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MASK OF HEART   作者: 天川 榎
第六節 真実
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第四十四章 己

「じゃあ、早速、お前に、稽古をつけてやる。」

老人は、指をポキポキ鳴らしている。

「え・・・、そんな・・・」

ヨウは、ブルブル震えている。

「なら、こっちから!」

老人が、飛びかかって来た。


「うわあ!」

ヨウは、サッと避けた。

「どうした!!何に怯える。」

老人は、頬を緩ませた。

「え・・・、いきなり・・・来たから・・・」

ヨウの足が、ガクガク震えている。

「なら・・・、Lv.Ⅰ!!!発動。」

そう唱えた瞬間、老人の腕に、蛇をモチーフにした、装甲腕ゲマルガが、現れた。

「うわあ・・・・・・・・・、信念、信念、信念を持たなきゃ・・・、俺は、俺は・・・、み、みんなを、守りたい!!!」

怯えたヨウの腕から、突然、眩い光が、放たれた。

「やっと、来たか。」

ヨウの腕に現れたのは、謎の紋様と、眩い光を放つ、「実体の無いような物」が、現れた。


「アラバナ。そのゲマルガは、「今の君の「こころ」」を実体化させている。つまり、善であればあるほど、悪であればあるほど、強くなる。」

老人は、硬直している。

「へ!俺は、善じゃない!悪だ。」

その瞬間、ヨウのゲマルガの色が、黒に変わった。

「やばい!Lv.Ⅰに「こころ」が、反発反応が起きている・・・。我が止めてやろう。」

突然、老人のゲマルガが巨大化した。

「ゼルバトラス!」

老人は、衝撃波を起こした。

その瞬間・・・


ゴオオオオン!!!!

衝撃波が、耳に入ってくる。

耳の中で、とてつもない音が、反響し続けている。


ヨウは、目の前が、ぼやけ始めた。


「くっ・・・、やっと、「悪」が出れるチャンスで、しかも、体を乗っ取れると思ったのに・・・・、くそおおお!!!」

ヨウのゲマルガは、白色に、染められていく。


「ふう・・・、世話かけやがって。」

そう、老人は、呟いた。


次の日、ヨウは、まるで何かに驚いたかのように、目覚めた。

「あれ・・・、俺、途中から何してた?」


「あんた、暴れてたよ。」

マタムネは、溜息をついた。

「え?」

ヨウは、頭を掻きむしった。

「あんた、偽善者なんじゃない?」

デナは、そっぽを向いている。


「ヨウ、REAL-HEAVENに行け。君は、そろそろ、自らの「悪」に、決着を、つけるときなんじゃないのか?」

老人は、無表情だ。


「確かに、俺は偽善者かも知れない。だけど、この世界に、早く、平穏をもたらしたいという気持ちは、本当なんだ!」

ヨウは、必死に、叫んだ。

「ほんとは、この世界を、俺の物にしたいんだろ?」

「黙れ!!!お前は、・・・ん・・・、うわあああああ!!!!」

ヨウの頭に、割れそうなほど、痛みが、走った。



「こいつは、もしかしたら・・・」




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