのにお前がいなくなったあとの、この空虚はいったい何なんだ?』
崩壊するロスト。
コウに応えるモノはなかった。




