第三十一章 兄弟。
マタムネは、昔あった出来事を、話し始めた。
「今から10年前の話だ。我ら兄弟は、この研究所に住み始めた。
マサヨシは、15歳。自分は、18歳。マサヨシは、中学生。そして自分は大学生。ごく普通の兄弟だった。両親が死んだ以外はね。
元々住んでいた家は、追い出され、行く当ても無かった。だけど、何故か、ココだけは、誰の手にも渡っていなかった。しかも、家賃は、無料。迷うことなく、借りることにした。
そして、何事も無く、3年が過ぎた。
自分は、変な発明しか出来なかった。マサヨシは、高校生になった。
そして、マサヨシは、不治の病に罹った。あと、3ヶ月しか生きられないと、医者から言われた。
医者から言われた瞬間、涙が止まらなくなった。
ひたすら、泣いた。両親も死んで、今度は、弟が死んでしまうのか、と、自分の運命を、哀れんだ。
時が経てば、弟は、死ぬ。
なら、自分が、変える。
そして、二ヶ月後、自分の最高傑作、「人間電脳化装置」(つまり、人間の脳内情報を、全て抜き、データ化し、A.I.にしてしまう装置。)が、やっと出来た。
マサヨシは、電脳になった。
彼の脳は、自分の作成していたロボット「UC-101」に、搭載させた。
スイッチを、入れた。
動いた。
嬉しかった。彼の命は、蘇った。
だが、その、5ヶ月後、自分は、「ムダン」に連れ去られた。
そして、自分の作り出した技術を、「ムダン」に、提供した。
実験台として、ドランザの駅前の人々は、電脳化された。
彼らは、人間では、無くなった。
自分の弟を、救いたいために。
自分は、記憶置換され、武士となった。
そして、知らない場所へ落とされた。
道路と、線路しか無かった。
そこで、呆然と立っていた、その時、ヨウに出会った。
ヨウに、会えて、良かった。
そして、ラルースにも出会えた。
デナにもね。」
「え?デナって、誰?」
ヨウは、マタムネの話に、首を突っ込んだ。
「ああ、ヨウが知るはずがないよ。だって、自分の恋人だもん。」
マタムネは、爆弾発言した。
「えぇ~~~?信じられない!」
ヨウは、驚愕した。
「そんなに、驚くなよ。自分が失踪するまではね。」
マタムネは、にやついて、言った。
「凄いな・・・、自分なんか、彼女居ない歴25年だよ。恋でもNEETだよ。困るよ。」
ヨウは、鬱になった。
「いつか、その時が、来るさ!」
マタムネは、ヨウを励ました。
ヨウは、ニコリと笑った。




