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MASK OF HEART   作者: 天川 榎
第五節 天に浮かぶ地
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第二十九章  二人よ、急げ。


一方、ラルースが、牢屋から脱出していた頃、二人は、ホテルを急いでチェックアウトしていたころだった。

「早くしてくれ!女性一人がさらわれたんだ!」

ヨウが、足踏みしながら、暴れている。

「なら、早くお金を払って下さい。」

受付係は、整然と答えた。

「昨日盗まれたんだよ!なんか変な軍団に!」

「ああ、なら、ここで働いて、その分の給料稼いでください。」

「はい。」

ヨウとマタムネは、部屋に荷物を運ぶ仕事をやらされた。

そして、1時間後・・・


「はあ〜!疲れた!案外、仕事っていいもんだね!NEET辞めようかな。」

ヨウの顔は、爽やかになっていた。

「はい!仕事終わり!お疲れさん!」

係員は、にこやかに笑った。

「やったあ〜!」

二人は、絶叫した。


やっとホテルを出た時、何か忘れていることに気がついた!

「やべえ!ラルースのこと、すっかり忘れてた!」


                      *

ヨウは、焦っていた。

「ちょっと!やばいよ!ラルース、今頃、殺されてるかもしれないよ!」

「まあまあ、ヨウ、落ち着け。時間はたっぷりある。」

マタムネは、平然と言った。

「なんで!連れ去られたんだよ?あの「ムダン」に!」

ヨウは、かなりビクビクしている。

「それは・・・・、うっ!・・・」

マタムネは、頭を抱えながら、倒れ込んでしまった。

「大丈夫か?どうした?何があった?」

ヨウは、マタムネに寄り添った。

「・・・頭が、凄い、ズキズキする・・・」

マタムネは、見るからに、やばそうだ。

「病院に、行くか?行かないと、死んじゃうかもしれないよ!!」

ヨウは、戸惑っていた。

「だ、大丈夫だ。ほら、このとおり!」

マタムネは、立ち上がって、ピョンピョン跳ねた。

「良かった!凄く苦しそうだったから。」

ヨウは、満面の笑みを浮かべた。

「さっきの頭痛で、もやもやだった記憶が、ハッキリした。多分、ラルースは、昔の自分の研究所に連れ去られた。今じゃ、「ムダン」のエネルギー発生所にされているようだ。」

マタムネの顔つきが、頭痛で倒れ込んだ前と、全く違っていた。

「え・・・、あんた、科学者だったの?」

ヨウは、普通に驚いている。

「そうさ。昔は、一流の、科学者だった。だが、「ムダン」に連れ去られて、そのまま、記憶が全くなかった。そして、自分は何故か、武士になっていた。・・・記憶置換をされたようだ。」

マタムネは、もう武士の面影は、全く無かった。

「うん。そうだね。で、研究所って、何処?」

「ダサマの市庁から、南東に1000m行った所に、有るはずだ。」

「じゃ、急がないと!ラルースが、ピンチだ!」

「そうだな。」


すでに、マタムネは、武士の顔つきから、科学者に変貌していた。

しかし、彼の中には、今でも、「武士道」が生きているに、違いない。


              *

ここは、ドランザ駅前。なぜか寂れている。

「ドランザから、ダサマまで、「鉄道」が通っているから、たった2分で着いちゃうよ。早いね〜。」

ヨウは、駅前の看板を見ながら、言った。

「そうだが・・・、何だ?この寂れ具合は?駅前に店一つ無いぞ。」

マタムネは、キョロキョロ辺りを見回している。

「まあ、良いんじゃない?電車が来れば、良いことじゃん!」

ヨウは、駅に近づきながら、言った。

「まあ、それもそうだな!」

マタムネも、駅へ、近づいている。


駅に、入った。

別に、何も起きない。

「何だ!何も起きないじゃん。」

マタムネは、ほっとした。

「まあ、切符買わないと、ね。」

ヨウは、目の前にあった、自動券売機に、お金を、入れた。

ココから、ダサマまでは、二人合わせて、630円だった。

「安い!」

ヨウは、ウキウキしながら、マタムネに、切符を手渡した。

そして、自動券売機の隣にある、自動改札機に、切符を入れた。

普通に、通れた。

「な、何だ!普通の駅じゃないか。良かった・・・」

マタムネが、ホッと一息ついていたら、電車が来た。

「ピンポンパンポン!間もなく、ダサマ方面ヘ向かう電車が、参ります。緑色の線の内側に、下がって、お待ち下さい。」

自動放送が、駅構内に、こだまする。

そして・・・


なんと、「リニアモーターカー」が、猛スピードでやってきた。

そして、止まった。

「すげえ!2006年の時なんか、全然実用化されていないのに!やっぱり未来は、すごいな」

ヨウは、感激している。

「何を言っているんだよ、これは、大昔の2030年に作られた、戦前の奴だぞ!超古いよ」

マタムネは、平然と、言った。

「あ!そうだったね、じゃあ、乗ろうか!」

二人は、リニアモーターカーに乗った。




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