第6話 ランダムで!
という訳で、俺はスキルをいくつでも付けられるようになっていた。ランダムだけど…。
『早速だけど、君の一つ目のスキルを・・・』
「ちょっ、ちょっと待った!」
『どうしたの?早く決めちゃおうよ~。最初のスキルが気になるでしょ?』
確かに、今すぐにでもスキルを手に入れたいのは、俺も同じ気持ちだ。だが、問題はそこじゃない。
「確かにスキルは欲しい。でも、ランダムというのなら話は別だ」
ランダムはさすがにいかんでしょ…いくら面白くても限度があるでしょうよ。
「俺が最初にスキルを決めなかったのは、悪かったと思ってる。でも、そこまでしなくてもいいでしょうに・・・」
『別に面白いから、いいじゃんそんなこと』
いいのかよ…いや、よかねぇよ。俺は、まだ神様的なやつとは二度しか会ったことがないが、なんとなくコイツは俺の気持ちを考えることは今後無いだろうなと思った。
「ところで、ひとつ聞きたいことがあるんだが」
『ん?なんだい?』
「スキルの総数って一体いくつあるんだ?」
『厳密に数えたことは無いけど、多分思いつく限り無限に存在すると思うよ。じゃあ、付与始めるね♪』
「ちょ、ちょっと待て、心の準備が・・・」
『そーれ!君の最初のスキルはこれだぁ~!』
そう言うと、神様が上に手を掲げると、それを合図に上の何もない空間から、想像出来ないほどの大きな本が現れ、勢いよくページが捲れ始めた。
「で、でけぇ・・・これは一体・・・」
『ん?これかい?これはね、君専用のスキルブック。正真正銘世界・・・いや、この生命が存在するすべての次元において、ただ一つの本さ!』
ゴクリッ
あらゆる次元でただ一つ。俺にとっては興奮しないわけがないワードが出ると、俺は生唾を飲んだ。そして、1,2秒掛からない内に一つのページで止まった。
『どれどれ~、君の最初のスキルは・・・これは・・・う~ん・・・あんまり面白くないかな~』
まさか、とんでもなくどうでもいいスキルが選ばれたりしてるんじゃないのか。そう思いながら、神様の次の言葉を待つ。
『う~ん。もっと面白いスキルとか選ばれればと思ったけど、普通すぎて面白みに欠けるよ~』
「(ゴクリ)・・・そ、それで、俺の最初のスキルは一体何なんだ?」
『えっとね。魔法適正を上げするだけのスキルだよ。別にこれは魔法適正があったら将来的に意味なくなるスキルだよ』
魔法適正!一気にファンタジーっぽくなってきた!俺は、その単語を聞き、ついに魔法が使えることに若干ながら興奮していた。そして、変なスキルじゃないことにホッとした。
「そ、そうか。それは、ありがたいな」
『まぁ、君が良いって言うなら、いいや』
こうして、俺は無事に異世界らしいスキルを習得することに成功した。