第四十三章 迷い
「お前は、何のために、闘うのだ?」
「自分は・・・・。」
「なら、強くなれない。」
「昔、お前は、地球を救ったんだ。もう覚えていないかもしれないけど。」
「え?どういうこと?」
君は、昔、Qを駆使し、グラモスを、1000年もの間、封印したのだ。
君がいなけりゃ、今の世界は、今居る世界に、とっくになっていたはず。
だが、君は、未来から、突然現れ、そして、地球を救った。
「冗談よしてくれ、自分に、そんなこと、出来るはずがない。」
「こころ」を何だと思ってる?
え、いきなり、何の話?
「こころ」は、信念の強さが、具現化したものだ。
その「こころ」の、強さによって、マドウは、進化する。
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ヨウは、夢を見た。と、目を覚まして、気づいた。
「自分が、昔、英雄であったことを言われる夢」
「謎の女性が、暗い場所を彷徨う夢」。
今まで見ていたモノは、全て、幻想だった。
「お主たちは、何者じゃ?」
目の前に見えたのは、紛れもなく、老人であった。
しかも、ゼロ湖にいた、あの人。
「良くここまで辿り着いたモンだ!ここは、地底と言われる、地球の真の現実の姿。マドウなんか、存在するはずが、無かった世界だ。」
「はずが無かった、って、どういうことですか?」
ヨウは、一瞬、夢の中の出来事が浮かんだ。
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「マドウ」。
この存在が、確認されたのは、2400年。
一人の、時空を超えた科学者によって。
その名は、「グラモス・アルバード」。
彼は、絶対的なマドウ制御のために、Qを作成した。
それぞれのQには、M.O.T.といわれる、制御コンピューターが搭載されている。
そのコンピューターには、A.I.が搭載されており、自立行動も可能である。
彼は、全てのマドウを、制御コンピューターに制御させ、それで終わりか、と思われた。
だが、PR.5(プロトタイプ・NO5)と呼ばれるものと、PR.6が、予期せぬ行動を起こし、急遽、A.I.による制御を試みた。
その試みは、見事成功したが、それに気を取られたのか、闇のQのM.O.T.が暴走を始め、グラモスを飲み込もうとした。
結局、彼は、闇に取り込まれた。
その後、グラモスは、闇の言いなりに、タイムマシンを作成、そして、発動。
しかし、それが、暴走。
それにより、PR.1(サノン)、PR.5(セオ)、PR.6(ヨウ=アラバナ?)が、他の時代に飛ばされた。
そう、老人に聞かされた。
「ってことは・・・」
ヨウは、手や足を見ている。
「そう。お前は、PR.6。アラバナ・アルバードだ。」
老人は、緊迫した感じで、言い切った。
「へ?お爺さん。何言ってるの?」
ヨウの額から、汗が流れた。
「なにを言ってる?肩の入れ墨(ハート型)があるはずだ。」
老人は、ヨウの肩をチラリと見た。
ヨウは、肩を見た。
「・・・。そ、そんな・・・。」
彼の肩には、確かに、ハート型の入れ墨が、ハッキリと、彫られていた。
「なあ、「信念」っていう言葉を知ってるか?」
老人は、フフ・・とにやけた。
「ああ、それぐらい知ってる。」
ヨウは、ぐったりしている。
「「マドウ」と「Q」と、「こころ」は、信念によってリンクしている。これは、彼奴が生み出した、マドウ絶対制御方法だ。
「こころ」に、信念を持つ者は、進化する。
「何かを守りたい。誰かを守りたい。」
信念は、人それぞれ違う。
しかし、信念が、ある程度まで達した時、「こころ」は進化し、「マドウ」の威力が格段にUPする。
グラモスは、Lv.1~Lv.5までの五段階用意した。
信念こそが、闘う者の、強みになる。」
老人は、へへ、と、頬を緩ませた。