第2話 転生しました
遅くなりました。
今回は少し短めです。
視界が白くぼやけている。今まで長い間寝ていたような感覚すらある。
もしかしたら、今までのことはすべて夢で、目が覚めたらいつものアパートで目を覚まして、退去の準備の続きをしないといけないかもしれない。そんなことを考えながら、このよく分からない白い空間を漂う。
そして、目覚めは唐突に訪れた。夢とかでよくある高い所から一気に落ちていく衝撃を受けて、意識が強制的に覚醒する。
そんな衝撃に驚き、瞼を開ける。しかし、目の前に広がる景色はいつもの場所ではなかった。
(…ここは?)
俺は、混乱しながらも状況を整理するために周りを見渡した。
最初に目に入ったのは、部屋の中の内装。壁、天井、窓、それに、窓から見える景色。すべてにおいて今まで一度も見たことのない場所だった。
それにこの部屋には、俺以外にも複数の人影が見える。
窓際には少しポッチャリしたおばさんと、その横に20代前後の若い女性。そして、ドア付近には眼鏡をかけてメイド服を着た女性とその娘と思われる小さなメイドが二人、その隣には白髪混じりで髪型はオールバックの執事が控えるように立っている。
それと、俺のいるベッドの横で椅子に座っていて、今にも泣きそうな茶髪で体格の良い男性がいる。
最後に、俺はベッドに寝ている人に抱きかかえられているらしい。
……ん?抱きかかえられている?
俺は昨日から今に至るまでの記憶を思い出してみた。
確か、寝ている間になんかよく分からない空間にいて、そこにいる少年から死亡宣告を受けて…。
…。
あっ、そういうことか。
俺はすぐに納得した。そういえば、自称神様と名乗る少年に異世界に転生させてあげると言われて、その話に乗ったんだっけな。だんだん状況が分かってきたぞ。確かに、転生なら赤ちゃんからやり直すという可能性もゼロではないか。
そんなことを考えながら、最後の人物を観察してみることにした。
正直言って、綺麗だとしか言葉が出てこなかった。銀髪でその髪は腰まであるぐらいあって、顔は綺麗に整っている。瞳の色は黄金のような輝きをしていて、どこか力強ささえ感じる.
その計7人が俺を優しい眼差しで見つめていた。
しばらくして、窓際にいた若い女性が口を開いた。
「ルーラリアさん、ジークスさん、おめでとうございます」
「ゆ、夢じゃ…ないよな……」
そう言うと、椅子に座っている男性が自分の頬を強くつねった。もうそれは跡が残るぐらい強く引っ張っていた。その痛みに涙を流したかと思うと、現実と認識したのか椅子を倒すように勢いよく立ち上がり、さっきまで震えていた声が嘘のように大きな声で叫んだ。
「うぉおおおおおおおおお!!!リア!ありがとう!ナーデさんとミアちゃんも感謝している。本当にありがとう」
「ふふっ。もう、ジークったら、そんなに大きな声を出したら私たちの大切な赤ちゃんがびっくりしちゃうでしょ」
それを聞いて、ナーデおばさんが笑いながら答えた。
「あっはっは。私たちの事なんて気にしなくてもいいのよ。それよりも、奥さんと赤ちゃんに感謝するのよ」
「す、すまん。つい叫びたい衝動に駆られてしまって」
申し訳なさそうに言っているが、今もなお叫びたいという衝動を抑えているようにしか見えなかった。そして、この会話を聞いて俺は確信した。ここは、異世界で新たな生命として生まれてきたのだなと改めて認識した。
「それより、ジークスさん、名前は決めているんですか?ルーラリアさんから聞いた話だと、まだ決めてないって…」
「あぁ、そうだったな。最近忙しくてあまりリアと話す機会が少なくなってしまってな」
ジークスが、ルーラリアにあまり相手をしてやれなくて申し訳ないと謝罪していると、窓際にいた小さなメイドの一人が一つの手案をしてきた。
「それなら今決めちゃえばいいじゃないですか?」
「それもそうだな。しかし、どんな名前を付けたほうが良いのか悩むな…」
「私は一つ思いついているわ。アルクスよ。いいと思わない?」
「そうだな…俺はルークという名前もいいと思うんだがな」
俺の新しい名前を決めようとジークスとルーラリアが悩んでいると、小さなメイドのもう一人が小さくボソッと呟いた。
「…ルークス」
「…ルークスか」
「丁度、ジークス様とルーラリア様の名前も入ってる」
「…確かに言われてみれば、ルーラリアの"ルー"とジークスの"クス"でルークスか。中々いい名前だな。リアはどう思う?」
「ええ、とてもいい名前だと思うわ」
「よし。今日からお前の名前はルークス。ルークス・エル・フロヴァルトだ!」
どうやら、俺の名前は一真からルークス・エル・フロヴァルトになったようだ。
「この子の将来が楽しみだわ」
「俺たちの子供だ。すぐに大きくなって俺たちなんてすぐに追い越すようになるさ!ハッハッハッ!!」
生まれて間もない息子に大きな期待をされてもなぁ…。
そんな俺の心の内を余所にその過程に新たな生命の始まりを告げるかのように朝日が昇るのであった。
赤ちゃんが生まれた話って、実際に体験しないと書くのって難しいです…。
次回は早めに投稿します。