プロローグ
2098年東京―――
この都市は、人間の欲望を飲みこみ巨大化していた。
日に日に凶悪化していく犯罪、天と地ほどの差が出来ている格差社会。
一部の者は栄華をほしいままにし、一部の者は貧困に喘いでいる。もうこれ以上悪くなることもないと言う声を、何度裏切られて来たことだろう。
多くの子供たちが経済難から孤児になり、少年ギャングに身を落としていた者も少なくない。
そんな混沌とした時代に追い打ちをかけるべく、突如としてある変化が訪れていた。
ある時、都市を中心として、特別変異したある生物が大量発生した。
その生物はムシと呼ばれ、元は小さなハエが変化したもので、現在では大蜂くらいの大きさになっていた。
しかも獰猛で雑食の生物に変わり、食欲も旺盛で、壁、木材はもちろんのこと、コンクリートなども食べつくし、巨大なビルが一晩で無くなることもあり、人々を震撼させていた。
その食欲は物だけにとどまらず、そのうちすべての生物へと目が向けられることになった。
それには人間も含まれており、人々は恐怖におびえる日々を迎える事になる。
その対策に警察や政府が立ちあがったが、ムシの数は膨大で獰猛だった。政府組織だけの手には負えず、東京は魔の巣窟と化していった。
そこで立ち上がったのは、民間の中でも特殊な能力をもつ者たちだった。
高度な科学力や不思議な力を持ち、ただ一つのムシに対抗できる力となっていた。
彼らは自らをビーデルハンターと名乗り、この世紀末を生きていく…。