起点
「本題に入るか」
コウが切り出したのはシンと3時間も遊んだ後だった。
何時だよ、おいおい死ぬの? とシズクはガンつけたが、それは正しい反応だろう。
「眠いから後でーっ!! 育たなくなるからね!!」
「……ぐぅ」
シンは寝床に飛び込み、リンはもう寝ていた。
「分かった。また明日」
コウはリンの隣に転移した。
すやすや無防備な天使な表情を見つめながら、そっと髪をなでる。
くすぐったそうに少し動き口元がもにょもにょする。
愛おしそうにコウは目を細めるとほほにキスをした。
「おやすみ、リン」
幸せそうに目を細めたコウは、そのままリンの寝床に入った。
「付き合ってられっかよ、ちくしょー」
シズクが飲んでもいないのにくだをまいた。
そしてみんな眠った。
何だかんだで全員、疲れきっているのだ。
翌朝。
「リンには全て話てあるし、2人も概ね同じだろうが……俺から話そう」
「端的に言って、俺たちはここに放り込まれ、記憶を消去された。
……そして、この世界を理解することで能力を得る」
確認するかのように区切り、みなを見るコウ。
補足するように続けるシズク。
「理解というのもいくつかあり、単純にこの世界の仕組みを知る。もしくは誰かを信頼する事が理解に繋がる」
「……私は世界の仕組み」
「俺はリンへの信頼」
コウはリンを見つめた。
リンは青い瞳を輝かせ応える。即ち、コウと同じように信頼していると。
2人の距離が近付き、唇がふれそうになる。
「俺は何も分かんないけどなぁーっ!!」
シンがのたまう。
「……アホ最強?」
シズクが静かにつぶやく。
「そうだろうな。理解は受け入れる事ともいえる」
「疑念がないシンは即、能力を得た」
コウとリンは構わず2人の世界を継続している。
「……能力を得ると記憶が戻る」
「さて共通事項だろうから、さくっとまとめるか」
ある日、ロストという場所が突如、現界した。
そして全世界にいっせいに通知された。
ロストに来れば力が手に入ると。それにまんまと釣られて来たのがコウ達なのだ。
「……ここを出る方法を見つけ出す」
「ここオペレーションシステムからの解析をシズクに」
「……ロスト中の捜索をコウに」
ここはシズクがたどり着いたロスト中枢であると予測されるシステム管制室。
マニュアルやら必要なものは、全てシズクの能力で用意してしまった。
だが解析は時間がかかる。
「ロスト側から追撃は必定。その前に私達が方法を見つけ出しロストを破る」
リンがキラリと瞳を光らせる。
シズクが静かに見守る。優しい眼差しだった。
協定と言っておきながら、やはりお人好しなのだ。
「さぁ、行こうか。力も帰還もどちらも奪ってやる!!」
コウの号令に応じ、リンが隣にシンが前へと飛び出す。
シズクは静かに見送った。




