第八章 タワー
MASK OF HEART
第八章 タワー
「すいません。この都市が、何故このように、お、大きくなったのですか?」
ヨウは、相変わらずの調子で、町の人にインタビューしていた。
大体の人は、インタビューしても、無視されるだけで、ヨウは、疲れていた。
近くにあった、喫茶店に、寄ることに、二人は決めた。
もちろん、ヨウのおごりである。
「あ〜。どうやって質問すれば、このミステリーは、解けるのだろう?」
ヨウは、ため息交じりに、言った。
「だったら、直接市長さんに聞いてみればいいではないか?」
マタムネは、あっけなく、答えた。
「それもそうだ。」
ヨウは、ハッとしたように、答えた。
*
しかしながら、都会という世界は不思議なものだ。
コンクリートに覆われた地表に、その上に建つコンクリートの高層ビル達。
世の中は、コンクリートという物質に囲まれているように思われる。
そう、人々は、人間が作り出した物に囲まれているのである。
人工物に囲まれているのを批判しているのではない。
「ひとは、それほどに、しぜんのものがいやになってしまったのだろうか?」
例を挙げれば、「セオの森」が破壊されたのも、そうなのかもしれない。
*
「すいませ〜ん!市役所はどこですか?」
ヨウは、ふっきれたように、町の人にインタビューした。
「ああ、それなら、近くにかなり高〜いタワーが建ってるだろ?それは、町のほぼ中心にあるんだけど、「コウザカタワー」っていう名前なんだよ。そのタワーの最上階(120階)にいるらしい。どうやら市長さんは、噂によると「マドウ」が使えるらしいから、きいつけな。最上階に行った奴は、二度と戻ってこないっていう伝説があるくらいだから、あんまり行かないほうが身のためだぞ。」
町の人は、嬉しそうに、質問に答えた。
「あと、そのタワーの隣に「ヨツコシ」っていうデパートがあるから、寄っていくといいよ。結構この都市は、「ジパング国」の影響を受けているからね。」
町の人は、自慢げに、長々と話した。
「あ、ありがとうございます!親切に、どうも。」
ヨウは、少し困惑した。