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異世界でマスコット系リビングアーマー?やってます   作者: ポンポコ狸
第1章 リビングアーマー、異世界に立つ
15/17

14 ゴブリン達を蹴散らす

お気に入り290超、PV30660超、応援ありがとうございます。








 アリシアが地面を蹴ると同時に、俺は水平に広げた背中の翼の翼断面を変化させ体が浮き上がり過ぎない様にサポートする。結果、アリシアは地を這う様な跳躍を繰り返し一番近いゴブリンに高速で接近して行く。

 そして、数度の跳躍を経て俺達はゴブリンの数メートル手前まで接近を果たした。


「(アリシア、まずはアイツを仕留めるぞ!) はい!」


 俺とアリシアの接近に気付いたゴブリンは突然の事態に驚き、走るのを辞め咄嗟に持っていた棍棒を自分の前に翳し盾にした。

 

「ヴェルさん!? (気にするな、アリシア! そのまま蹴りを食らわせろ)は、はい! えぃ!!」


 アリシアは俺の指示に従い、素人感丸出しの腰の入っていない足先だけの前蹴りをゴブリンに放つ。普通、こんな適当な蹴りでモンスターを蹴り倒す事など出来る訳ないのだが、叡魔武装を展開している今は話が違う。アリシアの繰り出した前蹴りがゴブリンが盾替わりにしていた棍棒に当たると棍棒はヘシ折り、アリシアの繰り出した前蹴りは勢いを衰えさせる事無くゴブリンの胸部に命中する。

 

「うわっ!?(落ち着け、アリシア!)」


 ゴブリンの胸部を蹴り砕く生々しい音と共にアリシアの驚愕の声があたりに響き、アリシアの前蹴りが当たったゴブリンは肉が潰れる音や骨が折れる音を立てながら倒れ、地面とアリシアの足に挟まれ地面に縫い付けられた。全身の穴という穴から血を噴き出したゴブリンは、白目を剥き誰の目から見ても息絶えているのが見て取れる。

 中々グロい光景だがまだ始まったばかり、ここで立ち止まる訳にはいかない。だから俺は会えて、淡々とした口調でアリシアに指示を出す。


「(良くやった、アリシア。このゴブリンは、コレで良い。時間がない、次のゴブリンを倒しに行くぞ)えっ、あっ、はい!」


 自分がゴブリンを簡単に殺せた事に少々茫然自失になっていたアリシアは、よく状況を理解しないまま俺の指示に従い次のゴブリン目掛けて移動を開始する。心の隙を突いた様で心苦しいが、今は立ち止まっている時間さえもったいないからな。俺とアリシアは同じ手順で、次々に目標としたゴブリンを倒して回る。 

 そして……。


「(良し。取り合えずこれで、村の近くまで近寄ってきていたゴブリンは倒し終えたな)は、はい!」


 全力で跳びまわった結果、塀に取り付こうとしていたゴブリンは5分程で倒し終えた。


「(あと村の近くで残っているには、自警団員達が戦っているホブゴブリン共なんだけど……)」


 俺とアリシアは自警団員達が必死の形相で行っている、ホブゴブリンとの戦闘を見る。皆、顔に疲労の色が色濃く出ているが、俺とアリシアが村の周りゴブリンを全て倒したお陰か焦っている様子は見えず、虎視眈々と止めをさせるスキを狙っている様に見えた。 

 

「(よし、あのホブゴブリン共の始末はこのまま自警団に任せよう)えっ!? 任せて良いんですか、ヴェルさん? 私達が行けば、すぐに倒せるんじゃないんですか?」


 俺はアリシアの発言に驚く。先程まで戸惑っていたアリシアが、この好戦的な発言をするとは……容易くゴブリン共を蹴散らせたせいか些か調子に乗っている様だ。戦いに酔った高揚感による一時的な物なら良いのだが、常態化しない様に注意しないといけないな。


「(アリシア。幾ら順調だからといって、調子に乗るな。相手を過小評価して油断していると、足元をすくわれるぞ)へっ? 」


 アリシアは俺の忠告を聞き、不思議そうな顔をする。


「(……自覚が無いようだな。確かにアリシアの言う様に、俺達が戦えばホブゴブリンが相手でも勝つ事は容易いだろうさ)じゃぁ……。(しかしだな、アリシア? 俺達が自警団が相手をしているホブゴブリン達と戦えば、その分だけ残りのエネルギーと時間を消費する事になるんだぞ? 今一番気にしないといけない、エネルギーと時間を)あっ!」


 どうやらアリシアは、俺が言いたい事に気が付いた様だ。 


「(任せられる敵は、極力味方に任せるべきだ。何せ俺達には、余計な戦いを背負い込む余裕がないんだからな)……はい、そうですね」


 アリシアは自分の思い上りを俺に指摘され気落ちしたが、残念ながら気落ちしている様な時間は俺達にはない。節約しながら戦っているとは言え、元々が少ないのだ。もう、残りのエネルギーと時間はあまりない。

 ゴブリンキング等の親玉が残っている以上、俺達は動き続けるしかないのだ


「(行くぞ、アリシア。残りのゴブリン共を、蹴散らすぞ!)……はい!」


 俺とアリシアは村の近くに残るホブゴブリンを自警団に任せゴブリン達の本陣……ゴブリンキングの首を取りに行く。









 俺とアリシアは村近くのゴブリン達を倒したのと同じ方法……地を這う様に低く跳びゴブリン達の本陣を目指す。俺達の視線の先には、一際大きなゴブリンキングを中心にゴブリンメイジやホブゴブリンが陣を敷いていた。

 そして俺達がある程度の距離まで近づくと、俺のセンサーに突然エネルギー反応が発生し俺達の前方に炎の壁が立ち上がり始める。


「(とまれ、アリシア!)きゃっ!?」


 跳躍中だったアリシアは俺の警告のすぐ後に突然眼前に現れた炎の壁を前に驚き、咄嗟に足を地面に突き出し地面を削りながらブレーキをかける。数メートルほど地面を削り滑った結果、何とか炎の壁の前で止まる事が出来た。

 だが……。


「(何だ、こらりゃ!) ひ、火の壁!?」


 地面から空に向かって吹き上がる炎の壁。叡魔武装のお陰かアリシアは熱を感じていない様だが、流石に熱を感じないからとは言え炎の壁に飛び込み突き抜けると言う行動には流石に二の足を踏んでいる。

 そして俺とアリシアが炎の壁を前に驚き次に行動を逡巡している内に、ゴブリン達が先手を取っていた。炎の壁を突き抜けて、複数の拳大の石が飛んできたのだ。


「きゃっ! (大丈夫か、アリシア!?)」


 幾つかの石が俺達の体に甲高い音を立てながら命中し、アリシアは思わずたたらを踏見ながら一歩後退する。まぁ、ぱっと見は無傷だけど。 


「は、はい! 大丈夫です!」


 俺と叡魔武装をしているお陰で、アリシアの防御力は格段に向上している。只の投石で怪我を負うとは思っていないが、怪我をしないから精神的ショックを受けていないとは限らないからな。俺の……ヴェルキュロサスの装甲は無闇矢鱈に頑丈だが、使用者の心まで装甲の頑丈さの比例していると言う事はないからな。

 そして炎の壁越しの投石を浴び続け十秒後、炎の壁は発生した時と同じ様に突然消える。だが……。

 

「(来るぞ、アリシア!)えっ?」


 炎の壁が消えるタイミングをのを見計らっていたのか、錆び付いた剣を装備したホブゴブリン3体が迫ってきていた。炎の壁、投石、そして近接戦による強襲……中々の連携攻撃である。

 しかし……。


「(迎撃だ! まず戦闘のゴブリンを倒せ!)はい! えぇぇぇぃ!」


 アリシアは投石のお返しとばかりに、俺の指示に従い剣を振り上げながら近づいてきた先頭のホブゴブリンに、ここまで何度も繰り返し放ってきた前蹴りを放つ。この短時間で何度もくり返し行ったせいか、アリシアの前蹴りは最初の頃とは違い中々どうに行った物になっており、足先だけで行っていた前蹴りはしっかり膝が上がった突き刺す様な蹴りでホブゴブリンの腹に食い込んだ。

 蹴られたホブゴブリンは体をクの字に曲げ吹き飛び、後ろについて近寄ってきていた2体目のホブゴブリンを巻き込みながら、絡み合ったまま数十メートル吹き飛び森に映える木に叩きつけら全身から血を噴き出す。その上、ホブゴブリン達がぶつかった木も衝突の衝撃に耐え切れず半ばから折れ倒れた。

 

「(アリシア、3体目が動きを止めてるぞ! 今の内に攻撃しろ!) えぃ!」


 1体目と2体目の余りに余りな殺られざまに唖然とし動きを止めた3体目のホブゴブリンの顔に、アリシアの繰り出した腰の入っていない拳がめり込む。アリシアの拳を顔面に食らったゴブリンは、瞬時に顔面を殴り砕かれ錐揉み回転をしながら十数メートル程吹き飛び地面をバウンドしながら転がって行った。炎の壁が消え、ホブゴブリンが強襲してきてから此処まで僅か5秒。その僅か5秒で、俺達はゴブリン達が仕掛けてきた連携攻撃を踏みくだいた。


「(連中、驚いてるみたいだな)そうですね」


 俺達の視線の先には、目を細め体験を握り直し俺達を警戒するゴブリンキング、炎の壁と言う大技を使って消耗したらしい肩で息をしながら驚愕の表情を貼り付けているゴブリンメイジ、怯えた表情を浮かべチラチラと横目でゴブリンキングの様子を伺うホブゴブリン達と様々な反応をしていた。

 どうやら先程のホブゴブリン達の殺られ方は、それだけ衝撃的だったらしい。


「(アリシア、奴らが尻込みしている内に仕掛けるぞ! まずは、ゴブリンキングの周りにいる連中の数を減らすぞ)はい!」


 俺達はゴブリン達が衝撃から体勢を立て直す前に、今度はこちらから攻撃をを掛ける事にした。勢い良く踏み込み、俺達はゴブリン達目掛けて跳び掛かる。

 まずは陣の外周で、怯えた表情を浮かべ剣を構えていたホブゴブリンにブレーキを兼ねて蹴り叩き込む。驚愕の表情を浮かべたままアリシアの蹴りを受けたホブゴブリンは、仲間のホブゴブリンを数体を巻き込みつつ吹き飛んだ。


「「「ギギギッ!!」」」


 陣に跳び込んで来た俺達に仲間が殺られたゴブリン達は、動揺しつつも俺達を迎え撃つ為に襲いかかってくる。

 だが……。

 

「(まずは、右から襲って来るホブゴブリンだ。良し良いぞ! 次は、後ろから襲いかかってこようとしているホブゴブリンだ)えいっ! えいっ!」


 俺の指示に従い、近寄ってくるゴブリンを片っ端からアリシアは攻撃する。アリシアの攻撃を受けたゴブリン達は仲間を巻き込みながら吹き飛び、急速に数を減らしていく。

 そんな中、俺はアリシアに鋭い声でアリシアに回避の指示を出す。


「(! アリシア、右に跳べ!)えっ!? あっ、はい!」


 アリシアが俺の指示に従い右に数メートル程跳ぶと、アリシアが立っていた地点に火球が着弾し爆発した。ゴブリンメイジからの、魔法による攻撃だ。

 どうやら、大技の消耗からある程度は回復したらしい。


「(攻撃魔法による後方支援か……厄介だな。アリシア、先にゴブリンメイジを倒すぞ)はい! あっ、でも……どうやって倒すんですか? ゴブリンメイジまでまだ距離がありますし、護衛のホブゴブリンが沢山いますけど……」


 アリシアは俺のゴブリンメイジ強襲と言う提案に同意はしたが、どうやって実現するか分からず首を傾げる。まぁ今の俺達はエネルギー不足で、遠距離攻撃出来る武器がないからな。

 だが、武器はなくとも遠距離攻撃出来る方法がある事は既に知っているはずだ。


「(なぁに、やる事はさっきまでと同じだ。近くにいるゴブリンを蹴って、狙ってゴブリンメイジにぶつければ良い)ああ、なるほど!」


 アリシアは手を軽くたたき、その方法があったかと納得する。

 どうやらこの戦闘の間に、アリシアも随分スレた様だ。戦い始める前のアリシアなら、こんな提案を簡単に受け入れはしなかっただろうからな。


「(さぁ時間もないんだ、やるぞ!)はい!」


 方針が決まった俺達は早速、立ち位置を調整しつつ襲いかかってきたホブゴブリン目掛けて蹴りを放つ。蹴りを受けたホブゴブリンは勢い良く吹き飛びゴブリンメイジの方へと飛んでいき……偶然射線に割り込んだ1体のホブゴブリンにぶつかり機動がそれゴブリンメイジを外れた。

 だが、ゴブリン達は俺達の思わぬ攻撃に同様を見せる。 


「(ちっ!)ああもう、邪魔! (アリシア、次だ! ゴブリンメイジの守りが厚くされる前に、倒すぞ)うん!」


 俺とアリシアは初撃を凌がれた事に愚痴を漏らしつつ、今の攻撃に驚愕し動きを止めたホブゴブリンに接近し蹴り放ち、再びホブゴブリンを武器にゴブリンメイジを狙う。

 そして今度こそ、蹴り飛ばされたホブゴブリンが邪魔される事なくゴブリンメイジと激突し、揉み合った状態で吹き飛んでいった。 


「(良し!)やった!」


 俺とアリシアは思った以上に上手くいった攻撃に、思わず拳を握りしめ喜んだ。逆に多くの仲間を殺られ、この攻撃で主戦力であるゴブリンメイジを失ったゴブリン達は動揺し右往左往し逃げ出そうとする者もで始める。

 だが……。


「グガァァァ!!」


 ゴブリンキングの咆哮が響き渡り、動揺したホブゴブリン達は動きを止めゴブリンキングに顔を向ける。ゴブリンキングの顔は憤怒に染まっており、手にする大剣も相まってかなりの威圧感を醸し出していた。


「(どうやら、痺れを切らしたらしいな。アリシア、遂に敵の大将のお出ましらしいぞ?)……」


 アリシアは憤怒の表情を浮かべ、自分を食い殺さんばかりに睨みつけてくるゴブリンキングに思わず息を飲む。ここまで明確に自分を増悪し、殺そうとする相手と相対したのは初めてだからだ。

 そしてゴブリンキングは俺達に向かって真っ直ぐ、1歩目を歩みだした。


「(さぁてアリシア、ここが正念場だぞ。こいつを倒せばおそらく、残ったゴブリンは逃げる筈だ。絶対に、こいつを倒すぞ!)……はい!」


 アリシアは気合いを入れ直し、自分を睨めつけながら歩み寄ってくるゴブリンキングを睨み返した。

 さて、残りエネルギーも時間もないけど……何とかしないとな。















ゴブリン達との戦闘開始です。

今の所は、一撃で倒せていますが……。

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