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超Q探偵  作者: XI
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0.『マオ』

挿絵(By みてみん)

 『カイホー』は、そう大きくはない街だ。主に、多くの狭い道、いわゆる『フートン』と、南北に走る幾本かの大通りで構成されている。治安はお世辞にも良いとは言い難く、窃盗は勿論、殺しも多ければ非合法の商売も少なくない。


 私もそんな雑然とした街の住人の一人だ。探偵業を営んでいる。


 事務所兼住居は、とある路地の一角にあるアパートの一室だ。コンクリート製の建物は二階建てで、根城は上階にある。下は空き家である。家賃は安く、加えて部屋にはソファセットを配置してもあまりあるスペースがあることからお手頃物件だと思うのだが、なぜかいつまで経っても一階の借り手はつかないのだと大家は常々、嘆いている。


 この街に住まうほとんどのニンゲンの生活には、あまりゆとりがない。だから、何か身の周りで面倒ごとが起きたとしても、わざわざ探偵を雇ってまで『こと』の解決を図ろうとするやからなんて、そう多くはない。


 では、どうして私は堅実に露店を構えるでもなく、賄賂だけで食っていける警察官を志すでもなく、探偵なるマニアックな職業を選んだのかという話になるわけだが、あえて、その理由を述べるとするなら、物売りは性に合わないだろうと考えたからだ。例えば地道に商売をするとなると、朝早くから仕入れを行い、品物を店頭に並べ、四六時中、店先で立っているなり座っているなりしなければならない。それは御免だ。面倒だ。尚、警察官になろうとしなかったのは上司がいる職には就きたくなかったから。上役がいる仕事は遠慮したいし、御免願いたい。


 幸い、私には親がない。

 きょうだいもいない。

 養わなければならない伴侶も子供もいない。


 しがない探偵とはいえ、自分一人が食っていくくらいの稼ぎは十二分に得ることができている。けっして多くはないと言ったものの、私を頼ってくるニンゲンはいないこともないのだ。サービス業である分、利益率も高い。加えて私は生活するにあたっては最低限の費用しか割かない。だからそれなりに貯金もさせてもらっている。


 とにかく、だ。


 日がな一日を気楽に消化できる探偵業を、私はそれなりに気に入っている。


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