闇雲
「……起きたら殺す」
目の前に横たわるコウを復元しながら、シズクの視線は実に鋭かった。
こいつの無茶は何度目だ。学習能力はないのか?
というか、私は……。
「ごめん、シズク」
コウの開口一番だった。
そして緩やかに起き上がった。
「……許さない」
ゲンコツをフルパワーで振り抜き、コウを再び寝かしつける。
「……というかすぐに起きないの。思慮する時間も大切よ」
「分かった」
コウは瞑目し、どうにか考えようとしているようだ。
シズクは頭を抱え、眉を寄せて、静かに吐息をついた。
「………」
無言で見つめる。
うなりながら思慮するコウは、いったい何を思い浮かべているのだろう。
リンとシソの事でいっぱいで、その他はまた事後でしょう。
別に報われたいとか、ましてや好きだとか恋愛感情などあり得ない。
戦友であるのだから礼や謝罪など要らないし、当然のことだ。
シズクは敵と戦ってはいないし、命を何度も晒してるコウを立派だと思っている。
それでももやもやしてしまうのは、どうしようもないのだ。
「……いったいいつまで」
シズクが声をかけようとしたら、コウはすやすやと眠ってしまっていた。
いつものようにシズクは、静かに音もなく吐息をついた。




