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ロスト  作者: 林 晄史
劇場
24/25

決戦

 シソが絶頂を終えた時だった。

突如、巨大な岩に圧殺された。


 その衝撃は地面を木っ端微塵とし、巨大なクレーターを作った。


「衝撃は消しきれんか」


 まともに衝撃に全てを食らったシソは頭をふらつかせるが、その身は全くの無傷であった。


「?!」


 シソに不可視の弾丸が幾筋も届く。

足元に落ちる弾を見るに、ショットガンであろう。


「ちっ……面倒な!」


 弾丸が蜂の巣のように飛んでくる。

シソは全てを受けていたが、やがて弾丸は無視し仕切れないサイズになってきた。


「電磁加速されたライフル弾、ミサイル……よくもまぁ用意したものだ」


 時に流し、撃ち落とし、蹴り上げ、いなしつづけるシソ。

流石の体術と言える。


「それにしても、ここまで精巧な狙撃……まさか!!」


 シルビアの裏切りはない。だとすれば殺害されたか!


「コウ!! 貴様、やりやがったな!!!!」


 シソの怒りは辺りの空気を揺らす。

その激しさは、巨大なクレーターを崩れ落とす程の亀裂を生んだ。


 コウは答えず、山のような狙撃を食らわせ続けた。

ミサイルはついに中を水素に変え、禁断の原子爆弾に至ろうとしていた。


「散れ、粉微塵も残さずにな」


 絶対零度を体現したコウの狙撃は、ついに水素爆弾・原子爆弾を山と降らせる事になった。


 ロストごとぶっ壊してしまいたい。

コウは自身すら巻き込んだ徹底的な破滅をロストとシソに求めた。


 あまりの爆撃と衝撃に辺り一面の色がなくなった。








「この結果はシソ……お前の傲慢さが生んだ。

得た能力を確認していれば気づけたものを。


 貴様の全耐性は凄まじいな。何一つ害がない」


 一面が白く色を無くした世界。

コウの独白が続く。


「なぁ。この世界で暴れ続けた、お前に残っていたものは何だ?

敵を屠る。心の全てを叩きつけた行為に悔いはない」


 ぴしりぴしりと空間が軋む。

衝撃に、世界が耐えきれず崩壊しているのだ。


「だというのにお前がいなくなったあとの、この空虚はいったい何なんだ?』


 崩壊するロスト。

コウに応えるモノはなかった。

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