格
「ふふっ、その意気やよし」
シソは心底、楽しそうに体全体を揺らすと、その証明とばかりに気迫を放った。
木々が揺れて、遠くで獣がないた。
セッキとシンは絶体絶命ともいえる、シソとの対峙の最中にあって、心臓がきしむような息苦しさと、命を燃やす熱に全身をかき乱されていた。
「これが死線というやつか」
セッキは不敵に笑う。
「よく分かんないけど、思いっきりやるぞー!!」
シンは相変わらず。
「行くぞ」
シソはさらりと宣言するとシンの頭部をデコピンで弾き、セッキのみぞおちをかかとで振り抜く。
余波で地面に波が走り、木が何本か折れる。
シンの蹴りが爆発的に真下から飛ぶが、シソは真っ向から叩き潰し、シンの足ごと地にめり込ませる。
地に縫いとめられ、シンの動きが止まる。
吹き飛ばされ木々をなぎ倒していたセッキがようやく止まる。
200mは飛んだだろうか。
「笑えるほど強い」
セッキの声が突如、聞こえる。
同時に、シソに大量の木が降り注ぐ。
シソはその木を物ともせず、弾き飛ばしながら突き進む。
「器用ではあったな」
シソの声が届く頃には、セッキの前身は穴だらけにされた。
全て指によるものだった。
「貴様は厄介だ」
シソのどの攻撃も巧みに衝撃吸収を続けるシン。
体力、精神共に厳しいものの耐えている。
「……」
シンはあまりの攻防の早さと疲労により、乱れる呼吸を整えるのに手一杯。
いつもの軽口すら叩かない真剣な表情は、シンが人生で初めてしたものだった。
「どこまで耐えきれるか、見せてみよ!」
シソは悠然とシンへと歩みを進める。
シンは微動だにしない。圧倒的な格上であるシソに打てる手は1つ。
相手の攻撃を待ち、最小の動きでカウンター。シンはそれに徹していた。
「ふふっ、久々だ」
シソは指を二本立てる。
ただそれだけのことだった。
伝わる範囲が増えただけで、こうも威力が違うのだろうか。
シンは全身を貫くシソの指突に成す術がなく、全身を散らした。




