第三章 「トッカー」と「カムラ」
MASK OF HEART
第三章 「トッカー」と「カムラ」
ここは何処かも知らず。
ただ、セオの言う通りに進むしかなかった。
記憶は、戻らずじまい。
セオによると、自分が目覚めた場所を「アンザガ盆地」というらしい。
その盆地の南に、奇妙な洞窟がある。
暗闇に包まれた洞窟が、ずっと続いている。
その洞窟を「サカンザ洞窟」と、自分はいい加減に名付けた。
その洞窟に入る前に、セオは緊迫した顔でこう言った。
「あなたに、話しておかなければいけないことがあります。」
ヨウは、気になって直ぐにこう言った。
「何だ?そんなに重要なことなら、早く言え!」
セオは、緊張した声で言った。
「この世には、二つの重要な書物があります。」
さらに、続けてセオが言った。
「それは、『トッカー』と『カムラ』です。トッカーは、預言書。カムラは、マドウ書です。この二つの書を悪の「こころ」を持つ物に渡ると、この世界と、あなたが居た世界は、破滅するでしょう。」
ヨウは、あたふたした。
「じゃあ、『カムラ』は、今何処にあるんだ!」
セオは、落ち着いて言った。
「この洞窟を抜けた先の、「サンドラ」と言う町の中心にある「サマガラント神殿」にあります。ただし、その本をあなたが持っても、無駄です。」
セオは、きっぱりと言った。
「なぜなら、あなたの「こころ」は闇に閉ざされているからです。」
ヨウは、落ち着きを取り戻せずにいた。
「どうすればいいんだよ!え?早く言ってくれ!何をすりゃいいんだよ!」
セオは、突然こう言った。
「あなたの「こころ」は、この世界に7つの欠片となって散らばりました。あなたの記憶とともに。」
ヨウは、現実を受け入れられずにいた。
何もかもが、あり得ない話だった。
ショックだった。
全てが、なんとなく、嫌だった。