暴れ馬
「俺はセッキ。力が手に入る方法は全員、殺す事だと信じている」
大男は青髪を揺らしながら語った。
「なるほどな。そう考えるのも間違いではないだろう」
「……確かに正解はここにはない」
コウが応じるとシズクも同意する。
ここロストは能力に気づけば記憶が戻る。
それだけが確かな事なのだ。
力を求めに来た者の中にセッキのような結論に至る者もいるだろう。
強い視線をコウは感じる。大丈夫だとうなずく。
リンが怒っている事が非常に嬉しく、だからコウはセッキを平然と受け止めれるのだ。
セッキは僅かに目を広げたが、すぐに泰然とし話し出した。
「既に50人は殺した。仕留め損なったのはお前達、2人だけだ」
「……あなたの能力は殺すことに特化しているものね」
「能力を得たきっかけは殺しか?」
シズクが受け、コウが切り込む。
「そうだ。ふざけた男をぶん殴った時だ」
コウは全身が粟立つのを感じた。
あのくそ野郎か!! コウの手を優しく包む温かさを感じる。
リンにうなずく。
「……あなたの体格、ためらいのない致死攻撃。兵士かしら?」
「遺伝子操作を受けた兵士だ。虐殺専用のな」
「記憶は奪われても本能が動かした」
シズクが質問し、セッキが応じ、リンが推察する。
結論としてはこいつは殺すしかないだろう。
これ以上の有益な情報もないし、共闘できる可能性どころか狙われる可能性の方が高い。
「全員、殺すのは変わらない考えだな?」
「そうだ。お前達も必ず殺す」
「……私達を攻撃した瞬間殺せる」
セッキを殺す前に最終確認をしていると、シズクがセッキにペイントを貼り付けた。
「……何度でも貼り付けて蘇生させる」
セッキは5回死んだ。
死をためらわない男である。
「シズク、と言ったな」
セッキが目を光らせ、シズクを見据える。
「ここまで好き勝手されたのは初だ。お前に従う事にする」
「あいつどMというやつか?」
コウの指摘に、リンが冷ややかな目でセッキを見る。
「手綱を取られた暴れ馬だなーっ!!」
シンが大声で、珍しく的確な事を言った。




