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ロスト  作者: 林 晄史
劇場
21/25


「ふふっ、その意気やよし」


 シソは心底、楽しそうに体全体を揺らすと、その証明とばかりに気迫を放った。

木々が揺れて、遠くで獣がないた。


 セッキとシンは絶体絶命ともいえる、シソとの対峙の最中にあって、心臓がきしむような息苦しさと、命を燃やす熱に全身をかき乱されていた。


「これが死線というやつか」


  セッキは不敵に笑う。


「よく分かんないけど、思いっきりやるぞー!!」


  シンは相変わらず。


「行くぞ」


 シソはさらりと宣言するとシンの頭部をデコピンで弾き、セッキのみぞおちをかかとで振り抜く。

余波で地面に波が走り、木が何本か折れる。


 シンの蹴りが爆発的に真下から飛ぶが、シソは真っ向から叩き潰し、シンの足ごと地にめり込ませる。

地に縫いとめられ、シンの動きが止まる。


 吹き飛ばされ木々をなぎ倒していたセッキがようやく止まる。

200mは飛んだだろうか。


「笑えるほど強い」


 セッキの声が突如、聞こえる。

同時に、シソに大量の木が降り注ぐ。


 シソはその木を物ともせず、弾き飛ばしながら突き進む。


「器用ではあったな」


 シソの声が届く頃には、セッキの前身は穴だらけにされた。

全て指によるものだった。


「貴様は厄介だ」


 シソのどの攻撃も巧みに衝撃吸収を続けるシン。

体力、精神共に厳しいものの耐えている。


「……」


 シンはあまりの攻防の早さと疲労により、乱れる呼吸を整えるのに手一杯。

いつもの軽口すら叩かない真剣な表情は、シンが人生で初めてしたものだった。


「どこまで耐えきれるか、見せてみよ!」


  シソは悠然とシンへと歩みを進める。

シンは微動だにしない。圧倒的な格上であるシソに打てる手は1つ。


 相手の攻撃を待ち、最小の動きでカウンター。シンはそれに徹していた。


「ふふっ、久々だ」


 シソは指を二本立てる。

ただそれだけのことだった。


 伝わる範囲が増えただけで、こうも威力が違うのだろうか。

シンは全身を貫くシソの指突に成す術がなく、全身を散らした。

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