第二十章 さあ、いくぞ!
三人は、港へと歩き出した。
マタムネは、ヨウに「こころ」の欠片を手渡した。
すると、自分が、前居た世界を思い出すことが出来た。
「ねえ、そういえば、ヨウって何歳なの?」
ラルースは、何気なく訪ねた。
「・・・、23歳。NEETだよ・・・。」
ヨウは、ションボリとしてしまった。
「ああ!1000年前に流行った言葉だよ!そうか・・・、君は2006年から来たんだね。」
ラルースは、苦笑いしながら言った。
「も、もしかしたら、ココって・・・。」
ヨウは、オドオドしている。
「そうだよ!ココは、3006年さ!最近、2006年からタイムスリップしてくる人が、何故か増えてるらしいよ。」
ラルースは、笑顔で言った。
「えええええええ!!!!!!!ココって、RPGの世界じゃないの?オンラインゲームの、「MASK OF HEART」の世界にとばされたんじゃ、無いのか?」
ヨウは、目をひんむいて、訪ねた。
「何を言ってるの?ココは、地球だよ。データの世界じゃないよ。アタマ大丈夫?」
ラルースは、ヨウを皮肉った。
「・・・・・。」
ヨウは、相当ショックだった。
「まあ、昔の新聞に、「人がコンピューターに吸い込まれる!」っていう記事が載ってたんだよ。図書館にあったんだけど、この新聞に載っていた顔写真の一つが、ヨウにそっくりだったから、念のために聞いただけだよ。ホントに、そうだなんて・・・!」
ラルースは、ヲタク心をうずうずさせている。
「事件の原因は、ゲーム内にあった、「カマシンバ」っていうアイテムのプログラムが、偶然、今の世界にある「カマシンバ」と同じ働きをする様になっていたらしいよ。初めて、そのアイテムに触れた、4人が、1000年後のこの世界に飛ばされたらしいよ。私もその一人なの。」
ラルースも、ションボリした顔で言った。
「え?そうなの?!!じゃあ、マタムネもそうなの?」
ヨウは、キョトンとしている。
「一緒に「悪魔館」に行くときに、その話をしたら、やっぱりそうだってよ。」
ラルースは、腕を組みながら、言った。
「そうなんだ・・・、不思議だ。」
ヨウは、頭を抱えている。
「そう。貴方だけ、私たちの一年後にこの世界に来たみたいよ。だけど、この未来に飛ばされた、4人全てが、自分のいた現代のことを覚えていないみたいよ。私は、この世界の書物を読んで、記憶を何とか一部分だけど、取り戻したわ。」
ラルースは、少し笑顔になった。
「そうなんだ、みんな、記憶が消えているんだ。」
ヨウは、どんどん鬱になっている。
「元気出してよ!ほら!ね!」
ラルースは、あかぬけた顔で、こちらを見てくる。
「そ、そうだね!元気があれ、何でも出来るもんね!」
ヨウは、ようやく鬱状態から、脱出した。
「おーい!サザン島行きの船が出ちゃうぞ!急いで!」
マタムネは、結構遠くに居た。
「ほら!急いで!乗り遅れちゃうよ!」
ラルースは、走り出した。
かなり、足が速い。
「待ってくれよ〜」
ヨウも走り出した。
なんとか、船に間に合った。