第四十二章 異次元
ゼロ湖に入り、底まで行くと、
スポッ
という感触と共に、底に足を引っ張られた。
そして、何の抵抗もなく、そのまま、潜っていった。
只、目の前は全て暗闇だった。
おそらく、あれから随分経った頃、僕達は、湖面に浮いていた。
ヨウは、目を覚ました。
目の前に見えるのは、青空だった。
「ココは、確か、地底世界じゃなかったのか?」
すると、何かが近づいてくる気配を感じた。
水を蹴る音が、段々近づいてくる。
パシャパシャ・・・パシャ・・・
「だ、誰だ!」
ヨウの体は、震えている。
「お主たちは、何者じゃ?」
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これが現実?ここが?
・・・違うか。
?
死んだのか?
いや、ココで死んじゃ、ダメなんだ。
なんか、どっかで、聞いたことのある台詞だな。
「あのとき」から、どれぐらい経ったんだろう・・・
みんな・・・、ごめん。
みんな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
みんな?
なんで、こんな所で、立ち止まってるんだろう。
早く、現実に、戻らなきゃ。
「ある女性」は、灰色の世界に、堕ちていた。
その頃。ヨウ達は、目を覚ましていた。
「ココは・・・」
ヨウは、辺りを見回した。
「前居たところと変わらないじゃないか。」
マタムネは、頷いた。
「そりゃ、そうじゃ。ここは、ドラクレア大陸。ココだけは、君達か居た所と、そっくりそのままだからな。」
ゼロ湖に居た、あのお爺さんが居た。
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何も無い暗闇を歩いている。
何も見えない。
体が、怯えている。
大丈夫だ。大丈夫だ。
そう言い聞かせた。
「こころ」の闇に溺れた。
そうしてココに、堕ちた。
戻れるのか?いや、戻らなきゃ。
「雷のマドウツカイの女性」が、彷徨っていた。
ヨウは、老人から、話を聞いていた。
「この世の善とか悪とかは、自分自身で決めてしまう物だ。どうせ、他人から言われても、信念を曲げないのが、人間そのものだからね。だから、グラモスも、自分が善と思うことをやっているだけだ。だがな、ヒトには、「ルール」ってモンがある。それは、善とか悪とかじゃなくて、人間として、最低限の条件なんだよ。それを破った奴は、みんなから「悪」と見なされる。グラモスは、民衆達が、いや、この世界が創った「ルール」を、破った。
我々は、マドウを使い、対抗した。
だが、「闇」のQを従えてる者に、勝てるはずがなかった。
3日で、民族の半数。
7日で、殆ど死んだ。
我々は、残った者を集め、Qを探した。
その結果、雷と、木と、火のQを見つけた。
だが、グラモスに、火を奪われた。
我々は、大陸には近づけなくなった。
火のマドウ神が、乗っ取った。
我々は、木のQで、小さい島を創った。
「REAL-HEAVEN」。
島の名だ。
仲間を死なせた。
だから、彼らを安らかに眠らせるには、真の天国が必要だった。
そして、二度と、戦争しないと、心に誓うために。」